カサンドラ症候群脱却のための4ステップ その②ASDの特性を理解する 『ASDに付随する性質について』 (2)ASD者と定型者の価値観の違い

前回の記事ではASD者の失感情症(アレキシサイミア)について書きました。
ASDの特性とされているわけではないものの中にもASD者の多くが抱えている性質があり、それを学ぶことでASD理解につながるという話をしました。
今回はその中でも特に重要である性質についての記事になります。

それは『ASD者と定型者の価値観の違い』についてです。
これを理解すると「ASD者はなぜこのようなことを言うのか」「こんな冷たいことが言えて、心というものがないのでは」といった疑問の答えが見つかるのではないかと思います。

そしてこの記事を読んでいただくうえで心に留めておいていただきたいのが、この価値観の違いはあくまでも違いがあるという話なので優劣はないということです。

ASDの人も定型の人も、自分が今持っている価値観が優れているものであるような感覚を無意識に持っているものです。
しかしこの無意識を意識に変えて、自分とは違う価値観を「そういう人もいるんだな」という程度に受け止めていただければ幸いです。

【ASD者は事実中心思考】

ASD者の多くは、ある共通する思考スタイルを持っています。
私はそれを『事実中心思考』と呼んでいます。
これは例えば一般的にもよく言われる『言葉を字義通りに取る』といった特性ともつながるところがあるかもしれません。

具体的には
・誠実さ(嘘がないこと)を大切にしていて、本当のことを伝えるのが誠実だと思っている。(ASD者が意識しているかは別として、優しい嘘より不都合でも真実を伝えたい気持ちがあります)
・問題解決を優先的に考える。(感情への配慮の優先度が相対的に低くなります)

このような特徴が挙げられるのですが、文字だけではイメージしづらいかもしれません。
そんな場合は対比として定型発達者の思考スタイルを見ていくと分かりやすいでしょう。


【定型者は感情中心思考】

私は定型発達者の思考スタイルを『感情中心思考』と呼んでいます。
定型者は度合いの差はありますがこの思考スタイルで社会生活を送っている場合が多く、そうでない人でも理解できる概念だと思います。

特にカサンドラ症候群になる方は、この思考スタイルを無意識にかなりの頻度・割合で使っている場合が多いです。

例えば「疲れた~」という発言に対して気持ちのケアをする声掛けが欲しいのが感情中心思考です。
これが事実中心思考になると栄養ドリンクを差し出すといったアプローチになります。
一見すると声掛けよりも栄養ドリンクのほうが体力が回復するような気もしますが、感情中心思考の人にとっては気持ちのケアをしてもらうことで気力が回復し、それが体力の回復にもつながる効果があります。

こういった思考スタイルの違いがまさにその人にとっての価値(感)の違いです。
こういった違いがあることに気づいていくことで、現実は何も変わっていなくても気持ちが軽くなり、その人にとってのストレスは減っていくものです。
ぜひ、腑に落ちるまで考えてほしいテーマです。

次回は『共感の種類』についてお伝えしたいと思います。
今回の記事の大元の知識になりますので、ここを押さえると一気に視界が広がるはずです。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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