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てんかんの理解と対応 2 

ご覧いただきありがとうございます。

このブログでは、子供の発達や疾病、障がいに関する内容を、医療、福祉、教育などさまざまな立場から考えていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。


今日の内容はこちら!

てんかんの理解と対応 2

前回、てんかんの理解と対応1というブログをアップしました。
こちらでは、広く一般的に知られているてんかんの内容についてお伝えしました。

今日はそこから少し進んだ内容をお届けしていこうと思います。よろしくお願いいたします。

けいれん発作時の観察のポイント

けいれん発作が起きると、誰でも驚いて、的確な判断や行動ができなくなると思います。

私自身も、息子がけいれん発作を起こしたとき、ふがいないことにかなり取り乱してしまいました。

専門学校でけいれん発作のことについては勉強していたとは言え、初めての発作に立ち会った時には生きた心地がしませんでした。

あせらない

本当に、この一言に尽きます。
焦ってはいけません。何もできなくなります。

まずは落ち着いて、何が必要かを考えます。
何度かけいれん発作を起こしているお子さんの場合は、座薬をもらっていることと思います。

まずは座薬を準備しましょう。ご家族がいる場合はその方に頼みましょう。

そして自分は、子供の周りの安全確保を行いながら、いつから発作が始まったのか、記録を取っておきましょう。

けいれんしながら机の脚や壁などに頭など大事なところをぶつけないように、家具を移動したりクッションを活用したりしましょう。

記録は、スマホのメモ機能を使うといいと思います。
スマホも時計も近くにない!という場合にあ、口で「1.2.3.4.…」と数えてもいいです。とにかく、時間経過がどれくらい経ったか、というのが今後とても大事になってきます。

発作が2分程度でおさまれば。。。

だいたいの発作は2分程度でおさまります。
それ以上続けて発作が起こるようでしたら、5分以上の発作に移行することが多いです。急いで、座薬の挿肛、救急車の要請を行います。行った後すぐにけいれんがおさまったとしても、またすぐに次の発作がやってくる可能性もあります。

座薬の挿肛や、救急の要請が無駄になったり迷惑になったりすることは一切ありません。

迷わず座薬、迷わず救急車を呼びましょう。

早い段階での座薬使用と救急要請の意義

救急車を呼ぶ、というのはどこか大げさで、ためらってしまうという方もいるかもしれません。

それもそのはず、けいれん発作の多くは2分程度でおさまり、そのあとは何事もなかったかのように眠ってしまったり、後遺症も残らない、ということがほとんどだからです。

病院でも、5分以内の発作なら、小発作だから様子を見て、次回の受診時に伝えてくれたら・・・と言われることもあります。

けいれん重積発作

多くのけいれんは2-3分で終息する場合が多いのは事実です。
しかし、まれに15分を超えるような大発作、けいれん重積発作というものに移行する場合があります。

通常、5分以上けいれんが続くと、基本的に自然にけいれんがおさまることは難しく、重積発作に移行する場合が多いとされます。

そして重積発作の最も怖いところは、30分を超えると脳に後遺症が残る、命の危険があるなど、通常のけいれん発作とは似て非なるものになるという点です。

けいれん発作が起きて、座薬の準備をしていると、それこそ1-2分はかかります。
保育施設などでは、保護者の方に連絡を取って、座薬使用に関する許可を口頭で得る必要があるというところも多いと思います。

そうこうしていると、おそらく早くても3分は経過するはずです。
この時点でけいれんがおさまっていないとなると、いよいよ5分を超える大発作の危険性が見えてきます。

座薬挿肛をためらわない

一刻も早く、座薬を挿入します。
座薬は手袋をつけて、とがっているほうを少し水でぬらすとスルリと入りやすくなります。けいれんによって座薬が押し出されやすいので、しばらくは肛門部分を押さえておきましょう。
実は、この時に挿肛する「ダイアップ座薬」というものは、けいれん発作を予防するためのお薬です。お薬を使用して効果が表れるまでには15分ほどかかりますし、必ずけいれんを止めることができる、というお薬ではありません。しないよりはマシだし、もし2回目3回目のけいれんが起きた際に、予防効果が高まる、という程度の物です。

