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地域CL2020決勝ラウンド1日目レポート

全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)は19日、千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアムで決勝ラウンド2試合が行われた。
第1試合では枚方が十勝に5得点の大勝、第2試合はスコアレスドローだった。初戦で唯一勝点3を掴んだ枚方が首位に立ち、勝点1で栃木シティと刈谷が追う。

FCTIAMO枚方5-0北海道十勝スカイアース
<寸評>
立ち上がりからボールを保持する枚方に対し、十勝は豊富な運動量で対抗。サイドチェンジを効果的に織り交ぜながらカウンターからチャンスを作る十勝に対して、最後の精度を欠いた枚方は終盤までわずかシュート1本に抑え込まれる。しかし、AT、PA内に生じたエアポケットを見逃さなかったチョヨンチョルが待望の先制点。喉から手が出るほど欲しかった1点をもぎ取って後半を迎えた。
1歩前に出た枚方は後半も支配を完全に支配。51分にCKのカウンターから佐藤が追加点を決めると、63分にはチョヨンチョルがこの日自身2点目を頭で叩き込む。守っても後半の十勝のシュートを1本に抑えてシャットアウト。終盤には途中出場の福森が2得点を挙げ、初戦を完勝で飾った。敗れた十勝は前半の決定機逸が最後まで響いた。

TIAMO枚方・小川佳純監督
「前半風下で、相手に押し込まれる時間が長かった。自分たちが思うようなサッカーをできる時間帯が少なかった。ただ、終了間際の非常に良い時間帯に先制点が取れた。それが大きかった。後半は、風上で相手をしっかり相手陣内に押し込めた。追加点も奪えた。非常に満足いく試合でした」
Q.非常に徹底したビルドアップのチームに仕上がってますね
「僕がやりたいサッカーがそれ(GKからビルドアップするサッカー)。去年のTIAMOの戦い方を見ていて、ポゼッションサッカーをしてるのは去年からやってきたこと。そこに自分がやりたいこと、これをもっと良くするために何が必要かということを踏まえて今年臨みました。JFLに上がった後も、観ている人もやってる自分たちも楽しめるサッカーをしたい。その中で、ボールを持つ時間を長くする、ボールをしっかり動かして相手を相手陣内に押し込む、ゲーム全体を支配する。そういうの(サッカー)を今年掲げて(やってきた)。そういうスタイルに賛同できる、やりたい選手がTIAMOには多い。見ていてもやってても楽しいサッカーをするには、ボールをキーパーからしっかり繋ぐというのが自分の中で必要なこと(だと思っている)。トレーニングからそういうスタイルでやりましたし、関西リーグから変わらず、地決に行ったからってロングボールを多用するとかでは1年間やってきた意味がない。自分たちのスタイルを貫いてJFLに上がることを目標にやってきた。今日は本当に素晴らしく、いつもやってることをピッチで表現してくれた。緊張感はあったけど、その中で自分たちのプレーをやってくれた。選手たちを誇らしく思いますし、見ていて心強かったと思います」
Q.前半ATのゴールが大きかったと思います。振り返っていかがでしょうか?
「まず、野沢さんがボールを持ったときの周りの選手の動き出しが素晴らしい。そこ(野沢選手)から質の高いボールが出る。相手陣内でプレーすることができたら、クオリティの高さがうちにはある。前半の風下の時間帯をチームとして0で抑えられた。そこを乗り越えて、後半勝負だと前半の飲水タイムで選手に伝えていました。その中で、少ないチャンスをモノにできたのは大きかった。前線の選手のクオリティを信じてますし。野沢さんも関西リーグでのケガがあって1次ラウンドは出場時間が少なくて。でも、その中でしっかり合わせて(決勝ラウンドに合わせてコンディションを)持ってきてくれた」
Q.途中出場の福森選手が2得点を決めました。評価をお願いします。
「彼はアカデミー出身でトップに上がった初めての選手です。途中から出て流れを変える、ジョーカー的なプレイヤー。関西リーグでも途中から出て得点やアシストを決めていた。ムードメーカーだし、個人で仕掛けることもできる。ベンチにいると心強いです」

北海道十勝スカイアース・高勝竜監督
「前半の戦い方はプラン通りにいってたと思います。相手の攻撃のストロングを消すことはできました。強さというところでいうと、TIAMOさんは1人1人上手い。(1つ目のポイントは)終了間際の集中を欠いたところ。守備のところで不具合が出たのは確かで、そこは修正しなきゃなと思っていたところでした。前半あそこまで集中して戦えてたので、ハーフタイムになってから(修正しよう)と思ってたところでやられたのが残念でした。あと(2つ目のポイント)は、後半、CKからのカウンター(での失点)。その処理の方法がしっかりできてなかった。そこが全てだと思います」
Q.道リーグとの差は感じましたか?
「差は絶対ありました。我々北海道(のチーム)に足りない部分は言ったらキリがないですけど、やはり(北海道の)代表として行くわけだから去年の悔しい思いをした選手も新しく入った選手も含めて、泥臭くやろうと話しました。特別(決勝ラウンドに来て)差が開いたとか縮まったとかはわからないです。来年同じように決勝ラウンドに進めるのが当たり前とは思わない。そのくらい厳しいです。ただ、一歩前進したとは感じてます。この決勝ラウンド、残り2試合大切に戦って、次につながるような戦い方ができれば良いと思ってます」
Q.リカバリーは?
「切り替えること。戦力はあるものでやるしかない。やっと怪我人が何人か復帰して、長いことケガと戦ってコンディションも悪い中で1次ラウンドから戦ってくれた選手もいる。手術した選手、直前のアクシデントで出られない選手もいる。ただ、残ってる選手であと2試合、無駄のないように、可能性のある限りみんなで力を合わせてやっていきたいと思います」
Q.今後の戦い方について
「今のやり方を繰り返すしかない。色んなこと考えたんですけど、高さで勝負して簡単に勝てるわけでもないですし。セオリー的な戦い方を用意したところで、それを阻止するメンバーも(相手チームには)揃ってます。そういうところ(戦い方や戦術)は考え直すべきところはあるんですけど、決勝ラウンドに上がるにあたって挑戦者として考えてたのは、今までやってきたことを継続してやっていこうということ。そう思って臨んだので、あと2戦もそういう(今まで通りの)スタイルでいこうと思います」

