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秋のソウルで小麦とコーヒーにまみれる

弊社は毎年いつも秋ぐらいにソウルへ行っているらしい。SNSの「●年前の写真〜」ってやつが今の時期全部ソウルだ。弊社のソウル出張は市場調査の側面が強い。今ソウルでは何が流行っていて、何が売れていて、どんな人が、何をやっているのか。実際に現場へ行って見て、聞いて、体験する。そんなことをもう7年くらいやっているらしい。(調査は年2〜3回やる)

なぜ秋なのか。ソウルの秋はチュソクというお盆休みのようなものがある。それが終わって日本のシルバーウィークも済んで、航空券の価格が落ち着くのが今ぐらいの季節らしい。ソウルの冬は猛烈に寒いので、秋か春がベストシーズンなのだ。

変わりゆくソウル

ここ何年かのトレンドとしては、カルチャーの動きが非常に活発になってきていると感じられる。特に国外からやってくる様々なカルチャーを自分たち流にアレンジしているのを僕は「かつての東京のような感じ」と表現しているが、僕自身「かつての東京」を知らない。僕は東京も国内外の様々なカルチャーを取り入れて自分たち流にアレンジし、新たなカルチャーとして発信していった歴史があると思っている。在りし日の東京の勢いが今のソウルにはあるのだ。(※東京が停滞しているという意味ではない)

ここ最近、ソウルのコーヒーショップやベーカリーが勢いを増している。ソウル発で国外へ支店を出すところもあり、以前から気になっていたので今回は小麦とコーヒーをメインに見て回ることにした。が、前回もこのテーマだったのはナイショだ。

変わりゆくというか変わらない部分もある。明洞に行けばコスメショップの呼び込みは相変わらずだし、ナンデムンやトンデムンの露天ではSupremeなどの偽物が普通に売られている。
あと、最近見かけなかった空港出口の怪しい白タクの呼び込みを見かけた。経済破綻が噂されている韓国で職を失った人がやっているのかも知れない。(なお、タクシーの方が全然安いので利用することはお勧めできない)

ロサンゼルスで気になるベーカリーの支店がソウルにある事件、TARTINE BAKERY

弊社がたびたび出張に訪れる西海岸のロサンゼルス、ここで最近できた複合施設ROW DTLAに気になるベーカリーがあった。TARTINE BAKERYという。発祥はサンフランシスコらしい。死ぬまでに一度は食べるべきクロワッサンなどともてはやされている。宿泊候補のホテルの1階にそのベーカリーが入居していることがわかり、宿泊はこのホテルに決定した。

ソウルの西側にある学生街、ホンデ(弘大)でシャレオツさで1.2を争う、マリオット系列のRYSE AUTOGRAPH COLLECTIONだ。なお、ライバルと目されるホテルはLOTTE系列のL7ホテルで、位置にして200mほどしか離れていない。ソウルの玄関口とも言える金浦空港から空港特急の各駅停車でわずか15分、ホンデの駅、弘大入口(Hongik Univ.)に到着する。

TARTINE BAKERYは朝食で利用した。10時まではちょっとしたスイーツなどと焼きたてのパンを提供しているが、10時からはサンドイッチが加わる。クロワッサンは4600ウォン、パンオショコラは5300ウォンとかなり強気な価格だが、大きさは一般的なパンのショコラの1.5倍くらいある。まさに、西海岸サイズだ。

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コーヒーはLAMARZOCCOのLINEA MINI、ミルはMAZZARが使われている。ありきたりな構成ではあるが、ホテルの一角にあるオープンなスペースにオーブンから何から何まで良くもコンパクトにまとめたもんだと感心する。店の奥にマールクーニックのEK-43が置かれているが、豆を挽き売りするためのものだろう。豆は同じく西海岸のCOFFEE MANUFACTORYからわざわざ輸入しているようだ。

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ソウルのカフェはこれから紹介する店にも多いスタイルとして、バックヤードをあえてオープンに見せてその場で豆を焙煎し、新鮮さをアピールしている。ところが、この店はあえて海外で焙煎された豆を仕入れてきている。340g(12oz)で25000ウォン前後と輸入豆にしては良心的?な価格だ。あくまでも西海岸スタイルにこだわっていること、パンに注力しているのでコーヒーはある程度のクオリティが担保できればよいという考え方なのかもしれないし、ホテルの中に焙煎機なんて置けないだろうというのも理解できる。

