見出し画像

ある少年の夏 「初めて艦娘に会った話」 感想(ネタバレあり)

4月10日、見覚えのない段ボールがポストに。

差出人は…メロンブックス……!
高まる期待感と共にバリバリと包装を剥がしていくと、徐々ににその姿が見えてきました。

………………一枚の封筒。
ぺりぺりとビニールを剥がして、中身を取り出します。

ふむふむ


結構しっかりした封筒

紐で留めてあってお洒落。


かなりテンション上がります。


意を決して、開けてみますか……(紐を戻せるか大分不安)

ふむふむ

ホッチキスで止まってるシンプルな紙の束。

報告書的と言うかなんというか……

では、読んでいきましょう――――――――

ある夏の記憶

茶番にお付き合いいただきありがとうございます。

こういう形で感想を書くの、初めてなので話の内容にどこまで触れていいのかよく分かっておりません。ネタバレありとは言え、微妙にぼやかしていきます

主人公は一人の男の子。
夏のある日、彼が一人の「艦娘」に出会うところから物語は始まります。

物語は男の子の一人称視点で進んでいくのですが、この形式手紙っぽいな、と少しだけ思いました。数秒後には忘れてましたが。

昔水泳を習っていたこともあって、男の子に少しだけ親近感を持ったり。
そして冒険、自分だけの場所、二人だけの秘密、男の子の心情にいちいち共感しつつ読み進めます。
ほんとに男子はこういうの大好き。

秘密基地を作ったり、まだ見ぬ公園を探す旅に出かけたり、そういう頃のワクワク感を思い出します。

お姉ちゃんの描写で少し不思議なとこもありましたが、自分で適当な理由を考えて勝手に納得しているうちに物語は進んでいきます。

なんだかんだで男の子に友達もできて、よかったね〜〜〜
テンポよく、とても読みやすくて楽しいです。


男の子の悩みが解決して、この後は艦娘さんとのお別れの流れかな?ちょっと寂しいね〜〜なんて思っていたのでした。

あんな事が待ち受けているとも知らずに。



:別れ。

突然頭を殴られたような感覚でした。見事すぎる叙述トリック。

確かにそうです。見た事がなければ分からない。
そう呼ばれているらしい存在と、ぼんやりした特徴が合っていれば誤解するのは当たり前ですね。

これがわかると、お姉ちゃんの描写の不思議だった点が伏線だったことに気がつきます。
パンを食べた事がなかったのも、色のついた海も。

すべてを知った彼を通して見る海は、あまりにも寂しい景色でした。

海はただ青く、静かに足を濡らすだけ。



そして最後。
そうです、やっぱり手紙だったんですね。だから封筒に入っていた。

読み終えて封筒を見返した瞬間、これは本当に自分が未来の自分に向けて書いたモノだったのではないかという錯覚に襲われました。
全部忘れてしまったけど、俺が少年だった時に本当にこの体験をしたんじゃないかと。

そしてそれを思い出せたことが何より幸せなことだと思いました。

「帰還」の歌詞を借りて言うならば「覚えていて、ここに居たこと」だったんですね。




さてさて、一旦全部おさらいしたところで感想垂れ流しtimeです。

まず文章がとても読みやすかったです。表現もよく、情景が目の前に浮かんでくるよう。これのおかげで余計に読み終わった時の錯覚が進みました。

次に媒体。最高ですね!!!!!!!
手に取った瞬間から物語は始まってるの、良すぎます。大好き。
Twitterでも言いましたが、紐で留めてあるのも好きポイント。
てかこれ作るのにめちゃめちゃ手間かかってますよね… 本当に300円でよかったんでしょうか………

そして内容。これも最高。
後半で情緒をめちゃめちゃにされました。さらっと伏線を張って、しっかり回収していくのが素晴らしいです。
微妙な違和感はあっても、最初の情報で脳内イメージを固めてしまうと、まず結末を予想することはできない…

個人的に面白かったのは海の見え方。こういう視覚で見せるのが難しい情報を読者の想像に委ねる表現は、文章ならではじゃないでしょうか。



さてさて、いろいろありすぎてもうなんかよく分からない感情になってきましたが、多分ハッピーエンド!!!!!!
最高の読書体験でした。飛び石さん、ありがとうございました。






















と、ここで物語を終わらせることもできるわけです。
あの夏に、自分はお姉ちゃんに会ったということを静かに胸に抱いて生きて行って良いと思います。

でも、まだ一つだけ。

隠そうとして隠しきれないのか、それとも見せているのか。

腹を括って……………
はい………………………………………………………………….

甘い幻想を一発で吹き飛ばす無慈悲な6文字
自分の好奇心が取り返しのつかない結果を招く作り、本当に最悪(最高)です。本当にどうしてこんなこと思いついちゃうんですか……………

貼り直してももはやどうしようもありません。なんなら端っこが浮いてきて余計に意識されられます、助けて。


ここまで含めて、全力で楽しめる作品でした。機会があればほかの作品も読みたいところ。

それではお別れです。こんな怪文書を最後まで読んでいただいてありがとうございました!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?