アンコオウル(ショートショート)
読み手によって言葉の捉え方が変わるように、季節によって景観が変わるように、世界には様々な姿の生物がいる。
その和菓子でできた梟は秋を啄み冬の始まりを告げる。口からは氷のペレットを吐き出し、羽ばたけば湖が凍った。
だが人々はその黒い姿を恐れて、彼らを囲んで叩き、みなごろしにしてしまった。はんごろしで助かったものも、春になると泥のように溶けてしまった。
それが居なくなってから初めて、人々は悔やんだ。もう一度、もう一度、あの幻想的な姿が見たいと。
その呼び掛けに答えるように、遥か深海で、新種の生物が無人探査機によって発見された。夏祭りの提灯がゆらりゆらりと生き物の如く揺れているのだ。人々の心は踊った。
金儲けのため多くの者が、それを捕まえて売ろうとしに行った。たが欲に目が眩んでいる内に、ぱっくりと開かれた口が彼らを飲み込む。
真っ暗な海の底では、祭りの後の静けさとハッシュタグだけが残っていた。
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