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【感想】NHK 歴史探偵「妖怪大国ニッポン!」を視聴しました

2022年6月8日(水)22:00~22:44、NHKの歴史番組「妖怪大国ニッポン!」を視聴しました。

<始まる前に>

妖怪といえば、ゲゲゲの鬼太郎しか浮かばない。

<NHKのあらすじ>

コロナ禍で一大ブームとなった「アマビエ」のように、映画やマンガ、インターネットなど、私たちのまわりには「妖怪」たちがいっぱい!
でも何で日本人は妖怪が大好きなの?

■プロローグ

調査①百鬼夜行絵巻を調査
調査②江戸の妖怪革命
調査③ゲゲゲのの創作秘話

■スタジオで

スタジオにアマビエが登場。
なんで日本人はここまで妖怪が大好きなのか?
佐脇嵩之「百怪図巻(1737)」
江戸の有名な妖怪30匹、河童、ろくろ首、ぬらりひょんなど
1000種以上いると言われる妖怪大国日本を調査してきました。

■化け物大集合モノノケ市

京都市一条通
妖怪をテーマにしたフリーマーケット「モノノケ市」
・妖怪研究の第一人者 小松和彦さん
貝稚児がイチオシです。
現代の妖怪を描いた本です。
「口覆ひ」「騙し端子」「目くじら」など新種の妖怪が描かれています。
その時代のの文化、生活、道具に対する考え方が見える、人間を写す鏡です。
一条通は、平安時代、鬼たちの大行列が目撃された場所でした。

■百鬼夜行 鬼たちの大行列

平安時代、疫病、飢饉を鬼の仕業だと考えました。
目が一つの鬼、手があまたある鬼もあり、足一つでおどる鬼もあり。
百鬼夜行と呼ばれました。
一条通は、都の一番北の端、墓場で死体を埋めに来る場所で、妖怪が出てくるのもうなずけます。
有名なのが室町時代の土佐光信の「百鬼夜行絵巻」です。
赤鬼と青鬼のコンビ、道具が化けた妖怪、琵琶と琴の妖怪など。
ところが巻末に至ると状況が一変、巨大な火の玉が降りかかります。
恐れおののく妖怪たち、宴は解散とあいなりました。
姿かたちがみえるようにすると、多くの人が共有でき、集団でも安心できる精神安定剤のような装置だったと思います。
現在、60種以上の百鬼夜行絵巻が残っています。

■拝見!謎の百鬼夜行絵巻

国際日本文化研究センターに噂の絵巻がありました。
2007年に発見された土佐吉光「百鬼ノ図」
絵巻終盤、妖怪の前に現れた黒い雲が妖怪たちを飲み込んでいきます。
角の生えた異形のシルエットが見えます。
これは絵巻全体の3分の1を占めていました。
内面の闇の部分を表現したかもしれません。
妖怪大国のルーツは絵師たちの果てなき想像力にありました。

■スタジオで

佐藤所長「人の想像力は止められない、なんでもあり!」
妖怪博士・香川雅信さん
妖怪の論文で博士号をとったことから妖怪博士というニックネームがついています。

大徳寺真珠庵所蔵『百鬼夜行絵巻』 作者不詳(室町時代)

「百鬼夜行絵巻」(大徳寺真珠庵所蔵)
単なる鬼ではなく、付喪神、年末の大掃除で処分された鬼たちが怒って人間に復讐してやろうと思って出てきた、古道具が化けたものとされます。
草履、傘、靴など、大量消費社会の始まりだったというのがあります。
”もったいないおばけ”です。

■江戸の妖怪革命

広島県三次市
江戸時代の妖怪伝承が色濃く残る地です。
湯本豪一記念 日本妖怪博物館にやってきました。
・吉川奈緒子さん
とびきりユニークな作品3つご紹介します。
①おなら
芋と栗を食べ、おならで妖怪退治しています。
②「人面草紙」
つぶれたお餅のような柔らかい表情の楽しい様子が描かれています。
まさにゆるキャラです。
③全部頭の違う仏像のような妖怪たち
いつだれが何のために作られたかは謎です。
江戸は18世紀中頃、100万人を超える大都市になっていきます。
江戸には「箱根よりこっち、野暮と化け物はみず」という言葉がある
妖怪を怖がらなくなった江戸の人たち、キャラを楽しむようになっていきます。
鳥山石燕「画図百鬼夜行」妖怪大図鑑です。
「震々(ぶるぶる)」怖いことがあると戦慄する、この神が襟元に憑いたからである。
江戸っ子たち、すぐに飛びつきます。
描かれた妖怪は200匹を超えました。
・香川雅信さん
妖怪ブームが巻き起こります。
化け物双六「百種怪談妖物双六」です。
土佐海のタコ入道など全国のご当地妖怪が登場します。
凧やかるたなど妖怪遊びが流行しました。

■スタジオで

佐藤所長「エンタメな感じになってましたね」
スタジオには妖怪手品が登場。
古障子に妖怪を呼び起こしてみせます。
数多の目、目目蓮(もくもくれん)です。
鉄の水溶液とミョウバンを混ぜたもので水をかけると浮かび上がる仕掛けです。

■ゲゲゲの創作秘話

2022年は水木しげる生誕100周年
小豆洗い、大かむろ、百目など、1000を超える妖怪たちに姿を与えました。
その魅力は、背景とかすごく細かく描かれていて、リアルさがあります。
水木しげるさんの生前の仕事場を訪ねました。
・長女 原口尚子さん
推しは「竹切狸」です。
実際に漫画を描いていたネーム室です。
Gペンと墨汁で書くことが多かったです。
「妖怪画集」が残っていました。
鳥山石燕の「画図百鬼夜行」竹原春泉の「絵本百物語」を古本で買っていたのです。
昔の人が感じたものはそのまま描くのが心情でした。
柳田國男の「妖怪談義」を参考にしていました。
妖怪名彙という各地の妖怪を集めたページにイッタンモメンがあります。
これが大人気の元ネタだったとは驚きでした。
水木しげるのオリジナルと思っていたのですが、妖怪はこういう伝承が元になっていました。
文字だけから妖怪にするのに、妖怪に語りかけていたそうです。
水木さんは、古くからの妖怪文化の守り手でもありました。
「どうしても形の分からない妖怪はぼくが創作し。。。。再現してみようというのがぼくの考えだった
「いそがし」という妖怪の貴重な原画です。
背景には江戸の大工たちがせっせと働く姿が描かれています。
後世に伝えていきたいという思いで描いていたのです。

■スタジオで

水木しげるさんの妖怪画を借りてきました。
「妖怪たちの棲む森」です。
佐藤所長「妖怪に対する愛情が見えてきます」
人間の心のゆとりの部分、楽しみを奪われた疫病ですが、アマビエを描くことで楽しんだのです。
佐藤所長「妖怪、友達という感じがします」

ーーーおわりーーー

次回は「北条政子」6月15日(水)放送です。

■感想

平安時代の「百鬼夜行」に描かれているのは鬼であり、妖怪ではなかったわけで、時代とともに、鬼が妖怪に進化していったということなんでしょう。
そして、現代では鬼も妖怪としてキャラクター化しています。
今回は歴史というより文化人類学に近い分野で面白かったです。
一反もめんとかヌリカベとか昔から存在した妖怪だったんですね。
「日本書紀」で鬼が出てくると、悪政への批判が暗喩されているという説もありますね。
正史なので公に批判はできないからという理由で。
今の妖怪ブームも。悪政への批判が暗喩されているのかもしれません。


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