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【ChatGPT Bard比較】社労士受験生必見!社労士試験の過去問をAIに解かせて結果を比較してみた。現役社労士が解説!

はじめに

何かと話題のChatGPTですが、社労士業務を含め多くのビジネスシーンで有効活用されています。AIは特性を理解し、正しく利用すれば業務効率化が進む有用なツールです。
服部社会保険労務士事務所でもChatGPTを利用したAIアシスタントLINE botを構築してみました。WEBサイトでも公開していますので、気になる方は是非使用してみてください。

社労士を目指す受験生の皆さんも、試験勉強において何とかAIを有効活用できないかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、過去問をAIに解いてもらった場合、どのような回答が返ってくるかを検証してみました。

条件(プロンプト)について

出題する過去問

労働基準法の労働者であった者は、失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者である。

令和4年度 労働基準法及び労働安全衛生法 問1

令和4年度の労働基準法及び労働安全衛生法からの問題です。
選択問題のうちの1つの文を選び、正誤問題として回答とその根拠を聞いてみました。
ちなみにこの問題の正解は「誤り」です。
労働基準法における労働者の定義を問う基本的な問題ですが、どのように解説してくれるのでしょうか。
それではAIに出題してみます。

プロンプト(命令文)

ChatGPT-3.5、ChatGPT-4、Google Bard で検証します。
それぞれ新しいチャットを開き、初回の質問とします。
AIに問うプロンプトは以下の通りとします。

労働基準法の労働者であった者は、失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者である。

社労士試験の正誤問題です。
この回答と根拠を答えて下さい。

ChatGPT-3.5の場合

回答

回答:正しい

根拠:労働基準法は、労働者の労働条件や労働環境の保護を目的としており、労働者の権利を確保するために適用されます。したがって、労働基準法の労働者であった者が失業した場合でも、その後も求職活動を継続している限り、労働基準法の保護の対象となります。求職活動中の労働者に対しても、最低賃金や労働時間制限などの労働基準法の規定が適用されます。ただし、具体的な保護の範囲や条件は国や地域によって異なる場合がありますので、詳細な規定については該当する法律や労働基準監督署などの公的機関に確認することが重要です。

社労士の解説

この回答は誤っています。
根拠の始めの記述「労働基準法は、労働者の労働条件や労働環境の保護を目的としており、労働者の権利を確保するために適用されます。」は正しいですが、その労働者に失業者は含まれません。

ChatGPT-4の場合

回答

この記述は「誤り」です。

労働基準法における「労働者」の定義は、「事業に使用される者」です。失業し、求職活動を行っている者は、特定の事業に使用されているわけではないため、労働基準法の「労働者」に該当しないと考えられます。

つまり、労働基準法は、労働契約に基づき、特定の事業主の指揮監督下で労働を行っている者(つまり雇用者)に対する権利や義務を規定しています。求職活動中の者が直面する問題や権利は、労働基準法ではなく、他の法律、例えば雇用保険法や職業安定法などにより規制されています。

したがって、失業して求職活動を続けている者が労働基準法の労働者であるという記述は誤りとなります。

社労士の解説

この回答は合っています。
根拠も間違いないですが、労働者の定義についてもう少し踏み込んだ解説があるとより良いかなと思います。


Google Bard の場合

回答

この文は誤りです。労働基準法の労働者が失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者とはなりません。労働基準法の労働者とは、事業に使用され、労働の対償として賃金を支払われる者であり、失業中は労働の対償として賃金を支払われていないため、労働基準法の労働者に該当しません。

ただし、失業した労働者は、雇用保険の被保険者であれば、失業等給付を受けることができます。失業等給付には、基本手当、再就職手当、就職促進給付、教育訓練給付などがあります。基本手当は、失業した労働者の生活を安定させるために支給される給付であり、失業した労働者が離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上ある場合に支給されます。再就職手当は、失業した労働者が再就職した場合に支給される給付であり、失業した労働者が離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上ある場合に支給されます。就職促進給付は、失業した労働者が再就職活動を行った場合に支給される給付であり、失業した労働者がハローワークで求職活動を行ったり、職業訓練を受けた場合に支給されます。教育訓練給付は、失業した労働者が職業訓練を受けた場合に支給される給付であり、失業した労働者がハローワークで認定された職業訓練を受けた場合に支給されます。

社労士の解説

この回答は合っています。
根拠の内容も正確ですが、労基法よりも雇用保険の解説がメインになっています。

感想

ChatGPT-3.5のみ誤った回答をしました。
根拠となる法律に関しては合っている部分もありますので、回答を見て自分で誤りの箇所を探すといった使用方法は可能だと思いますが、ChatGPT-3.5をメインの学習ツールとして使用するのは少々難しいというのが正直な印象です。
あくまでも学習の息抜きや気分転換に使ってみましょう。

ChatGPT-4とGoogle Bard は正しい回答をしました。
様々な解説の視点があるというのは、試験勉強にとって非常に有用です。
今回の例題においてはGoogle Bardで法令の横断的な解説も出ましたので、学習ツールの一つとしては役立ちそうです。
ただし、この記事は今回検証した問題に限った話であり、他の問に対して必ずしも正確な回答が出るとは限りません。

また、この記事はあくまで私の環境で行ったことであり、使用の判断は自己責任でお願いします。
みなさん、試験勉強頑張って下さい!


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