日銀の政策委員会:通常会合とは何か

政策委員会の会合は、金融政策決定会合(MPM)が注目される傾向がありますが、金融政策以外を決定する「通常会合」もあります。昨日は、2004年における会計処理の変更を取り上げましたが、会計処理については金融政策ではないことから、通常会合で決定されています。

2004年における日銀による保有国債に関する会計処理の変更:金利上昇時への対応(償却原価法導入)|服部孝洋(東京大学) (note.com)

日銀の説明によれば、MPMでは下記のような内容が決定されます(これは日本銀行法第15条第1項で規定されます)。

  • 金融市場調節方針の決定・変更

  • 基準割引率、基準貸付利率および預金準備率の決定・変更

  • 金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)の決定・変更

  • 経済・金融情勢に関する基本的見解の決定・変更

政策委員会とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)

一方、通常会合は、原則毎週2回開催され、下記のようなものが決定されます(これは日本銀行法第15条第2項で規定されます)。

  • 信用秩序の維持に資するための業務の実施

  • 国際金融業務の実施

  • 経費予算の作成、組織に関する重要事項、定款・業務方法書の変更

  • 国会への報告書・業務概況書の作成

  • 政策委員会が特に必要と認める事項

政策委員会とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)

通常会合として話題になるものとしては、プルーデンス政策が典型です。下記は木内さんの記事になりますが、2020年11月に決定された「地域金融強化のための特別当座預金制度」が通常会合で決定されたものとして紹介しています。

日本銀行が地域金融機関支援の特別当座預金制度の導入方針を決定 | 2020年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

前回紹介した「日銀はこうして金融政策を決めている」でも、通常会合について様々な記載がなされていますが、例えば、「通常会合で話し合うテーマは一回限りのことが多く、議論の中身を比較的早めに公表しても、次回以降の会合で委員が外部から不当な圧力を受けたり、次回会合以降の議論についてさまざまな憶測が飛び交って市場が混乱したりする懸念が小さい」(p.292)という特徴を指摘をしており、議事録の公表などにも違いが生まれている点を指摘しています。

通常会合でどのようなことが議題になっているかですが、事後的に、政策委員会月報で確認可能です(下記を参照)。

その他も本をいくつか見ましたが、決定会合に比べてどれも記載が少ないという印象を受けました。追記できる点があればここは随時アップデイトします。

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