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産休育休から復帰した後の社会保険など

 こんにちは。たまには社労士っぽいこと言ってみようかと思います。妊娠や出産、育児休業を経て職場復帰される方の社会保険などについて、質問を受けたことがあることを中心に書いてみます。社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)に加入されている方を想定していますので国民健康保険の方や配偶者の扶養になっている方などは制度が異なります。また、具体的な要件などは省略します。要件を満たさなければ給付は受けられませんのでご自分の状況がどうなのかはご確認ください。

産前産後休業

 産前6週、産後8週は産前産後休業です。この期間、社会保険料は免除です。本人負担分も会社負担分も免除です。また、保険料が免除になっていても将来受け取る年金額は休業していないのと同じ計算になります。休業しているので給与は支給しない会社がほとんどだと思いますが、健康保険から「出産手当金」の支給を受けることができます。金額は受けていた給与のだいたい3分の2です。

育児休業

 産後8週が経過してなお休業を続ける場合はそこからは育児休業になります。育児休業期間中も社会保険料は免除です。年金額に影響しないのも産休と一緒です。所得保障については産休中は健康保険からから受けていたものが、育休は雇用保険から給付を受けることになります。「育児休業給付金」です。支給額は最初の6ヶ月は給与のだいたい67%、その後50%です。育児休業給付金は原則子が1歳に達する日の前日(誕生日の前々日※)までですが、保育園に入れないなどの事情がある場合最長2歳まで延長できます。
 ※「達する日」とは法律上誕生日の前日のことを指します。なので「達する日の前日」というと誕生日の前々日のことになります。

職場復帰

 育休が終わると職場復帰しますが、以前のように残業ができなくなったり、そもそも短時間勤務に切り替えるなどして収入が出産前より下がることがあります。雇用保険の場合、保険料は毎月支払われた給与額に一定率をかけて徴収されますので収入が下がれば自動的に保険料も下がります。一方健康保険と厚生年金保険は出産前の報酬を基準として決められています。復帰して給与が下がったのに保険料が高いままでは手取りが減ってしまうので復帰後3ヶ月の報酬の平均が下がっている場合、保険料を下げる手続きを行うことができます。(育児休業終了時標準報酬月額変更届)
 さて、保険料が下がるのはいいのですが、給付はどうでしょう。原則としては給付も金額は下がります。診察をうける費用(3割負担部分)など、そもそも収入によって金額が上下する性質ではないものは関係ないですが、健康保険の出産手当金や、傷病手当金などの所得補償は保険料がさがったことに合わせて下がるようになっています。逆に自己負担額が下がることもあります。入院や手術などの高額な療養費がかかる場合、所得の区分に応じて自己負担の上限額が決められいて、所得の区分が細かくないので該当しないことも多いですが、該当すれば下がります。将来受け取る年金額については、届出を行うことで、出産前の保険料を払ったものとみなして年金額を計算してもらうことができます。

 このように、社会保険には産休や育休を取ることで受ける不利益をなるべく減らそうということで様々な制度が設けられています。十分に活用して、働き続けたい人が働き続けられることを願います。

年次有給休暇は?

 社会保険の制度ではありませんが、質問を受けたことがあるので書いておきます。育休明けには有給が付与されないと思っている方もいるようですが、有給休暇は付与されます。有給休暇の付与の要件は前回の付与以降の出勤率が8割以上であることです。出勤率は「出勤した日数÷本来出勤すべき日数」で算出しますが、産休育休はこれを出勤したものとして取り扱うと労働基準法に書いてあります。ずっと休んでたのにさらに有給まで付与されんのかよ!なんて思う方もいるかも知れませんが(言われた人がいる)法律上そうなってますので、お子さんの体調不良などでどうしても休まないといけないような場合は有給を使用して休むこともできますから、育児しながら働いている方にとっては有給付与されるメリットは大きいです。

 文字数を抑えようと思ったのでかなり端折ったつもりですが長くなってしまいました。ご自分が給付金を受けられるかなど、要件をよく確認して、職業生活と家庭生活のバランスを取っていってください。

※トップの写真は息子のうちのどれかです。生まれた直後の写真なので知り合いでもわからないかも。

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