非当事者研究への脚注その3

 「当事他者」は「当事者」に「呼び掛け、応答を期待する者」です。「呼び掛け、応答を期待する」ことは「きく」ことでもあります。

 「当事者」と関わるにあたって、「傾聴」すなわち「聞く・聴く」ことで、「当事者」の主体性を尊重することが大事とよく言われます。これまで聞かれてこなかった「当事者」の声を「聞く・聴く」ことはもちろん大事です。しかし「当事者」が話さないなら、聞かなくていいのでしょうか。もしかしたら話せないのか、あるいはなにを話したらいいのかわからないのかもしれません。そこでもやはり大事なことは「きく」すなわち「訊く」ことです。

 「訊く・尋ねる」ことで、「当事者」から「応答」があるかもしれませんし、なければないで一つの応答であり、待つ必要があるかもしれません。いずれにせよ、ここでもやはり「当事者」が能動的に話すのを受動的に「聞く・聴く」という一方向的なものではなく、「訊いて応える」という双方向的なものが必要です。したがって「当事他者」は「当事者」に「訊く」のです。

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