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美人画ルネサンス 媽祖・麗様・穂雨の雨待ち・人魚図

こんばんは。
書くで。

今回の女性画挑戦に関して前回わしは、「山口百恵になったるけえの!」という話をしたかと思うがつまり今回挑んだ女性は全て他人である。
(昨年末に描いた「山姥図」は母である自分を描いたので、対象外である。
女性を描くという行為は自分の性であるにも関わらずなぜかものすごく疎外感があり、どうしても自己表現がしにくいのだ。
なので、今回の女性画挑戦では
 ① 他人
 ② 描かれてきた画題
で取り組むこととした。


■ 媽祖(まそ)

媽祖を描くのは初めてではない。
2019年3月に発表した「春雷」という作品で、この時はオッサンとして登場していた。

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変な絵だな!

媽祖は道教の女性神で、航海・漁業の守り神です。
長崎の興福寺(黄檗宗)に媽祖像があって、めちゃくちゃかっこよくて以来なんとなく惹かれているのである。

でわたしはなんや昔からいろいろな宗教が好きというか身近というかあったからあれやけど、現代って正直全く身近とは言えないものでないですか。
人によるか。
でも、「マジ神」とか「尊い」とかいう言葉や比喩はガンガン使うじゃないですか。
そういうのって案外ギャグでなく本気でそう感じていたり推しを崇めていたりする訳で、別に信仰心というもの自体は人々に根付いているわけだ。

そういう、非常に実感のある信仰を描きたかったのが今回の媽祖である。

媽祖.10M

セーラー服て!
いやこれ意外と楽しかったんですよね。
形の作り方と絵具のほり込み方勉強になりました。

こだわりポイントは落款の部分で、
いつの時代!?の流行を書いてみました。

媽祖s2.10M

このゲジゲジ描きませんでした!???
マジ尊いっす!!!


■ 麗様(れいよう)


麗様.8P

昨年12月に銀座蔦屋書店にて展示させて頂いた同題作品の女性版として描きました。
麗様とは和歌用語で、麗しく美しい歌の形です。
この麗しいとか美しいとかいうものは、人が客観的に相対的に判断するものとされるかもしれませんがわたしはこれ完全に発光型の語彙だと思っているんですよね。
何にも代えがたいただ己の為の言葉で、どなたにも媚びず、かつ性別にも囚われない自由な境地だと考えます。
先の男麗様も、美人画として描いた男性像で、それはそれは麗しく描けたと思うしおっまえこれ絶対自分で「麗し~!」て思ってるやろ!ていう設定がバチバチにあります。
それでいいんです、
それがいいんですよ。

絵肌としてのこだわりは、
 緑青の真っ黒焼きマット黒の髪(でも生え際とかめっちゃ繊細に描いてる)
  ↓
 墨と水干で顔にめためたな書き込み
  ↓
 胡粉ベタ(上手に塗れました)
  ↓
 服の藍の淡彩ぼかし

コントラストグラデーションが味噌ですね!!!
ものすごく気持ちいいです。
日本画材のいいところはこの物質感の差異で、
ものとしての存在感がちゃんと立ち上がってくるところです。
一色一色、同じ物質由来じゃないんですよ。
色が変わると素材が変わるんです。

こんなおもしろ体験って他にあります?
ありますよね、ぜひ教えて下さい!!!!!


■ 穂雨の雨待ち (ほうのあめまち)


穂雨の雨待ち.6P

この美人画ルネサンス作品を描いている時、新型コロナウイルス蔓延を危惧して保育園通園を自粛してたんですよね。
そんな中で娘を眺めていてふと見せる表情がこんなんかな~と思って描きました。
1歳9カ月になりました。

娘の絵は今までに何度か描いてきましたが、本当に捉えるのが難しく、
この生き物を紙に映すのは無理やな~と思ってたんですがそれでもめげずに描いていたら、
母が「そっくりやな!^^」
てゆうてくれたのでそれだけで浮かばれました^^

背後にはいろんなお友達がいます。
いろんな人形・むいぐるみを持っては「なかよし!」と言っているのでみんな仲良しです。


■ 人魚図


人魚図50M

冒頭の
 ② 描かれてきた画題
という挑戦項目で真っ先に決まったのがこの人魚でした。
女やな!ということで。
安易だと思った人!
正解や。

人魚伝説は不思議と世界各国にあり、日本も例外ではない(姿はやや珍秘)。
そういう普遍的なものを自身でも捉えなおすという事がすごく大切なことだなと考えたのです。
わたしは自慢ではないけれど放っておいたらどうしてもニッチな方向へ吸い寄せられて行ってしまうので、
別にそれはそれで恐らく活かし甲斐があってきっとお陰様で今元気に生活できているんですけど、
大きな視点や時流に耳を傾けてみたり、共感を得やすいものを選択してみるということも大切だなあと改めて思ったわけですな。


作品としては、大作という事もあってどう筆跡を活かすかを目論んだ作品です。
見どころはその筆跡と、
顔周りの髪の造形が気に入っていることと、
初めて落款に「しほり」と書いたことでしょうか。

しほりが描きました。
これ自分の中ではちょっと大きなことです。


とまあそんなかんじで、ざっくりとですが新作5点について書かせて頂きました。
女性画は本当に難しかったし、殺されると思ったけど、
楽しいこともたくさんあったし自身の成長にもものすごく作用し、本当にありがたい機会を頂戴しました。
改めて秋華洞さんには御礼を申し上げます。

女性は少しずつ描いてゆきたいと思っています。
新しいことたくさんしたい。
とにかく飽き性なんで。







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