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カフェラテを頼んだ(5000ウォンとパンより安い)が、ソウルらしいガツンとくるタイプではない、やや酸味を立たせたカフェラテが完全に混ざって出てきた。マーブルなのを期待していただけにちょっと残念だ。とかいいつつこの店はホテル1階にあると言うこともあり、結局2回訪問している。

TARTINE BAKERYは代官山に一時期お店を出していたことがあるそうだ。

廃工場系すぎて店にたどり着くまで超不安になる事件、RUST BAKERY

ソウルのカフェで僕が廃工場系と呼んでいるカフェがある。工場や倉庫として使われていた建物をカフェに改装するというスタイルで、有名どころではホンデのAnthracite Coffee Roaster、ソンスのOnionがある。Onionは芸能事務所がプロデュースしているせいか、映えさが飛び抜けているので、初心者にお勧めだ。

弊社が今回のベーカリーカフェの情報を得たのは出張の直前、Google Mapsによると評価件数が4と比較的新しい店らしい。しかしながらパンがめちゃめちゃうまいらしいというのだ。これは行くほかない。

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ホンデから地下鉄2号線に乗り4駅、文来(Mullae)という駅に降り立つ。さらに南へ歩いて行くと、金属を加工する音があちこちから聞こえてくる。ここは鉄やアルミなどの金属素材を決められた長さなどにカット(シャーリング)する工場が集まっているらしい。歩道に散らばる金属片を眺めながら「絶対自転車で走りたくないなあ」と思っていたもつかの間、僕は周りを完全に工場に取り囲まれるような路地に立っていた。地図は2ブロックほど先にパン屋があるというのだが…

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歩くとパン屋はあった。廃工場になれている僕が不安になるくらいのロケーションだった。このあたりは廃業した工場跡に若い人がお店を開くというパターンが多くあるようで、協同してナイトマーケットなどを開催しているそうだ(ソウルでは各地でナイトマーケットが開催されている)。

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このお店はRUST BAKERYという。まさに、金属加工が周りでされていることから名付けたのだろう、サビという意味の単語が使われている。お店自体はそれなりに手を入れてあり、清潔感は保たれている。名物はクロワッサンとミートパイ。早速それぞれをカフェラテと共にいただく。

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エスプレッソマシンはDalla Corte。ソウルらしいスッキリした苦みのあるエスプレッソだが、豆はもちろんどこかから仕入れてきているようだ。都心から少し離れているせいか価格も若干下がってはいるも、工場労働者がおいそれと買える価格帯ではなく主に観光客か感度の高い若者をターゲットにしているようだ。ミートパイは本場さながらの味。英語も達者だったので、オーストラリアで修行してきたんかなーと妄想を膨らませる。

廃工場過ぎて存在すら疑わしかったEL CAFE

弊社にはソウルで訪れたい、訪れた場所をマッピングしたGoogle Map、hatteのヤバいソウルというものがある。2年ほど前からシンサのカフェの店長が巡っているカフェをフォローし、気になるお店をマッピングしている。その中でも異彩を放っていたのがここ、EL CAFEだ。RUST BAKERYから2.5kmの場所にあると言うことで、予定地に加えた。地下鉄では2号線を2駅ホンデ方面へ戻り、9号線で1駅の仙遊島(Seonyudo)だ。

調査時のスクショを見て欲しい。

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工場やん。カフェちゃうやん。廃やない現役やん。と突っ込みまくったのだが、この写真は2014年のもので、つい最近2018年のストリートビューへ更新され、晴れて廃工場系カフェであることがよりわかりやすくなった。

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周りは自動車修理工場が集まっているエリアで訪れた際も工場から出てくるバスやクルマを縫うように店にたどり着いた。ちょうど昼休みが終わる時間帯で、食事を終えた近くのオフィスワーカーが大挙してコーヒーを求めにやってきていた。

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このカフェはバックヤードに焙煎機が置かれている。中を覗けなかったのだけど、GIESENの焙煎機が使われているそうだ。GIESENといえば、日本で有名なローストチャンピオン、福岡の豆香洞コーヒーで使われている焙煎機として知られている。

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売り豆はなかなかかっこいいパッケージだし、ネスプレッソ互換(な気がする)なカプセルが売られているのも特徴的だ。豆を買うとコーヒーを1杯サービスしてくれるが、すでに胃の中がいっぱいだったのでお断りした。

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焙煎機のショールームというコーヒー好きの韓国を象徴する事件、DAS IST PROBAT

