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娘にクロールを教えました (後編)

ステップ3 手と腕で水をかく

  クロールの推進力のメインは、手と腕で水をかく動作なのかなと思います。自分で泳いでみて、バタ足はサブ的な感じで全体のバランスをとるくらいの役割、主な推進力は水をかくことだなと感じました。

 では、水をかいてみます。水面に浮かび、前に伸ばした腕を交互にかいていきます。右腕でかいている間は、左腕は前方のまま。そして、かいていた右腕が戻ってきたら、バトンタッチして左腕でかくというような動作です。 手のひらは少し指の間をあけスプーンのように丸みをつけるとよく水がかけるそうです。下図のようにドッジボールをもっているイメージで「ボールを体の真下を通して後ろに投げる感じだよ。」って教えました。

 ひじは、”く”の字に曲げて手や腕にあたる水を後ろに押し出していきます。かいている手は腰のあたりで水上にあげるように大きく動かすといいのではないでしょうか。グイグイ回して泳ぎのリズムを作れるといいです。これも大体できればOKにしました。これで、ほとんどクロールの出来上がりです。

へたな図ですが、文章だけではなかなか上手く伝わらないと思い、図をかきました。想像力を豊かにしてご覧ください。スミマセン。


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ステップ4水面から顔を上げる。

 息継ぎに入っていきます。ここから難しいところに入っていきます。どのようにすれば、安全に教えることができるかとあれやこれやと工夫をしたところです。

 では、息継ぎを教えるための前に水面から顔を上げる練習をしました。始める前に2点娘に確認しました。

息継ぎは、左右どちらに顔を上げてするのかを決めます。向きやすい方でいいんです。しかし、娘はよくわからないようだったので、真後ろから声をかけて、自然と振り向いた方に決めました。まあまあいい加減な感じです。

②もう1点は体を回転させることの確認です。”気を付け”をさせます。気を付けをしたまま顔だけを、先ほど決めた息継ぎする方向に回します。どこまで顔は回るでしょう?横を向くのが精一杯です。そのままでは水を飲んでしまいます。次にその横を向いたままの姿勢で腰から上半身をひねるとどうでしょう。真後ろを向くことができます。泳ぎながらここまで顔を回せられれば、余裕で水面に顔を上げることができ、楽に息が出来るはずです。

 息継ぎは顔だけを回してするのではなく、上半身のひねりを加えれば簡単に顔を水上に上げることができます。これを娘に確認させました。

 では、泳ぎながら顔を水上にあげる練習です。今まで練習してきたクロールに顔を上げる動作を加えます。

 しかし、まだ息はさせません。顔がしっかり水面に出せるようになるまでは息をさせずに練習します。不完全な顔上げで息継ぎして水を飲んでしまわないようにするためです。ですから、ちゃんと顔を上げられるまで絶対に息をさせません。そして、練習は30分間。これはずっと守り続けます。できるまで続けるようなことはしません。この動作を体が覚えるまであせらず繰り返しました。毎回少しづつ上達する娘を見るのはうれしかったです。

そして、顔が上がるようになったら、いよいよ息継ぎです。

ステップ5 息継ぎをする

 水中では呼吸ができないという恐怖心は誰でも持っています。当然です。下手に水を飲んでしまえば咳き込むし、鼻の中に入れば痛いし、これはみんなが経験しているからです。

 そこで、試してもらいたいことがあります。プールの中で立った状態で結構です。お風呂の中でもいいかもしれません。

①水の上で息を出し切った状態で水中に潜ってみてください。吐ききった状態でも結構体を動かすことができることがわかります。息を出し切っても体は動くことを娘に教えてあげました。

②次に水中に顔を潜らせ、鼻からゆっくり息をブクブク出して、しっかり息を出し切ってから、水上にザバッと顔をあげて一気に口から空気を吸いこみます。そうしたらまた、すぐに水中に顔をザブンと潜らせ、また鼻から息をブクブク出し切って、ザバッと顔をあげて口から空気を吸い込む。こんな呼吸を続けてできるように練習します。水中で息を出し切ることがポイントです。

