2023年7月の選歌
梅雨晴れに四(よ)枚のシーツを干し上げてひときわ旨し今朝のコーヒー
鵜川登旨
デジタルにせむとアルバムくりたれば名前の浮かばぬ顔の微笑む
岡まなみ
みどりごを腕に抱きて温もりを感じ息子は父となりゆく
森田郁代
支柱超えまだまだ伸びる朝顔の蔓は空をもつかまんとする
藤代敏江
午後六時仕事の顔を緩めつつ夕陽に包まれ家路を急ぐ
六甲もこ
夫つくるおこげご飯に目玉焼きまあるいきみが朝に輝く
藤代敏江
梅雨晴れ間木々の緑の冴え冴えと車窓流るる吉野への路
山下ふみ子
顔見せぬ娘(こ)の携帯に電話すれば三歳児取りて愚痴も言えずに
伊藤美枝子
犬同士鼻つきあわせてキュキュキューンお供の我らもあいさつ交わす
筒井みさ子
真っ白な皿に際立つカラフルなサラダは初夏の水彩画のよう
六甲もこ
この顔は酸いも甘いも噛み分けて出来た賜物鏡に笑う
小島夢子
検診を終へて戻りし夫の顔見つつ冷めたる珈琲すする
山下ふみ子
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