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「ディープテック 世界の未来を切り拓く『眠れる技術』」を要約&書評する

どうもこんにちは、普段はインターネッツという大海に小瓶を流す感覚で読書感想ブログを書いている者です。(モチベーションがささやかすぎる)

読書ブログでは長文で情緒乱れがちに小説の感想を書きなぐっているので、小説以外の読書メモはnoteを使ってみることにしました。

ところで、”Deep Tech”なる言葉をご存知ですか?
Def Techじゃないですよ。(しょうもないことは重々承知しているが書かずには居られなかった。むしゃくしゃしてやった)

(ファーストテイクのパフォーマンス、熱かったですよね)

この前耳にしたのですが、何ですかそれ?という状態だったので、本書を読んでみることにしました。

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(机の上に放置されていた笠間稲荷神社謹製ビックリマンシールを添えて)(片付けなさいよ)

テクノロジーやベンチャー界隈あるあるで横文字が多くちょっと辟易しましたが、それを除けば平易で読みやすく、文章量もさほど多くないので、本書を読めばサクッとディープテックの概況、いくつかのケース、そして著者が最も訴えたい「日本が隆起するにはするにはディープテックしかない」という主張を理解することが出来ます。

本書の要約とともに、①本書に期待したこと②期待に対してどうだったか③本書で得たこと及びそれを何に活かせそうか、という観点で書評を試みようと思います。

※書評って何なん…?といつも思う。評価するほどの立場にありませんけど…?

要約:ディープテックとは何か

本書で訴えたいことを要約するなら、以下のようになると思いました。

ディープテックとは、根深い社会課題に対してアイデアと技術(この場合、技術は最先端のこともあるし昔からある技術でも、どちらでも良い)の組み合わせによって解決する考え方・活動のこと。
東南アジア等の新興国(エマージングカントリー)におけるインフラ・エネルギー・農業・医療等の社会課題をテクノロジーによって解決することは、昨今のSDGsやESG投資への関心の高さ・サステナビリティの重要性の高まりと呼応して、グローバルレベルで活躍できるベンチャーが生まれる契機となりえる。
日本企業がこれまで育んできた「眠れる技術・古ぼけた技術」(ニーズが無いとされ放って置かれている技術群)がそれらの社会課題解決において飛躍のトリガーとなる可能性や実例は十分にあり、エマージングカントリーにイシュー(課題・問題)を学び、テクノロジーを輸出することで、日本の潜在力を開花することができる(はず)。

書評:①本書に期待したこと

・ディープテックとはなんぞやということ、世の中に溢れる◯◯テックとは何が違うのかを知りたかった。
・日本が飛躍できる可能性と聞き、大きく出たなぁと思ったので、その主張が正しいのかを理解したい。

書評:②期待に対してどうだったか

・実例を豊富に取り上げることでイメージが湧きやすく、ディープテックの概況と可能性を理解することが出来たので、概ね満足。
・著者の語り口も”この分野がアツい!”というパッションに満ち満ちており好印象。
・可能性は十分あると感じる一方で、日本ではイノベーションが起こりづらいとは昔から言われてきたことで、エマージングカントリーに課題を学んだとしてもそう簡単にディープテックは起こらないのではいう危惧を持った。
・課題解決方法と自らの持つ技術を掛け合わせ結びつける、いわゆるコーディネート力をどうやったら磨けばいいのか、どうすればそのような好循環を生み出せるのか、その方法論をもっと知りたい。
・ケーススタディも事例が淡々と紹介されるだけだったので、もう少しインタビューを交えるとか、なぜそのようなアイデアに結びつき、技術面での課題が解決され、成功に至ったのか。その背景やノウハウを共有してもらえると学ぶものが多いのになぁ、などと供述しており…。

書評:③本書で得たことと、それを何に活かせそうか

・それディープテックじゃない?と賢しらに語れそう(浅い)
・自分の手札をどう組み合わせるか、を考える習慣を身につけたいと思った。その意識を持つことが、まず始めに必要なことなのだな。
・その習慣を更に広げて、世の中の動きにアンテナを高くすること、自分の手札ではなかったとしても組み合わせて何か出来ないか?を考えるクセをつけること、に徐々に取り組みたい。
・本を読んだ直後はやったるぜ!という気持ちだけど、徐々に低減してしまうものだから、絶えずインプットとアウトプットを繰り返して、低減してしまわないように気をつけないとな。(ハリウッドアクション映画見た後自分も俊敏に動ける気分現象と呼んでる)

以降はわたしの備忘録みたいなものですが、横文字苦手マンなので本書で見かけた用語の整理や面白そうなケースのメモ、著者らのプロフィールを紹介しておきます。

まず用語からね

ソーシャルバリディティ:
ググっても本書関連の記事しかヒットしないので多分造語。バリディティ(validity)は妥当性を指し、ソーシャルバリディティとは、あらゆるステークホルダーを取り込み、外部不経済(※後述)を起こさないような経済圏を予め作り出そうとする考え方。

外部不経済:
ある当事者の意思決定が他の経済主体の意思決定にも(マイナスの)影響を及ぼすという経済学用語。公害はその典型。

バイプロダクト:
ある目的で生産される過程の副産物。これまで廃棄するしかなかったものを技術の組み合わせで新たな商材へ昇華させることが、まさにディープテックの実現と言える。

