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HAX Tokyo Batch 2 DemoDay レポート

2020年10月1日にHAX Tokyo Batch 2のDemo Day(成果発表会)をオンラインで実施しました。当日はBatch 2に採択されたスタートアップをはじめ、Batch 1のスタートアップのピッチやHAX Shenzenに採択されたスタートアップのピッチを配信しました。

今回はBatch 2に採択された5社のピッチをレポートします。

CuboRex

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CuboRexは雪国や農地など不整地環境での産業における移動運搬の課題を解決するモビリティを開発するスタートアップです。

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インホイールモーターを搭載したタイヤを活用したコンテナ用猫車や、キャタピラ型のクローラーユニットを組み合わせることで、収穫物の運搬機や農地散布機をユーザーが組み立てて利用できるハードウェアを提供しています。

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現在は有田みかんの産地である和歌山県有田市を拠点に研究開発をすすめる傍ら、地元農家や研究者、事業者にハードウェアを販売しています。今後はクローラーユニットを使い、ロボットプラットフォームに応用したモデル「CuRover」を計画中で、稼働時間に応じた課金モデルで提供する農薬散布ロボットの実証実験を進めています。

CuboRexではユーザーからの課題ヒアリングから、現場での技術実装~初期検証、その結果のレポート提出を最短1営業日で提供できます。


Con-Tact

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Con-Tact(コンタクト)は超小型触覚センサーで産業の現場を変革することを目指すスタートアップです。

従来のロボットハンドは位置指令のみで動かす形式のため、野菜のような柔らかい物体を掴もうとすると潰してしまいます。そこでCon-Tactが開発した触覚センサーを搭載したロボットハンドを使うと、下図のようにトマトを潰さずに掴むことができます。

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組立工場、三品(食品、医薬品、化学品等)産業の工場、農業・水産現場では協働ロボットのニーズは非常に高い一方で、

・柔らかな素材を扱う技術の実用化が不十分
・人間の指先程度の小型化には至っていない
・既存の触覚センサーは高額

といった課題があります。Con-Tactは三次元方向から圧力と距離を検知できる直径1.5mmの小型センサーを低価格で提供することによって、協働ロボット導入を妨げる課題を解決します。

今後は2021年の製品化を目指していて、2023年にはセンサー単体とセンサーを搭載したロボットハンドの提供を開始、2025年には売上5億円を見据えています。

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今後はロボット導入を検討する企業との実証実験や、ロボットメーカーやSIerとの共同研究などを通じて、汎用触覚センサーのデファクトスタンダードを目指します。

mail : info@con-tact.tech


Zenco

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Zencoは遠隔地からロボットを操作するテレワークシステムを開発するスタートアップです。

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現在、日本では労働者不足が深刻であり、外国人労働者への依存が高まる一方で、外国人が働くための制度や環境、労働条件、住環境の整備が進んでいないことが問題視されています。

Zencoはオペレーターの作業をAIによる処理を経た上でロボットに反映するロボットテレワークシステムを通じて、国をまたいだ遠隔操作を実現し、外国人が自国にいながらにして労働力を提供するソリューションを提供します。

オペレーターがコントローラーで操縦したデータをAIが学習し操作精度を向上させると同時に、表面に触覚センサーを搭載したロボットハンドがどんな形状の物体でも簡単に把持することができます。

例を挙げるとコンピューターや精密機器に使用されるフレキシブルフラットケーブルは、非常に繊細なため従来は人手で作業せざるを得ませんでしたが、Zencoのテレワークシステムを使うことによってリモートで組立作業が可能になります。

現在は部品メーカー、電源装置メーカーなどの企業と共同で開発を進めています。


ORLIB

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ORLIBは高エネルギーを必要とするすべての人に、従来のリチウム電池と比較して2倍のエネルギー量を共有する電池を提供することをめざしています。

現在のリチウムイオン電池は性能が限界に達しつつある一方で、電池が起因する火災が2013年から2017年だけでも約400件起きるなど、利便性と安全性に問題を抱えています。

ORLIBが開発する電池はリチウム電池と比較してエネルギー量が2倍あり、発煙・発火がなく、レアメタルが不使用なため廃棄時の環境負荷も低いことが特徴です。

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現在はインフラ検査を行う企業やドローンメーカー企業と、インフラ設備の検査に利用するドローンにORLIBの電池を利用する実証実験の準備を進めています。

インフラ設備の老朽化に対する検査ニーズは今後増えていくことが見込まれる一方で、効率性や安全確保に向けた課題は山積しています。ORLIBの電池を採用することによって、こうした課題を解消することを目指します。

また、成層圏を飛行する通信基地局としての活用が見込まれる無人飛行機(HAPS)や、近距離の移動手段として注目を集める垂直離着陸型航空機(eVTOL)との親和性も高く、大手通信会社と実証実験に向けてディスカッションを進めています。今後はドローンへの適応から着実に実績を作り、無人飛行機や電気自動車など更に大きな市場への進出を計画しています。


LexxPluss

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LexxPlussは物流業界向けの、軌道走行と自律走行を切り替えられる自動搬送ロボットを開発するスタートアップです。

EC市場が急成長する一方で労働人口は減少しており、物流センターにおける搬送ロボットの需要は急激に高まっています。現在、物流センターでは床面に磁気を含んだ線で誘導する無人搬送車がありますが、線が剥がれ落ちたり消えたりする課題があります。

また、自律走行ロボットの開発も進んでいますが、現状では実際の現場へのインテグレーションに長時間を要するデメリットがあります。

LexxPlussは自律走行に加え、新たに開発した軌道走行技術を活用。物流現場の多種多様な作業工程に合わせて、1工程30分程度で導入でき、細かい作業の自動化を実現します。

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導入にあたっては物流の自動化を専門にしたテクニカル分析を基に導入サポートを行い、ロボットは製造価格で販売します。運用フェーズでは複数のロボットを一元管理でき、ユーザーが利用している既存のシステムとも簡単に連携できる仕組を構築中で、RaaS(Robot as a Service)として物流センターの自動化を支援します。

各社へのお問い合わせ

今回紹介した5社はそれぞれ関連する業界、企業との実証実験や、試験導入を募集しています。

お問い合わせは各社webサイトもしくはHAX Tokyoのウェブサイト上のお問い合わせ窓口からお気軽にご連絡下さい。

HAX Tokyo Batch 3応募受付中

HAX Tokyoでは現在Batch 3(第3期)に参加するハードウェア・スタートアップを受け付けています。

HAX Tokyoはスタートアップの経営の基本を学び、技術シーズとビジネスニーズを引き合わせる場です。

採択企業にはハードウェアに特化したコミュニティが提供され、ビジネスおよび製品開発の分野で世界をリードする専門家からアドバイスを受けることができます。また住友商事をはじめとする日本のパートナー企業とのコラボレーションの機会も得られます。

詳細はHAX Tokyo公式サイトをご確認下さい。応募期間中は毎週オンライン説明会を実施しています。