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ハワイのnote初心者、調子にのってます。 〜人口推移の違い〜

ハワイは日本より19時間遅れているので、今日はハワイは日曜日です。 今日もノリノリでハワイの統計に関する記事をお届けしたいと思います。

今日は日本とハワイの人口の推移についてです。

ご存知の通り、日本は人口が減る傾向にあります。ですがハワイは人口はジワジワ増えています。特にオアフ島ではこのところずっと住宅供給不足が深刻な問題となっています。

何が言いたいかというと、人口推移を見る限り、人口が増えているハワイの方が住宅需要がある、ということなんです。

では詳細に入ります。

国際通貨基金(IMF)の発行する IMF Working Paper という報告書の中に、”Demographics and the Housing Market: Japan’s Disappearing Cities”(人口統計と住宅市場:日本の消えゆく都市―2020年9月発行)という報告書があります。

この報告書の中に、日本の人口推移を表すグラフがあります。(図表1)。

図表1 Japan’s Population and its Age-group Composition

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出典:IMF Working Paper, ”Demographics and the Housing Market: Japan’s Disappearing Cities” by Yuko Hashimoto, Gee Hee Hong, and Xiaoxiao Zhang, Sep. 2020.

この中で15歳から64歳までのいわゆる「労働人口」が、1995年ぐらいを境にどんどん少なくなっているのと同時に全体の人口も減少していく予想結果が記されています。逆に高齢者被扶養者比率(扶養されている高齢者の全体の人口に対する比率)が、2015年には43.9%だったのが、2065年には74.7%まで上昇するという予想です。

74.7%!!! 気が滅入りそうです。

アメリカ全体においてはまだ人口増加の傾向ですが、ハワイ州はどうでしょうか。

ハワイ州のDepartment of Business, Economic Development & Tourism(経済開発観光部)の経済分析リサーチ報告書を覗いてみました。いちばん最新の報告書は2018年発行なので少し古いのですが、1980年から2016年までの実際の数字と、ハワイ州が予想する2025年からの数字をグラフにしてみました(図表2)。

図表2 ハワイ州全体の人口の推移

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2016年に1,428,557人だった人口が、2025年には1,514,700人となる予想が出ており、2016年から2025年までは毎年約0.7%の割合で上昇し、2025年から2035年までは約0.5%、2035年から2045年までは約0.3%の割合で上昇すると予想されています。

つまりずっと人口が増え続けるわけですね。

では年齢別の人口を見てみましょう(図表3)。

図表3 Resident Population by Major Age Group: 1980 to 2045

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ちょっと見にくいのですが、これを見ると、18歳から64歳までの「労働人口」(図表1の日本の人口を示した表にある年齢と若干ズレますが)が2016年で全体の61.4%、2045年には55.9%となる予想で、65歳以上の人口は2016年で全体の17.1%、2045年には23.8%になる予想が出ています。

図表1で、高齢者の被扶養者比率(図表1の緑の線)が表示されているので、ハワイの同じ比率を調べてみました。ハワイでは、高齢者の被扶養者比率は2018年の時点で27.8%、2045年には結構上昇する予想ですが、それでも約42%までです(図表3参照)。

図表3 Dependency Ratios: Historical Trend and Projection

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図表3の左側の棒グラフは、2018年の時点で被扶養者の比率を示してiいて、高齢者の被扶養者比率が、ハワイ州では27.8%(オレンジ色)、アメリカ全体で24.6%(ウグイス色)となっています。

右の折れ線グラフでは、赤い線が高齢者被扶養者比率で、青い線が子供を含んだ全体の被扶養者比率です。

日本の高齢者被扶養者比率は74.7%でしたよね。

つまり、ハワイ州はアメリカ全体からすると高齢者および子供を含み、被扶養者比率が若干高いものの、日本と比べるとかなり低いということになります。ハワイではまだまだ労働人口の方が多く、働き手の方が被扶養者の数より多いのです。

結論として、日本は全体の人口が減少、特に労働人口が減少し、高齢者人口が多くなるという予想です。ハワイ州は1%未満ではありますが、これからも徐々に人口が増えていく予想が出ています。

ハワイの人口が増えるのと同時に、高齢者人口も増えることは増えますが、割合としては全体の30%未満となる予想です。

ということは、日本の不動産は外国資本が多く入ってこない限りは需要が減り、ハワイ州は人口が増えていくので急激な増加にはならないものの、住宅需要はいつもあるということになりますね。

ここで目下のハワイの問題点は、ハワイに住む人たちが購入できる価格帯の住宅の数が足りないという点です。不動産の価格が上がるのは投資家にとってはいいことなのですが、値段が上がり続けるハワイの市場対策として、政府としては中間所得層の住人たちが購入できる価格帯の住戸をもっと増やしていかないといけないのです。

ハワイには高級住宅物件がたくさんあり、日本人を含め、ハワイ以外に住む資産家の方々が所有する何億円もするような豪邸は、「別荘」として使われることが多いため、通常誰も住んでいません。住宅はあるけれど、ハワイのローカルの人が「買えない」「住めない」という状況が起こっています。

そこで、政府はまずはこういった高級住宅に対する固定資産税を上げる政策を取りました。評価額が$1,000 ,000を超える高級住宅で、実際にオーナーが住んでいない場合は特別レートが適用され、固定資産税が高くなります。

ハワイの不動産を考える場合、そういった人口推移、住宅需要の傾向、それに関する政府の対応なども、ちょっと気にする方がいいですね。


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