もし本当に、このけいれんが30分を超える大発作である場合は、一刻も早く病院に連れていき、注射などの処置をしてもらう必要があります。

救急要請もためらわない

救急車を呼んでから、自宅に到着するまで、7分~8分かかるといわれています。
田舎ではもっとかかるでしょう。
実際に、わたしの息子が自宅でけいれん発作をした際に、救急隊が到着したのは、要請から15分後のことでした。
それでもまだ、息子はびくびくとけいれんしていました。

そしてすぐには出発できません。
経過を離していたり、搬送先を決めたりするのに、10分くらいは走り出さなかったと思います。
この時点で30分手前ギリギリ。ようやく息子のけいれん発作はおさまりましたが、もちろん意識はなく、ぐったりしている状態。

そこから病院まで、15分程度。
もし、けいれんが止まっていなかったら、、、ゆうに30分は超えていたと思います。

この経験から、もしけいれん発作が起こった時には、すぐ救急要請。
救急車が到着した時にはたとえけいれんしていてもすぐ搬入してもらって、搬送先は○○病院、すぐ出発をお願いしよう、、、

と家族で話し合いを持つこともできました。

このことからも、小児施設や教育機関で働く方には、座薬の使用や救急要請はためらっていただきたくないですし、座薬を預ける、緊急時に使用してもらう、ということについてもできるだけ前向きに検討していただけるとありがたいなと思います。

けいれんを経験した保護者は、脳裏に、かわいいわが子が表情を変えてびくびくとけいれんし、よだれをたらし、苦しそうにしている様子や、その後意識がしばらく戻らず、「もうこの子はこのまま起きないんじゃないか」とか「起きても障害が残るんじゃないか」というような恐怖心が焼き付いています。

そのことを少しでもご理解いただいて、有事には素早い対応をお願いしたい、と一人の親として切に願います。

成長の伴う症状の緩解と予防薬の相対的減薬

てんかん発作は火山の噴火

てんかん発作はよく火山の噴火にたとえられます。

身体の小さな赤ちゃんの時代には、脳も未熟で、簡単に発作、噴火を起こしてしまいます。

自分の力で止めることはできませんので、主に治療としては抗てんかん薬という予防薬を飲むことになります。

テグレトール、イーケプラ、フィコンパなど、様々な種類があります。

それらの薬が、火山の噴火口に蓋をしてくれるようなイメージです。

薬は、体重が増えていくにつれて、同じように増やしていきます。
こうすることで、体の中の薬の血中濃度を下げないようにコントロールして、身体の大きさに合わせて蓋も大きくしていきます。

ある程度身体も成長し、症状も落ち着いて、コントロールできているなとなれば、先生によってはお薬の増加をストップさせることがあります。

身体が大きくなってくることによって脳も成熟し、自分自身でてんかん発作を抑える力がついてくることで、てんかんが緩解していくお子さんが少なからずいます。

相対的減薬

そのため、体重は増えるけれど、薬は増やさない、という相対的減薬というものを試します。実際には薬の量は変わっていないけれども、体の中の血中濃度としては減っていく、という状態です。

これでしばらく様子をみて、発作が起こらないようなら、さらに減薬を検討していきます。

このような時期は、てんかん発作を起こすリスクも高まりますので、保護者の方はもちろん、保育の先生、学校の先生にも情報を共有して観察を強化してもらうことが重要です。

予防的に、お薬を飲み続けたらいいのでは?
と思われる方もいるかもしれませんが、お薬というのは諸刃の剣。
いいこともあれば副作用もあります。

とくに抗てんかん薬は、長期服用によって薬剤性パーキンソニズム、と言われるパーキンソン症候群に似た症状が出ることがあります。
手の震え、動かない、精神疾患の引き金などです。

辞められるのであれば、積極的にやめることを検討していく必要はあると思います。


今後の執筆予定

【コラム】※無料
❍ 注意機能の4領域(校正中)
❍ 感覚過敏について(推敲)

【ブログ】※一部有料
□ 自閉症の特性とこだわり
□ 運動習熟のための理論と実践

ぜひ、お楽しみに!
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おそらく書く速度が上がります!!


今日はてんかんというテーマについてお話をしてきました。

このコラムが、日々、育児に奮闘していらっしゃる保護者の皆様、学校教育の現場で指導に当たってくださっている皆様、または療育の現場で支援をしてくださっている皆様の日常の一助になれば幸いです。

それではまた、次回をお楽しみに!!

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