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がらんどうに響く

どこかで、酷い劣等感を抱いている。

なにに、と問われても、言葉は出てこない。
ただ、漠然とした不安や焦燥感。心臓の向こう側から、血流とともに全身へと回ろうとする、目に見えぬ毒。
目に映るものすべてが、自らの矮小さを際立たせる装置に見えて、困る。

常に、卑屈で生きているわけではない。
自分の人生に満足したり、私と言う存在を誇らしく思うことだってある。代替しようのない、唯一無二の自我なのだと。私はここに生きているのだと、強く己の中に打ち立てている時もある。

それでも、ふと、顔を出す。劣等感。誰に対してでも、何に対してでもない。劣等感が矛先を変えて、誰かを批判的な目で見てしまう時などは、己の醜悪さに目を伏せてしまいたくなる。

無性に、泣きたくなるのだ。
こういうときに、本当に涙が出たことは一度もない。
それでも無性に、泣きたくなる。

あまりにがらんどうな自分の中で、流れない涙の、だがその泣き声だけが、わんわんとこだましていた。

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