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スタートアップに投資する際に、VCが見ていること

スタートアップにとって、VC(ベンチャー・キャピタル)は単なる投資家ではありません。経営や開発をハンズオンで支援することもあれば、欠けている経営ポジションを埋めるべく一時的に参画することもあります。

そこまで力を注いだとしても、全てのスタートアップが成功するわけではありません。最初の資金調達から20ヶ月前後で70%のスタートアップが破産するというデータ(CB Insights調べ )があるように、スタートアップの世界は多産多死の上に成り立っているという見方もあります。

そういった厳しい結果があることも踏まえて、VCはスタートアップに投資する際に、さまざまな視点からデューデリジェンスを行います。それではハードウェア・スタートアップに特化して投資とアクセラレーションを提供するHAXは、どのような視点でスタートアップを評価しているのでしょうか。

コア・テクノロジーとコア・ビジネスモデル

スタートアップを評価する際、まずもって確認するのは各社が持つコア(核)は何かということです。

多くのスタートアップのコアはテクノロジーかビジネスモデルに分けられます。
テクノロジーにコアがあるスタートアップの例で、nuraというスタートアップを紹介します。nuraはイヤーパッドの中にカナルイヤフォンがあるヘッドフォンを開発していて、2016年にkickstarterで18万ドルの支援を集めています。

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創業メンバーは聴覚工学の研究者で、これまでにない世界一のヘッドフォンを作ることを目的に起業しました。彼らのバックグラウンドである聴覚工学がコア・テクノロジーとなり、それまでに無かったユニークなヘッドフォンが誕生し、多くのユーザーを熱狂させました。

一方、ビジネスモデルにコアを持つスタートアップの例としては、Amber Agricultureが挙げられます。サイロに貯蔵されたトウモロコシの品質を温度と湿度でモニタリングするIoTソリューションを開発している彼らは、技術自体は珍しいものではありません。
しかし、創業者は100年以上続くトウモロコシ農家の出身で、トウモロコシ栽培だけでなく農家や業界に精通していることが強いビジネスモデルを生み出すドライバーとなっています。

市場規模

スタートアップを評価するに当たって、主戦場となる市場の規模は無視できません。
シード期のスタートアップであっても、トラクションがあれば目指す市場の規模が予想しやすくなります。
デューデリジェンスする際には、これまでに投資した業界やスタートアップの情報を通じて評価することもあります。仮に目指している市場規模が小さければ、より大きな市場へのピボットを提案することもあります。

チーム

少人数で構成されるスタートアップを評価する際、チームと人を見ることは非常に重要です。
チームであればどういう構成か、誰がリードしているのか。人であれば学歴や職歴、実績といったバックグラウンドだけでなく人間性やキャラクターも評価の対象になります。

特に創業メンバーのビジネスに対する姿勢(Attitude)は重要です。ピボットすることも恐れず、あらゆる事にフレキシブルに対応でき、創業者として成長する意志があることは非常に重要です。頑固で周囲の意見に一切耳をかさないような創業者はスタートアップには向いていません。

HAXではスタートアップとの面接の際に、姿勢を問う質問を多く投げかけます。
自分たちが想定しているビジネスモデルやコア・テクノロジーが成功しなかったら、どのように対処するかを問いかけ、それに答えている際の姿勢を見ています。

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文・越智岳人