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猫はにゃんでも見ている

珍しく、近づいても動かないなと思った瞬間をキリトリ。
いつもなら、近づいたらキャットタワーから降りて足元でスリスリしてくるのに。

うちの猫が見つめる窓の外を見て、気づいた。
傷ついた猫がいる。

カラスにでもやられたのかな、体の側面に痛々しい色に染まってる。
目の悪い私にも見えるほど酷そうな色だった。

彼のことは知っている。
よく、ウチのベランダをトコトコ歩いている靴下にゃんこ。
靴下にゃんこなんて可愛く書いているが、顔体はボス級にでかい。

うちの前には小さなお店があって
その外階段の下が彼の住処だった。

天気のいい日は駐車場で他の猫と寝っ転がり
うちのベランダの縁を歩くときは
こちらを見向きもせず颯爽と歩いていく。

茶系の斑に白靴下の粋なアイツ。
そのにゃんこが怪我している。

そうか、心配して見ていたんだな。

うちの子が、外と私を交互に見てくる。

「どうしたのかな?怪我したのかな?」
もしくは
「はよ助けたらんかい」
とでも言っているのだろうか?

天気予報は、このあと雨が続くと言っていたし、
これは早めに病院に連れて行かないと!

そう思ってかつて暴れまくるうちの子を捕獲するために購入した
捕獲器を引っ張り出してきた。

今やただの邪魔物だった彼が日の目を見るときが来た!
雨だったので、陽の目はなかったけれど。

捕獲器に匂いの強い餌と、「怪我猫捕獲作戦中」の張り紙をして、
彼の住処へと仕掛ける。

雨宿りには心もとない場所だからか、
彼は車の下に移動してしまっていた。

はよ来い!化膿する前に!

猫を飼う前は、怪我猫を助けるなんて意識は微塵も持たなかった。
というか、目にすら入ってこなかったに違いない。
今回も、うちの猫が気づいたから、分かったものだ。

ネコ、偉い。

3時間後、1匹の猫が捕獲器の中にいた。
とても元気な白黒猫。
君じゃない。

さらに3時間後、靴下にゃんこがいた!
…でも、怪我はない。君でもなかったか。

その日はもう誰も来ず、次の早朝に見てみたら、
今度は元気すぎるキジ猫がいた。
君でもないんだなぁ。

でも彼は、捕獲器を破ろうと暴れまくり、
肉球?爪?から血を流していた。

そして私達は、捕獲を諦めた。

私達の仕掛けた罠で怪我猫を増やしても申し訳ない。

怪我をした靴下にゃんこが、姿を全く現さなくなっていたのも
止めた理由の一つだ。

あの雨の日以来、彼の姿を見ていない。
まだ一週間、されど一週間。
無事だといいな。

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