十一回 「家族に世界に、何が起きているのかを夜な夜な知る」の巻 前篇
◆2018年 1月 ヴェネツィア
「大晦日の夜に…」
新年が明けた。二〇一八年という年は思いの外あっけなく明けてしまった。イタリアにいるとクリスマスまでの一ヵ月が濃過ぎて、心の準備がうまく出来なかったのだ。日本にいれば、恋人たちの熱い儀式としてのクリスマスが終わると、家族でツリーを片付けて「さぁ、いよいよ新年を迎えるぞ」という気分になっていけるだろう。忘年会は続くし、大掃除や餅つき、おせち料理づくり、そのほか正月の買い出しやお年玉の準備など、やることが多いからじわじわと