WISC（全IQ91、言語理解100、知覚推理86、ワーキングメモリー87、処理速度95）で、視覚認知に困難、どう評価して、どう支援する？

おつかれさまです。
東京都世田谷区用賀中町の発達障害グレーゾーン児の子育てお悩み相談オフィスのゴリッキー松本力哉です。

◎小４男子のケースです。

WISC（全IQ91、言語理解100、知覚推理86、ワーキングメモリー87、処理速度95）で、視覚認知に困難、どう評価して、どう支援する？

斜視でどれだけWISCの点数が当てになるのかわからないのですが、特に、視覚を使う課題（知覚推理、処理速度）については、知能の評価としては参考程度にとどめた方がいいと思います。ただ、これらの数値は、学校で支援なしで過ごした場合に、本児がどの程度の能力を発揮することができるかを表しています。なので、全検査IQ（平均の下～平均）も同様ですね。能力的には、少し低いかなという程度に見られていると思います。

気になるのは、ワーキングメモリが低めな点ですね。ワーキングメモリは視覚を使う課題ではないので、本来の本児の、知能を反映していると考えられます。すごく低いわけではないですが、斜視の影響を短期的な記憶力でごりごり補うということも難しそうなのは、残念なところです。

逆にいうと、知覚推理や処理速度については、斜視がありながら、平均の下までの低下でとどめているということは、ある程度本来の知能はあるのかもしれません。斜視を矯正した状態での検査結果が欲しいですね。

場合によっては、すごく無理をしてこの点数なのかもしれないので、注意が必要だと思います。その辺りの、負担感が、今回の所見からはわからないので、解釈が難しいところです。

下位検査の点数を見ると、ほぼ明らかに、斜視の影響（眼球運動を必要とする積み木模様、符号で点数が下がる）が出ていますね。

斜視の影響がなければ、知覚推理は「平均ー平均」くらい、処理速度は「平均ー平均の上」くらいありそうな感じですよね。

つまり、眼球運動を必要とする課題では、能力が若干下がるので、眼球運動を少なくする工夫だったり、眼球運動が必要な課題を少なくする配慮だったりがあるといいと思います。

眼球運動を伴わない図形問題が苦手なのかどうかは、確認してみるといいと思います。おそらく、苦手ではないのではないでしょうか。なので、知覚推理については、斜視の影響を除けば、平均的と言えるのではないかと思います。

処理速度も、下がっているのは符号だけですね。符号は用紙の上の方に参照図形があるので、眼球運動をすごく使う課題です。なので、処理速度がこの点数というよりは、眼球運動を伴う課題だと、処理速度が落ちると考えていいと思います。つまり、板書は大変ですね。書き写す対象は手元にあった方がいいです。それでも、視野の右側と左側にあると大変なので、できればＩＴ機器を使って、書き写し作業はないようにするか、本当に画面のすぐ上と下に表示して眼球運動をせずに写せるようにしてあげた方が、本来の能力を発揮できると思います。

絵の抹消の点数はむしろ高いので、視点を動かすことには問題がないのだと思います。そうではなく、行ったり来たりが問題のようですね。

斜視の影響を除くと、能力は平均的で、若干、ワーキングメモリが落ちますね。

耳で聞いたことを覚えるのが苦手です。なので、斜視があるからといって、言葉で説明するようにすると、逆に大変かもしれません。その辺り、どの程度の複雑な内容は書面で提示された方がいいか、どのくらいシンプルな内容は言葉で提示された方がいいのか、本人と確認しながら、配慮の内容を決定するのが望ましいと思います。

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