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わたし、立てなくなっちゃった・・・(泣)

朝、牧場に入ると奥さんがバタバタと動いてたのが目に入った。

(あ、なんかあった・・・)。

普段と違う動きが目についたり、牛の鳴き声が変に聞こえる時は大抵なにかある。

話を聞くと牛が1頭、自分でつなぎを外し、外に出て苦しんでいるので獣医さんを呼び、その一方で仔牛も産まれてた、と。

足が麻痺して立てない牛

取り急ぎ、仔牛をカウウォーマーに突っ込んで、温めておき、それから倒れてる牛の様子を見に行った。

立とうと足をバタつかせているものの、しびれているのか全く立てる様子はない。

動けていないので、お腹にガスも溜まり始めている。

獣医さんの診療を待つ間に僕達は通常通りの仕事をこなし、搾乳を開始。

搾乳直前に診療された獣医さんによると、治る見込みはない様子。

通常、病気の牛は、共済廃用といって、保険適用の対象となり牧場には、共済金が下りる。 でも、今回の場合は、共済の適用対象となるには数日かかり、その間、牛を苦しませるのは忍びないので、自家廃用の手続きを取った。

家畜共済の仕組み

このページで詳しく説明されていますが、一定の手続きを踏めば1頭20万円ほどの共済金が下ります。

ただ、今回は、それを待たずに自家廃用の手続きを取ります。
金銭的には勿体ないけど、牛の姿を見ると早く処置してあげたい。


乳牛は、経済動物であって、愛玩動物ではない

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乳牛は、あくまで経済動物であって、産まれてから、乳が搾れなくなって廃用→肉となっていく全ての過程においてお金が関係してくる経済動物。

ペットと違い、一線を超えて”気持ち”を寄せちゃいかんのです。

この写真の2頭は、牧場でのベテラン牛。左の牛は7度の出産経験の持ち主です。しかも、お腹に仔牛がいます(^_^;)。
ベテラン牛になると、ちょっとした不具合が致命的な病気に至る事があるので、日々搾りながらも、体調の変化を見逃さないように気をつけています。

立てなくなった牛は牛舎の外へ。

搾乳を終えてから、立てなくなった牛は牛舎の外へ運び出しました。

何度か紐で結び直したりしながら、ショベルで牛舎の外へ。
所定の位置へ引っ張っていくのは切ない気持ちでいっぱいですが、運搬しやすい場所に運び出しました。

そして、またしばらくすると、空いた場所には新しい牛が入ってきます。これも、牧場の日常の1つなんです。

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