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"ご褒美"を効果的に使うには

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"ご褒美"を効果的に使うには

応用行動分析学で、望ましい行動を強化するための"ご褒美"のことを、強化子と言います。

今日はその強化子、ご褒美について考えていきましょう。

ご褒美の種類

報酬、強化子、ご褒美、トークン、さまざな言い方をされます。
ご褒美には、大きく分けて3つのグループがあります。

①心理的報酬
賞賛や注目などの言語による報酬。
あそびに連れていく事だったり楽しい事をするなどの場面を提供する報酬。
またはハグや頭撫でなどの身体的接触による報酬です。身体的接触による報酬は、異性または極度に拒否感のあるお子さんには注意が必要です。

②物品等報酬
お菓子やジュースなど、飲食のできる報酬。基本的にはその場だけで、すぐなくなってしまう報酬です。
その他、ご褒美シールやカード、おもちゃや人形など、物品として残っていく報酬もあります。

③金銭等報酬
お金や商品券、または引換券やガチャを回すためのポイントなど、その報酬を使って別の報酬を選択できる、というものです。
強力な報酬のひとつですが、次に挙げるアンダーマインニング効果というものに最大限注意が必要になります。

アンダーマインニング効果とは

ご褒美は、物事に対して意欲を引き出すためにはかなり有効な手段です。

勉強にやる気が出ないお子さんに、次のテストで100点取れたら1000円あげる、といった調子で使われます。

しかし、これには注意が必要。

もともと、勉強などを意欲的に行なっていた場合や、他の報酬(例えば褒められるなどの心理的報酬)で十分に意欲を高められるようなお子さんに、物品等報酬や金銭等報酬を与えてしまうと、もともとは意欲的に行えていたことでも、その物品等または金銭等報酬が目当てになってしまい、その報酬なしでは物事を持続できなくなる、という現象が起こります。

モチベーションが、

"勉強って楽しい!"
"テストでいい点取ると褒めてもらえる!頑張ろう!"

という気持ちから、

"テストでいい点取れたらお金もらえる"
"お金欲しいから頑張る"

というマインドにすり替わってしまいます。

これが、アンダーマインニング効果と呼ばれるものです。

こうなってしまうと、ご褒美なしでは物事を進められなくなりますし、何事に対しても、物品的、金銭的な対価報酬を求めるようになり、その報酬が発生しないような物事について意欲的に取り組むことが出来なくなってしまいます。

ご褒美のタイミング

ご褒美を与えるタイミングですが、基本的には、すぐ!です。

①即時報酬
望ましい、強化したい行動があった場合、すぐに与える報酬です。

"上手に言えたね"
"かっこいいよ"
"頑張っているね"

言葉でいくらでも即時報酬は生み出すことが出来ます。

このような報酬を得る経験を重ねていくことで、

"この行動をすると褒めてもらえるかもしれない"

という、報酬予期の心理的働きのもと、行動が出現します。
その、報酬予期に対して、適切に報酬を即時与えてあげる事が重要です。

よく、報酬にはドーパミンが関わっている、と言われますが、このドーパミンは、報酬予期のタイミングで放出されます。
そして適切に報酬をもらう事ができれば、その放出は治ります。

しかし、逆に報酬予期に対して報酬をもらえなかった場合、ドーパミン細胞の活動は一気に減弱してしまいます。
それが繰り返されると、その行動を取らなくなります。

だから、報酬予期に対して、繰り返し褒める、報酬を与える事が重要になってくるのです。

②遅延報酬

あとで褒められる、ポイントを貯めてから後で何か物品等報酬をもらえる、というのも有効的に活用するといいと思います。

即時報酬はその場その場の行動を強化していくのには適していますが、長期的な活動のモチベーションとしては少々弱いところがあります。

そこで、この遅延報酬の出番です。
頑張れば、何かが貰える、というものです。

"いま頑張ったら、あそびに連れて行ってあげる"
"ポイントが貯まればカードをあげる"

などのように、即時報酬と織り交ぜながら使うと良いでしょう。

繰り返しになりますが、アンダーマインニング効果には注意が必要です。

ご褒美の段階付け

ご褒美にも、レベル分け、段階分けがあった方がいいと考えています。

即時報酬は言葉での賞賛や、ポイントやシール、ハンコの付与などその場ですぐ行えて、かつすぐにその効果の持続性は少ない物がいいでしょう。

遅延報酬として、たとえば1ヶ月頑張ったら1000円、半年頑張ったら5000円、一年頑張ったら10,000円などのように、期間で報酬を段階付けしていく方法もあると思います。

また、ポイントを5ポイントでシール、10ポイントでカード、20ポイントでキーホルダーなどのように、ポイントを積み上げていく事でより上位の報酬を得られるようにしていってもいいでしょう。

これは、報酬の先延ばしということにつながっていきます。

目先の手に入りやすい報酬ではなく、もう少し我慢してさらに多くの、または質の高い報酬を得るために感情をコントロールすることです。

このような力が備わっていると、仕事などでも目先の報酬だけではなく、その先の社会的な報酬でも仕事ができるような大人に育ってくれると思います。

逆に、報酬の先延ばしができないお子さんは、後の非行や犯罪率などにも繋がりやすいとも言われます。

そう言った面からも、報酬の先延ばしができるように援助していけるといいですね。

ご褒美からの卒業

ご褒美も、いつまでも与え続けていてはその子のためになりません。特に、物品等、金銭等報酬からは。

いつかは、ご褒美というものから卒業していかなくては行けません。

そのためには、褒められる経験やできた!という達成感、自分はすごいという自己肯定感を、その物事を通して醸成していくことができると、自然とその行為は定着していくと思います。

はじめは物品等報酬を与えながら、その物事に取り組んでいくきっかけにしていき、徐々にその物事に取り組んでいく力を伸ばしていきます。

そのなかで、褒められる経験や成功体験を積み重ね、自分からその物事に取り組めるようにしていく。
まさに私たちは子供にとって黒子の存在であり、いつかは離れていってもらわないといけない立場と言えます。


今日の内容は以上です!
ご覧いただきありがとうございました♪

また次回お楽しみに!

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