 この呼吸の仕方で息継ぎのコツが、つかめるんではないかなと考えました。息は水中で出し切って、その出し切った反動で一気に肺へしっかり吸い込むことが大事だと思ったからです。怖がって中途半端に息を出していると浅く弱い呼吸になってしまい、泳いでいる途中で苦しくなって止まってしまいます。怖がらずにしっかり息を出し切るというのがポイントです。そのあとはしっかり顔をあげて大きく開けた口から一気に吸いこんで水中に戻る。

 では、いよいよ腕を動かす動作を加えて息継ぎを行います。しかし、まだプールで立ったままの状態で行います。水中で鼻から息を出しながら、腕を水かき動作を加えます。息継ぎも一定のリズムが必要です。腕を何回まわして、顔をあげて一気に息を吸い込むかはお子さんの息に合わせながら決めていってください。息を吸い込むのは一気に顔を上げた一瞬ですので慣れるまで大変ですが、このような安全な状態で息継ぎのリズムをある程度つかんでほしいです。

 では、本番です。泳ぎながらリズムを意識して、水中で鼻から息を出しきり、水面から顔を出して一気に息を吸い込み、また水中へ。

 息継ぎ動作を泳ぎに加えると泳ぎのバランスが崩れます。見た目バタバタした泳ぎになりますが、私は息継ぎ後に頭がしっかり水中に沈んで泳げているかどうかを見てあげました。

 うまくいかない場合は、どこがうまくいかないのかをよく聞いてあげて、不安な部分を前に戻って練習させます。最初はドタバタ泳いでいますが、日数を重ね、睡眠をとることによってどんどんうまくなっていきます。ニコニコ見てあげてホメてあげればドンドンうまくなっていきます。

お疲れさまでした。

最後に

 子供は集中が続きません。無理にさせては、イヤイヤな感じでやるようになりますし、なんだか自分が鬼コーチみたいになってしまうことがイヤでした。そんなに泳ぎがうまくない父親が自分の練習もあわせながら練習方法を探って指導するのですから、それだけでも大変です。

 時間がかかるかもなーと思いながら、娘のペースで安全に行うことを一番に考えました。練習をキツくし過ぎて、イヤイヤな感じの娘が、ドナドナな感じでプールに連れて来させられるようにならないよう気を付けました。

 そして、教えたのは秋から春にかけてガラガラになる温水プールを利用しました。水中ウオーキングをしてみえる方ぐらいしか利用されないので結構自由にできました。週末を利用するため、練習は1週間以上間隔が、空きますが問題なく続けられました。今から20年くらい前のことです。

 プールから出ると腹ペコなので、コンビニで焼き鳥缶とジュースを買って食べてました。毎回必ず同じメニューですが、子供はなかなか食べられない焼き鳥缶なのでニコニコ食べてました。

 3歳下に次女がいます。お姉ちゃんが練習するのを見て覚えたのか 幼児用のプールで勝手に浮かんでいました。見た瞬間は、ドキッとして駆け寄りました。大丈夫かと名前を呼ぶと、ガバッと立ち上がり笑ってました。この子もこの方法で泳げるようになりました。

 不思議なことにクロールを教えると、平泳ぎもできるようになりました。別に教えた訳ではありませんが、水に慣れるという事はこんなものなのでしょうか。

 教えるきっかけは、妻から小学校に上がると泳げない子が夏休みに集められて合同で練習するという事を聞いたことでした。本でいろいろ調べて自分で教え方を考えながら、自分も練習していました。でも、なんとかなりましたね。一番良かったのは子供の日々の成長が目の前で見られたことです。なんだか満足感とか達成感とかを感じられホントに良かったです。是非クロール教えてあげてください。




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