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公衆衛生虎の巻

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公衆衛生にまつわる歴史やエピソード集です。これまで掲載した記事をまとめています。高木兼寛の言葉「道は古今を貫く」の観点から、公衆衛生の「既にある未来」を知りたい方におすすめです。
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記事一覧

E型肝炎の原因は、発展途上国では「水」、日本では「鹿の生肉」である

私の生まれた椎葉村は、昔も今も狩猟が盛んな土地です。 民俗学の柳田国男は、内閣法制局の官…

ハベレオ通信
12時間前
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ヒポクラテスは、プラタナスの木陰で、学生たちに医学を教えた

ヒポクラテスが書いた「空気、水、場所について」という本があります。 実は、地域医療を考え…

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亜硝酸塩を摂取した赤ちゃんは、「青ちゃん」に変化する

水道法には、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の基準がもうけられています。 これらは、家畜の糞尿…

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手塚治虫さんと石ノ森章太郎さんが十分な休養をとっていたら、あと二〇年間新作が出た

第一次世界大戦では、飛行機や戦車や毒ガスなどの新兵器が登場し、人類史上空前の壮絶な戦いを…

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安西先生は、あきらめたらそこで試合終了ですよと言った

1943年末に、連合国軍は、イタリアに侵攻しました。 イタリア南部のアドリア海に面したバ…

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酸素は、「万能の蘇生薬」である

英国の災害ルールでは「酸素は万能の蘇生薬である」としています。 初めて見たときに、うなっ…

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公衆衛生のサイエンスとアートを磨くことは、歴史を知ることが一番の近道である

ドイツの鉄血宰相ビスマルクは、「愚者は経験から学ぶが、余は歴史から学ぶ」と言いました。 相当な「上から目線の言葉」ですが、社会保障の世界では「ビスマルクは社会保障三部作を創設した政治家」だとされ、極めて評価が高いので、許してもいいかも。 ビスマルクは、老齢年金、医療保険、労災保険、を創設しています。 医療保険の保険料を事業主と本人が折半することや、労災保険の保険料は事業主が全額負担するという原則は、現在も続いています。 日本の内務省は、ドイツの医療保険を学んで、日本に導入

我が国の歴史上の人物で、確実に糖尿病だと言える最古の人は、藤原道長である

11月14日は世界糖尿病デーです。 インスリンを世界で初めて抽出したカナダの医師バンディング…

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医師の中で小児科医が一番、ワクチンの効果を知っている

ドイツ人の医師のモーニッケは、1848年から1851年まで、長崎の出島のオランダ商館の医…

ハベレオ通信
2か月前
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中学校の校歌は、地域包括ケアの旗頭になる

私の親戚にトランペッターがいます。  彼の結婚式に出席したところ、新郎がトランペットで曲…

ハベレオ通信
1か月前
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古事記は公衆衛生学的に示唆に富む

「古事記」は面白いです。 たくさん本がありますが、おすすめは、石ノ森正太郎さんの「古事記…

ハベレオ通信
3か月前
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東村アキコさんの漫画を読むと、稲荷神社にきつねが祀られている理由が分かる

世界三大主食と言われているのが、小麦、米、トウモロコシです。 それぞれの民族が、ほぼこの…

ハベレオ通信
2か月前
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スラムダンクは、禁煙教育の最強のツールである

宮崎県延岡市の映画館の前を歩いていたときに、「スラムダンク」の等身大のポスターを見ました…

ハベレオ通信
2か月前
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宮崎県出身の高木兼寛は公衆衛生の大物である

明治時代に創設された陸軍では一日六合もの米食を支給していました。 そのために、脚気にかかる兵士が続出します。 しかし、原因はわからないままでした。 陸軍の軍医森林太郎(後の鴎外)がドイツに派遣され、衛生学の習得と脚気の原因究明を命じられました。 林太郎は、ドイツ公使だった青木周蔵(後の外務大臣)に挨拶に行きました。 青木公使から、ドイツに何を学びに来たのかと聞かれました。 「衛生学です!」と答えたところ、青木公使に「下駄を履いて鼻くそをほじくる日本人が衛生学とは笑わせる」