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10時間限定のコンテストで受賞しました!

 エブリスタの「リアルタイム妄想コンテスト」に受賞しました。

受賞

 公式ツイートにあるとおり、お題発表から締め切りまで
・応募期間は10時間
・文字数は1000字まで
・結果発表は2日後
という超ハイスピードなコンテストでした。

もう一つの大きな特徴は、賞に「大賞」や「佳作」がない代わりに、受賞本数が50作品という間口の広さだったので、しっかりとそこに入れたのは良かったです。

受賞作品は改稿して、noteにも投稿したので、是非読んでくだされば。


Strategy

  本題は終わったのでここからは10割自分語りになります。興味がなさすぎる人は飛ばしてください。

 今回のコンテストはその性質上、敷居の低さが強調されていました。 ただ唯一の関門は

『10年前/10年後のキミへ』

というお題の難しさだったと思います。特にやっかいなのは「10年」という具体的な数字が入っているところです。
 作品の軸であるイベントに「10年でないといけない理由」が必要になってきて、じゃあその設定は「8年後や5年後ではダメなのか」という部分が、自分の中では大きかったです。
 
1つの考え方としては、10年というスパンを10年という直接表現を避けて「小学生から始めた部活動を高校3年生まで続けている」
「学生恋愛から社会人になって結婚する」
というような捉え方をする作品が自分は好きですが、1000字という上限でそこまで求められていたのかは分かりません。

また投稿時にパッと目に付いた、他作品の傾向としては、
・エブリスタ(10周年)自体を舞台にした話
・作品タイトルに「10年後の~」が入っている
・タイムカプセル
という感じでした。
 『自演』に関しては、メインイベントを「投稿サイト」とすることで、エブリスタ=10周年という必然性をとりつつ、「(架空の)投稿サイト」という表現は、エブリスタの読み手はエブリスタと解釈するし、noteの読み手はnoteと解釈できる代替可能性を残せたのが良かったかなと思います。

 得意ジャンルのメタネタを使いつつ、noteで以前開かれた1000文字コンテスト『一駅ぶんの驚き』の経験が生きました。
 なにより「ここ半年の間で短編について自分以上にこだわっている人はそうそういないだろう」という自信が持てたのが良かったですね。

 
  残りは、落選作とコンテストについての話になります。

 落選作といっても同一作者の2本受賞の可能性があったかどうかで、話は変わるんですが、個人的には『自演』よりもこちらの『羽化』の方が好きですね。
 内容の粗探しをすれば、「作者の脳内で描写が完結している」「3流ホラー以下」の作品と言われてしまうのはしょうがないのですが、論理的な話の組み立てが『自演』との大きな違いです。
 自分は元々、論理的な話、つまり前提から結末への必然性を重視した話を書くのが好き、というのは前回の記事でしました。けれど『自演』の選評を見ると

10年越し

ロジックよりも共感による描写が評価されているのが分かります。

 論理と共感については、また別記事でお話できればいいと思っているのですが、簡単に違いを説明するならば、この前noteで開かれていた「キナリ杯」は完全に共感を重視したコンテストのように思えました(なので自分は応募せず)。
 論理的な正当性よりも、趣味趣向による共感が強いといことですね。私は以前に公募で選ばれるのは「ストーリー性がある話」じゃないか、ということを言った覚えがあるのですが、この「共感」という要素も大きなウェイトを占めていると思います。

 特にエブリスタは、今回の結果を見るに「コメディ色がほんのりとある、ライトな文芸」が評価されている傾向にある気がして、そこに上手く合致したのではないでしょうか。

 最後に考えたいことは、公募において「自分の書きたいもの」か「審査員が好みそうなもの」のどちらを書いたらよいかという話になります。
 これに関しては、この記事をここまで読んでくださっている方のほうが、一過言あると思うので、明言は避けますが、自分の今のスタンスは「どっちも書くのがベター」ということです。

「(オーディションは)相性を見るためのお見合い。必勝法はないってきいたんです。だったらできるだけ色んな子を演じた方が有利だと思って」

 というのは最近、少年誌に載っていた主人公の言葉。審査員の「好み」をいくら考えても、狙って合致させるのは難しいので、開き直って数で勝負すればいいという発想ですね。


自分が今回書いた2作品は
『自演』 女性主人公 未来→過去 コメディ風
『羽化』 男性主人公 過去→未来 ホラー風


 というように真逆の構成になっていて、どちらかが引っかかればいいなという算段でした。

 数的優位論に対する反論としては、一つの作品を磨き続けた方がよいという質を重視した意見が考えられますが、短編(特に文字数上限がある)に限っては長編よりも工夫できる余地が少ないため、それならばテーマに対する多角的な見方というのを、複数の作品で実現した方が強いと思っていて、努力すれば、それができてしまうのも「短編」の良さであると考えます。

 少なくとも今は、身の丈にあった傑作を書くよりも、身の丈をめいっぱい伸ばせるような作品にガンガン挑戦していければいいなと思っています。

最後まで読んでくれてありがとうございます