私の転職体験~色覚異常をかかえる臨床検査技師の事例~
私の転職歴
私は2度、転職を体験しました。
最初は公立病院から市中病院へ。
2度目は市中病院からフリーランスへ。
フリーランスになってからは5か所の病院での勤務を経験してきました。
どちらも職場環境によるストレスが引き金となってうつ病を発症し、寛解したころに転職行動にでました。
結論
結論から言って、2度とも転職して良かったと言えます。
転職して良かった理由
理由として3点を挙げます。
① 自分を守ることができた。
② 業界の抱える問題点を理解した。
③ 人間関係の幅が広がった。
ひとつひとつ説明していこうと思います。
自分を守ることができた
これが最も大きな良かったことで、このために転職したといっても過言ではありません。
私が最初に勤務していた病院はとてもストレスフルな環境でした。
人間関係も良好とはいえない人もいて、常に気を遣いながら、時には夜間・休日関係なく自分の生活を犠牲にしていました。
耐えきれなくなった私はふと気づいたのです。
趣味がまったく楽しくない。目の前に大型トラックが通ると、飛び込めば楽になるかな…などと考えていく自分に。
毎日、眠りにつく前に「このまま朝、目が覚めなければいいのに…」と思う日々が続いていました。
紆余曲折あって受診した心療内科でうつ病と診断され、休職しながら闘病していましたが、いつまでも休んでいては生活が成り立ちません。
寛解したころに私は大きな選択を迫られました。
〇職場復帰
〇転職
のふたつの選択です。
職場復帰したところで環境は変わっていないため、再発することが容易に想像できました。
転職はまた新たなところで1からという不安がつきまといました。
ここで恩師からの言葉が私の決断に大きな影響を与えてくれました
現状を変えようと思ったとき、自分を変えることはできる。
他人を変えるなんてことはできない。
環境も変えることはできる。
決断するときに「自分を変える」必要があるのか、「環境を変えた」方が良いのかを考えてみるといいよ。
私はこの言葉をもとにいろいろと考えてみました。
自分を変えるパターンの場合、私はその職場でできうる限りうまく業務が回るように考えて行動してきましたが、もうこれ以上なんてできない。そうしようとすると余計にストレスにさいなまれる。
環境を変えるパターンの場合、今の職場を変えるなんて大がかりなことはできない。職場を変えるということで「私を取り巻く環境」を変えることができる。
しかし、転職はやはり不安でした。
不安を払拭できた理由
私がその不安を払拭できたには相談に乗ってくれる人たちの存在と自身が得てきたスキルでした。
私は大学院在籍時の指導教官に相談に行ったり、その職場で信頼できる上司に話を聞いたもらったりすることで、自分を応援してくれる人がいるという安心感を得ました。今でもその方々とは連絡をとっており、かけがえのない存在だと思っています。
もうひとつ、私はそんなストレスフルな職場でも臨床検査技師としてのスキルの向上は怠りませんでした。
超音波検査士、血管診療技師という認定資格を取得していたため、新たな職場に行ったとしてもスキルを活かすことができると自信をもつことができました。
実はもうひとつ私には不安の種がありました。それは「先天性色覚異常」であることでした。
実はこの「先天性色覚異常」が当時の職場ではうまく処理されずに結果的に私に他の人以上に過度なストレスのかかる環境を当時の技師長を含めた職員が要求してしまったという事実があります。
次の職場でもこれをきっかけにトラブルが起きないか…不安でしたが上記のスキルを取得していたため、そちらを活かしていこうと決意していました。
(実際には次の職場の技師長の理解を十分に得ることができずトラブルが起きましたが、フリーランスになった今ではまったく問題なくスキルを活かして働いています。)
※色覚異常のことは個人のブログで経緯などを紹介しています。
興味のある方はみてみてください。
つづいての理由にうつります。
業界の抱える問題を理解した
これは私がフリーランスとして生きていく上で、臨床検査技師の未来を思い描く上でとても有益です。
ひとつの検査部にとどまっているだけではわからなかった、検査部という組織の構造的問題や臨床検査技師という職種が組織を形成するにあたって足りないところなどを身をもって複数の施設で体験してきました。
その一端をここに記します。
それは「だれも経営や組織運営のプロではない」からです。
現在、技師長職や管理職に任命されている臨床検査技師のほとんどは経営学や組織マネジメントを学んで育っていません。
近年では技師会主催でその手の講演が開かれることがありますが、たった数時間、その講演を聞いただけでわかった気になって組織に持ち帰り、業務負担だけ増やしてしまうような悪しき事例もみてきました。
さらに、臨床検査技師の抱える問題は「病院そのものの経営、組織運営」の問題と絡み合っている場合もあり、一筋縄では解決できるようなものではないことがわかりました。
そして、その問題が積もった結果、しわ寄せが一部の職員に集中する場合があり、私はその集中させられてしまった人物の一人なのだと理解しました。
このことについて、私は私と同じ境遇の方を減らすべく、現在、目指している資格や立ち上げたいプロジェクトなどがあります。
人間関係の幅が広がった
私はたしかに人間関係に起因したうつ病の発症で今でも苦しんでいます。
ときおり、わけもなく気分が落ち込みどうしようもなくなるときがあり、自分の心は完全に壊れていて、なんとか無理やり形を整えているだけで少しのストレスですぐにぼろぼろと崩れてしまうような感覚です。
それでも、すべての人間関係が悪いものだったかと言われるとそうではありません。尊敬する上司もいましたし、私の相談に乗ってくれる恩師、医師、と私を助けてくれる人がいることに気づかされました。
また、転々としたことで、それぞれの職場で人間関係を築くことになり、今でも親しくしている方も多くいます。
これはひとつの職場に留まって、過酷な環境で耐え続けていたのでは得られなかったものです。
おそらく、そこで耐え続けることで得られるものもあるのでしょうが、私は今の選択で良かったと思っています。
末筆に伝えたいこと
転職するということ自体が勇気のいることです。
私のようにうつ病などの精神疾患で休職してからの復職・転職もとてもエネルギーを使ってしまうものです。
私は、2度、復職からの転職を経験して、一歩を踏み出してよかったと思っています。
きっとこれを読んでくれているあなたのまわりにも、あなたのことを気にかけ、助けてくれる人がいます。そんな人々もあなたが「たすけて!」とアクションを起こさない限りどう助けて良いかわからなくて戸惑っているものです。
もし、私と同様に精神疾患で休職している場合は焦る必要がありません。ゆっくり休養してください。
復職や転職を考え始めた時、一人で悩まずに「誰かに相談する」、これがとても重要です。
できれば複数人の方に相談し、ゆっくり自分の中で消化して考えてください。
この文章が、転職や復職を考える一助になれば嬉しいです。
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