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統合と解釈~変形性膝関節症~

こんにちは。今日も「統合と解釈」についてお話します。

「統合と解釈」とは、理学療法評価を行った結果より「この患者さんの何が問題だったのか」、「この病気はどんな病気で、予後や病態はどんなものだろう」、「退院後の自宅での生活や復職、家庭的役割は今後どのようにしていけばいいのだろう」などを考えていくものです。

大きく分けて①病気の病態把握と予後を行う②理学療法評価より問題点把握をする③社会的問題の把握の3つに分けることが出来ると思います。

①に関して、病態把握や予後は先行研究や文献を調べることで同じ答えになりえますが、③の社会的問題の把握に関しては、一人ひとりで考え方も様々なため、内容もバラバラで考え方も様々かと思います。

今回は私が学生時代に書いた一症例(変形性膝関節症による人工膝関節置換術を施行)の統合と解釈を載せてみようかと思います。

※かなりの長文となります。

※本症例は学生時代に模擬的に掲示された症例を書いた架空のものであり、実在しません。

※学生さんなど、例文で参考になれば良いかなあと思います。


変形性膝関節症(osteoarthritis)は、膝関節を構成する大腿骨顆部、脛骨顆部、膝蓋骨の骨や軟骨に慢性の退行性変化と増殖性変化が起こり、膝関節の形態に変化が生じる疾病で、全国で約800万人を超えると推定されており、社会問題となっている。女性に発生頻度が高く1.5倍~2倍多い。年齢は60歳代の高齢者に多く、特に肥満女性に好発する。変形性膝関節症の病因は加齢現象に伴い、膝関節のクッションの役目を果たす膝軟骨や半月板が長時間に少しずつ減り変形することで起こる一次性関節症と、半月板損傷、靭帯損傷、関節内骨折などの外傷、関節リウマチや化膿性関節炎による炎症性、痛風などによる代謝性疾患による二次性関節症があるが、圧倒的に一次性によるものが多い。一般的な経過として、膝関節のこわばる感じや座位を続けた後の立ち上がり時の痛風、歩き始めの疼痛を訴えることが多い。いったん歩き始めると、疼痛は軽快するが、長時間歩行すると再び増強する。治療は保存療法と手術療法が用いられる。保存療法としては薬物投与、装具装着、リハビリテーションなどの保存療法が行われる。予後が良くない場合には、手術療法が施工される。手術療法では、保存療法で症状の改善が得られない関節破壊が進行した患者では、手術療法を考慮する。破壊が少なくてもロッキング症状がある患者では侵襲の少ない関節鏡視下の関節デブリトマンを行うことがある。比較的若い患者で変性がまだ関節全体に及んでいない場合には、骨切り術によって変形を矯正するとともに、変性が及んでいない関節面に荷重を移動させる骨切り術を行う。一方、末期の変形性膝関節症で、患者の年齢が60歳~70歳以上であれば、人工膝単顆置換術(UKA)や人工膝関節全置換術(TKA)を考慮する。人工膝関節置換術は疼痛と歩行能力を著しく改善させ、術後療法も長期を要さない。最近では日本人の生活様式に対応した人工膝関節の開発や最小侵襲手術(MIS)の応用が試みられ、よりよい機能回復が期待されている。予後としては、人工関節手術は術後の満足度も高いため盛んに行われているが、術後の肺塞栓症、感染、ポリエチレンの磨耗、人工関節の緩みや破損、膝蓋骨脱臼などの合併症があることを十分に患者に説明しておかなければならない。


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