焙煎機の話が出た。世界で一番有名な焙煎機メーカーはどこか?と聞かれたら、まず名前が挙がるのがPROBATだろう。気がつけばあのカフェもあのカフェもあのカフェだってPROBATを使っている。というぐらいあちこちに置かれているのを見る。

ホンデから一駅南の合井(Hapjeong)駅と6号線の隣の上水駅(Sangsu)の間ぐらいにあるこのお店は焙煎機のショールームとしての側面が大きい。もちろん、コーヒーも飲めるが生豆を購入して、ラボに置かれている3台の焙煎機を時間単位で借りて(オプションとしてスタッフがついてアドバイスしてくれる)実際に豆を焼くことができるのだ。

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店名はドイツ語で、直訳すると「これがPROBATだ」になる。訪問時はスタッフがカッピング(ワインで言うテイスティングのようなもの)を行っており、並々ならぬこだわりを感じさせる。僕はそんなところでコーヒーを飲んでいていいのだろうか。

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ラテとアイスアメリカーノを頼んだが、アメリカーノは衝撃的だった。テイスティングノートにヨーグルトと書かれてあり、SCAAのフレーバーホイールにそんな表現ないよなーと思いながら飲んだら、まさにヨーグルトのような爽やかな酸味が突き抜けていく。なんじゃこりゃあ!何これマジすごい。普段はお店の個性が出やすいブレンドの豆を買って帰るのだけど、さすがにこの味を社で出してみたくて同じシングルオリジンの豆を購入した。

オープンなラボにはバッチサイズが異なるPROBATが並ぶ。

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ここからすぐ近くにはAnthracite Coffee Roasterもあるので、胃袋に余裕があるならまとめて訪問するといいと思う。

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番外:あなたはストリートグルメを求めてというNETFLIXのプログラムを知っているか

弊社で今年に入ってプチブームになったNETFLIXのプログラム「ストリートグルメを求めて」に韓国人が登場する。店の名前などははっきりわからなかったのだけど、東大門を散歩したりしているシーンなどから、ここからほど近い有名なマーケット、カンジャンシジャンだろうという目星はついていた。

今回の出張のきっかけは「この店行ってみたい」というやつだった。実際、これをみてお店へ足を運んでいる人が結構居るらしい。

さらに調査を進めたところ、カンジャンシジャンのA70という区画にこの店があることがわかった。店名をコヒャンソンカルグッスというらしい。ザックリした位置は下記の通り。

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カルグクスはうどんというかほうとうのような小麦麺で、韓国のストリートグルメでは定番中の定番だ。店によっては刀削麺と書かれている。目の前で生地を包丁で薄くカットしてゆで、スープに入れて出してくれる。これがまたうまいのだけど、当日暑かったので僕は水冷麺を食べた。

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お店には欧米系の人がひっきりなしにやってきていて、客のほとんどが欧米系。聖地巡礼は日本に限らずどの国の人もやるらしい。

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ソウルの屋台で出しているメニューはだいたいどこも仕入れ先が同じだったりするので、個性が出にくい。そのため結局は「芸能人が来た」とか「テレビで紹介された」とかで差別化を図ることになる。多分に漏れず、このお店も「NETFLIXに出た」と看板が掛かっていた。

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資料:ソウルの今を色濃く伝えるB MAGAZINE のSEOUL 第二版

今回の出張ではソウルのブランドムック、B MAGAZINEのSEOUL 第二版をかなり参考にした。カフェカルチャーはもちろん、アートや音楽、お酒などのカルチャーもそれぞれのキュレーターが深く掘り下げて紹介してくれている。第一版はトラベルガイドの側面が強かったけど、二版はよりソウルの今をデータなどともに紹介する形になり、資料としてもかなり使える。

英語だけど写真と地図とインフォグラフィックできっとなんとかなると思う。洋書が売られているお店には大体並んでいるので是非。

今年のソウル出張は今回で終了の予定。しかし、行く度に新しい発見や変化があるので、今回紹介しなかったお店もあるし、またまとめてレポートしたいと思う。

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東京の表参道で小さな制作プロダクションを経営しています。ブラウザで表現できることなら何でもやる会社です。企画、コードを書いたり撮影、編集もやります。Web系やカンファレンスレポートなど、国内外を問わず取材対応が可能です。お気軽にお問い合わせください。ほぼ毎日ゴールドジムにいます。
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