ディセントラライズド:
「ラ」が一個多くない?と思いきや、英語で書くとdecentralizedなので合っている言葉。非中央集権型・分権的・分散的という意味で、インフラ等のこれまで行政が手がけてきた分野(中央集権的)へ新たな技術を持ち込みイノベーションを起こしていく、というディープテックの特徴の一つ。

アクセラレーター:
シード段階を過ぎたスタートアップ企業のビジネス拡大に焦点を当てた資金投資やノウハウなどのサポートをする組織のこと。ベンチャーキャピタルと似てるけど、より少額の支援にとどまり、スタートアップの自由度を維持させるのが特徴。転じてアクセラレータープログラムとは、大手企業が新興企業に対して協業・出資を目的とした募集行為を開催するもの。

インキュベーター:
起業まもないベンチャー企業やシード段階以前のスタートアップ企業が持つビジネスアイデアを実現し、事業成長を支援する組織のこと。アクセラレーターとは、支援目的・対象・期間・選考傾向・支援を受ける企業の自由度など、多くの点で異なる。

※アクセラレーターとインキュベーターの違いについて、こちらのサイトが参考になります。

Yコンビネーター:
カリフォルニアのシードアクセラレーターである。主にスタートアップ企業に対し投資している。AirbnbやDropboxやDoorDashへの投資実績がある。すご〜い。この本面白そう。(2013年だからちょっと古いけど)

アントレプレナー:
事業者・経営者のことだけど、単なる経営者とは意味が異なり、ゼロから事業を起こす創業者といった意味合いが強く、独創的なビジネスアイデアとテクノロジーで新しい市場を切り拓く人に用いられる。

ケーススタディメモ

本書に登場した多数のスタートアップ・ベンチャー企業は概ね以下の通りです。それぞれ公式サイトのリンク貼っときますね。

(こうやってリンク貼ってすぐそのページに飛べるのが読書ノートとの違いですよね。紙に書く方が頭が整理される感じがするけど、ノート溜まっても置く場所がないし、スキャンするの面倒だし、電子で十分かなあと最近思っています)

リバーシンプル(イギリス):車のサブスク。成功してるのかな?
エアロダイン(マレーシア):ドローンによるインフラ点検。
ReadRing(タイ):視覚障害者用の点字読み上げデバイス。
・Tech Prom Lab(インドネシア):石炭燃料廃棄物で浸透性の高い道路用ブロックを製作。公式サイト見つけられなかった。
・Paverlog(マレーシア):パーム油の搾りかすで保水性の高い道路用ブロックを製作。これも公式サイト見つからんです。たぶん開発段階なんだな。
新重工(シンガポール):液体を使って空気をきれいにするシステム。
・Rice Seed Sowing Drone(タイ):トラクターの使えない山間部の棚田にドローンを使って苗植え。公式サイト見つけられないですぅ。
・KomeTech(フィリピン):産業用米乾燥機の開発。たぶん公式サイトないです。フェイスブックはあるけど特に情報は乗ってない。
Winnow(英国):キッチンの食糧ゴミを最適化するシステム。
DyeCoo(オランダ):アパレルに重宝する汚水を出さない染色技術。
Piramal Sarvajal(インド):井戸サブスク。(水の使用料使用料を毎月払うかわりに、井戸を作る初期投資を会社が負担する)
Kluber Lubrication(アメリカ):機械油サブスク。(工業用に油とメンテナンスを一括で請け負う)
チャレナジー(日本):プロペラのない風力発電機開発。
ファーメンステーション(日本):米を発酵させエタノールを製造。
ユーグレナ(日本):ミドリムシ大活用。上場しましたね。
日本環境設計(日本):不要となった衣類・プラスチック製品のリサイクル。ロゴかっこいいですね。
ファームシップ(日本):フードテックの会社。食料を作るところから届けるところで。
レキオ・パワー(日本):ジェネリック医療機器開発。
DG TAKANO(日本):なんかすごい節水ノズルの開発。

著者紹介

ビジネス書における著者の信頼感って大事ですよね。本書の紹介によれば、著者二人のプロフィールは以下の通りです。

丸 幸弘
2002年、東京大学大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。日本初「最先端科学の出前実験教室」をビジネス化した。大学や地域に眠る知識を組み合わせて新たな知識を生み出す「知識製造業」を営む

尾原 和啓
フューチャリスト。京都大学大学院で人工知能を研究。マッキンゼー・アンド・カンパニーやNTTドコモ、グーグル、リクルート、楽天など数多くの企業で新規事業立ち上げを担う。現在はシンガポール、インドネシアのバリ島が拠点
アマゾンより)   

   

フューチャリストって何…?(うさんくさい…?)と思わなくもないですが、リバネスは教育・人材開発や研究・創業支援の企業として界隈では知られている会社のようですよ。

先ほどメモしたケーススタディでも、リバネス主催のテックイベントで受賞した会社が多く取り上げられていました。(それならより一層、もうちょっと深掘りしていただいても良かったのでは…?)

まとめ

今後波が来るかもしれないディープテックについてサクッと理解することが出来る本でした。興味がある方にはオススメです。

気になるけどもうちょっと調べてから本買いたいなぁ…という方は、こちらの記事が参考になるかもしれません。

最後までお読みいただき、有難うございました〜!🥳🥳


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