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積読(つみどく)な日々:東京城址女子高生(ハルタコミックス※完結済)

 先月から趣味系の漫画を買い集めていて、その中で特に良かったものを取り上げています。本作はなかなか女子とイメージが結びつかない、お城趣味の漫画です。


”街中にある城址をめぐり、歴史を感じるアーバン・アドベンチャー

ビルがそびえ、人があふれる東京。
しかし東京にはかつて、100以上の城が存在した。

何気なく見ている石のかたまりや、
神社やお寺はその名残であったかもしれません。
城址とは、城の跡のこと。
そんな東京都内の城址をあゆりと美音、ふたりの女子高生がガイドします。

放課後や仕事のあとの限られた時間でも行ける、少し知的な小旅行にレッツゴー!”

 本作は4巻で完結済みの作品です。これくらいのボリュームが人に勧めやすくていいですね。あらすじはきらら系っぽくて絵柄もかわいいですが、読んでみるとアフタヌーンやモーニングで掲載されてそうな感じです。
 中古なら送料込みで1000円ちょっとで揃えられます。

 

面白いというより上手い漫画

 自分達で部活をたちあげて…という、けいおん以来から様式美のある部活動漫画です。話に山があって丁度いいところでストンと話が落ちるのが実にいい。城址と女子をかけた一発ネタかなと思うでしょうが、意外に話がしっかりとしていて、読み始めたら最後まで読んでしまいます。
 面白さは保証しますが、私のようなお城好きは面白さよりも「東京を舞台によく4巻も書き続けられたな」と作者の技量に関心することでしょう。

フォーカスは”城址”より”女子”寄り

 東京って城が少ないんですよ。都道府県別の城数は、戦国時代とほぼ無縁だった北海道や沖縄くらいと同じくらいでしょうか。東京の大部分が戦国時代以降に開発された地ですし、あっても住宅開発で遺構が消滅しているのがほとんどです。話の7割くらい痕跡もない城の話でしたね。
 残りの遺構がある貴重な城も、1話1城のペースで消費します。都で随一の遺構がある八王子城も1話で済ませるんです、自分が編集なら数話書こうと提案するだろうな。
 だから話の比重は主人公たちに置かれています。主人公たちが明確に成長するわけではありませんが、主人公たちの散策から部活動への発展、文化祭での発表から後輩へのバトンタッチ。この辺りを通して「共通の趣味を持つメンバーで、同じ時間を共有する」ことの素晴らしさがキチンと描かれています。文化系の部活動漫画としては満点の出来でしょうね。

趣味系漫画の白眉

 けいおんの直撃世代なので、趣味がテーマの漫画となるとどうしてもそのあたりと比べてしまいます。ゆるキャン△とかともね。
 けいおんは全4巻と短くていいですが、ダラダラと部活動をして4人でそのまま大学にスライドするというオチがいただけない。いや絶対こいつら彼氏ができたらそっち優先してバンドが自然消滅するだろ、としか想像できなくて、個人的に嫌なんですよ。ゆるキャン△は人気とはいえ、10巻も越えてくるのは話が長すぎます。
 その辺りの考えると、この漫画は丁度いい塩梅なんですよ。これよりいい塩梅のある漫画があるなら、ぜひ教えてください。 


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