ユーザーはもっと”いい”ワガママになろう
朝、一杯のコーヒーをビジネスパーソンに笑顔で提供してくれるバリスタのお姉さん。仕事への矜持ってこんな小さな商いの方が見えやすいのかも知れません。
これに対して、コンピュータシステムを提供している大手の会社はユーザー目線よりも自社目線でのサービス提供が少なくなく、なぜかユーザーがそれに合わせて苦労させられる。 なんだか、悔しいですね。
ここ最近ニュースで目にしなくなったグリコのシステム障害の続報
9月17日時点で何となくほとんどの商品が復旧しているように見えますが、完全に復旧したとは書かれてないのでまだ一部商品には影響が残っているのかも知れません。
なぜかユーザーの立場が弱い、ERPパッケージ(SAP)の世界
今回のトラブルの原因となったSAPのクラウド版への移行に関して、perplexity に聞いてみた。
どうでしょうか?
自社のビジネスモデルが変わるわけでもなく、システム側の都合に合わせて数億円のお金と人や時間が割かれてしまうなんて・・・・(泣)。
たまったもんじゃないですよね。
でも、SAPのやり方が気に入らないからと言って全く新しい仕組みへの移行を考えようとすると、とんでもない手間と時間とお金がかかる事もわかっているので、多くの企業はSAPを使い続ける為に様々な手間をかけて新バージョンへの移行を進めていると思われます。
本来、ユーザーが”主”であるべきなのに・・・
もともと、ERPパッケージとして提供されているSAPをほとんどカスタマイズなしで利用していれば、クラウド型のバージョン移行になってもそれほど大きな問題にはならないはず。基本的な仕組みはSAPも安全に移行できる状態を作っている、と思う。
ただ、ビジネスの現場にはパッケージに収まらない部分は必ずあるはずでそれが強みだったりするとSAPを合わせるためのアドオン開発が加わり、このアドオン開発がSAPを提供するサードパーティーの稼ぎどころだったりするので、ユーザー企業の多くはSAPにビジネスモデルを合わせるよりもアドオンによって自社に適合した形を作り上げています。
このアドオンは、オンプレミス(=自社内サーバー)での動きが中心の時代なら良かったのですが、次の新しいバージョンからはクラウド型となり、アドオンの追加にも制限がかかる為、単純なバージョン移行とはならないと思われます。
ビジネスは顧客に喜んでもらう為の仕組みであり、システムのためではない
たった1つの大切な事がなぜか、こうしたERPパッケージには通じないのが歯がゆいですね。とはいえ、切り替えに向けた時間は限られているのでどこかで何かしらの判断と対応を取らなければならないのも事実。
システムに囚われずに自社のビジネスを支える事ができる仕組みを作るには、自社内、もしくは経営層に根本的なIT技術・インターネットやソフトウェアへの理解ある人材が必要不可欠な時代なのかも知れません。
ユーザーがもっとワガママになるために
これまでのシステムベンダーはユーザーに比べた時のIT技術への優位性を活かしてERPパッケージ等の導入を積極的に進めてきました。
しかし、もう、今は誰もが情報発信できる時代になって趣味嗜好も多種多様。ビジネスモデルも提供側の論理で動く時代ではありません。顧客主体の時代。
全てをシステムベンダーに委ねるのではなく、自社で”やるべきこと”と”やらなくていいこと”を見定める事ができるぐらいの技術的な知識やビジネスへの矜持は必要不可欠な時代になっていて、もし、そうした知見を持たないままに大規模なDXやシステム化に着手しようとすると今回のグリコのようなコンピュータシステムに起因するビジネス上の損失につながる。
そんな事を改めて考えさせる機会を与えてくれたのが今回のSAPの問題だと思います。
技術者と対等にコミュニケーションが取れるだけでいい
僕が考えるユーザー側の技術レベルは”コミュニケーションロス”が発生しないレベル。IT技術を深く詳しく知ろうとするときりがない。 深い部分はプロに任せるとしても、その技術者と問題なくコミュニケーションが取れるぐらいの技術レベルはユーザー側も持っておく。最初は大変かも知れないけど、自社のビジネスを中心に考えていれば、できないことでないと思います。
もっとユーザーはワガママになろう。
ワガママになって、IT技術者・ベンダーを育てられるぐらいの存在になることで、きっと双方にとってより良い関係性が築けて、ビジネスにもいい結果がもたらされるに違いないと信じてます。
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