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2024年5月の詠草 テーマ:仲間


公園の藤の香ほのかに漂いて体操仲間のかけ声弾む       
気まぐれな五月の風に鯉のぼりは大きな目をして待ちかねている 
森田郁代

久々に友とのランチ楽しめば愚痴も不安も何処かに消へし      
長年の闘病を経て義姉が逝き気丈に動く兄が愛おし     
山下ふみ子

焼き魚定食欲せど現実はマックのフィレオフィッシュで我慢 
たんぽぽの綿毛兄弟手をふってそれぞれの道別れゆく春 
藤代敏江

暗号にガキ大将の愛称を入れて使えば故郷近づく
郷里より手作りよもぎ粉届きたり笹だんご季の早来にけらし
楽満眞美

仲間とのひと時うれしハワイにて故郷(くに)の言葉で歌を詠む日々 
峻険な石ころだらけの道なれどスクラム組んで君とどこまでも 
六甲もこ

菜の花の蜜を集める蜂達は黄色いブーツで皆帰りゆく   
道端の物に溢れたテントには犬も子も住む 小さな家なり
伊藤美枝子 

菜の花と蜂

助けよう 艱難あるは行く末の仲間づくりの基となるや
初登山朝陽の照らすダイヤモンド彼女もするなら齢はすてて
今森貞雄

四十年を超える同期の集まりに認知の友を誘い出かける  
株式と時事問題を語りたき夫に尋ねる夕餉の献立     
鵜川登旨

持参した菓子を旅館で見せ合って遠足気分のシニア三人
満開の桜並木を見上げずに父の入った病院へ急ぐ
大室やよい

難しくてタイチのクラスを辞めたれどグループメールの吾を励ましぬ
高校の三人組の会う時は制服を着た我らに返る
岡まなみ

続くのは仲間いてこそ あの人の顔うかべつつ歌を届けむ
気力なく顔色悪く病人に仕立てられゆく入院四日目
小野貴子

散歩中見つけた白い花スマホに撮って即座に送る  
キッチンの煮込むスープのよい匂いに包まれながら友を待つ宵   
小島夢子

紫の小さな花はホトケノザひとしれず咲く路地の細道
菜の花に川風そよぎ水ぬるむ蝶の群れは低空飛行
関本なつ

あの夏にスクラム組みし仲間等はそれぞれの冬をいかに生くらむ
空輸されし桜の花にお稽古の仲間の顔がほんのり染まる
筒井みさ子 

ハワイの州花イエローハイビスカス

夢多き電脳仲間と語らえばわが青春も未来に持てり 
いつの間に咲いていたのかあかあかと数年ぶりの州花しみじみ     
原 葉


               

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