FC刈谷0-0栃木シティFC
<寸評>
両チームのサポーターの太鼓が鳴り響く中、序盤から刈谷がボールを支配する。栃木シティは2トップにボールが収まらず防戦一方。阿部の負傷交代もあり、苦しい45分間を過ごした。一方の刈谷もCKの流れから押し込んだかに見えたが、これはノーゴールの判定。スコアレスで折り返した。
後半、2枚替えを敢行した栃木シティは徐々に攻勢を強めていく。しかし、5バックで守る刈谷の守備をどうしても崩すことができない。勇猛果敢な姿勢を失わない刈谷は、終盤にかけて幾度となくセットプレーを獲得したが、栃木シティの体を張った守備の前にゴールを割れず。強風にも苦しめられた一戦は痛み分けに終わった。

FC刈谷・門田幸二監督
「前半はスカウティング通りでした。スタッフがしっかりスカウティングしてくれて、良い形で自分たちの時間が作れた。ただ、後半になったときに相手の長いボールに合わせてしまうような形になってしまった。そこをもう少し落ち着いてボール持てるようになれば、後半も面白いサッカーができたんじゃないかと思います。もったいないゲームですね」
Q.風について
「風の強さは、間違いなく選手たちは嫌だったと思います。私もグラウンドでかなり風が吹いていると感じていました。その中でDFラインの選手たちには、自分たちの裏の(スペース)、背後を気にしようと伝えてはいました」
Q.無得点でしたが
「1つは我々の精度(の問題)だと思います。ハーフタイムにも、最後のラストパスとかを丁寧にやろうと話はしたんですけど、中々すぐには上手くならない。それと、栃木シティさんのDFも強くて早くて、中々崩せなかった。残念です」
Q.沢山のサポーターの方が駆けつけていましたが?
「我々にとってはすごく力になりました。予選の時もそうなんですけど、遠いところまで来ていただいて、声援を送っていただいて。本当に選手たちの力になってます。また引き続き(応援を)お願いします」
Q.2戦目以降の意気込みを
「アタッキングサードの精度をもっと上げたい。守備はしっかり体張れてたので継続してやっていこうと思います。引き分けた段階であと2つ勝ちにいかないと2位以内は難しくなってくる。次はしっかり勝ちます」
Q.東海リーグがトーナメントでしたが?
「ハンディは感じます。我々は2試合しかやってない。他のチームは6〜7試合やってる。公式戦をできてない分、我々にとってはちょっと不利なのかなとは思ってます。公式戦でないと選手たちの見極めはできない。そこは他のチームよりできてないと感じます。ただ、毎週練習試合はしてました。結構な数はこなしてました」
Q.JFL復帰に向けたプレッシャーは?
「もちろんあります。(JFLに)上げないといけない、という。でも、我々は今年に入ってからずっと、必ず昇格とみんな言ってきた。(昇格への意識は)当たり前のようになってます。あとは結果出すだけです」

栃木シティFC・中村敦監督
「前回(※中村監督は2014年に奈良クラブの監督として地決を戦い昇格に導いている)は(1次ラウンドで)3連勝した後、(決勝ラウンドの)初戦でFC大阪さんに引き分けた。あのときはPKで(※まだPK戦の制度が残っていた)勝てたんですけど。今回も決勝ラウンドということで厳しい戦いで。相手も自分たちの対策を予想以上にしてきて、前半は完全に向こうのゲームでした。後半盛り返したんですけど、最後に仕留めきれず……。痛み分けという感じですね。でも、全然(次戦以降に)繋がる試合でした。あれだけ相手のセットプレーがあって、しっかり守り切った。ディフェンスは評価してます。あとは、どうやって仕留め切るかというところ。そこはイメージ作りだとか、互いのコミュニケーションだとか、そういうところを上げていけば解決することだと思います」
Q.ハーフタイムの修正は?
「ハーフタイムというより、前半の給水タイムのときには修正かけてました。最初、こっちのボランチ2枚に対して、相手がボランチ2枚とシャドー2枚の4枚で対応してきた。その密度の違うところでセカンドボールを拾われて、相手の攻撃になっていた。そこを修正しました。(ハーフタイムで古波津を起用したのも)その1つです。球際強いですし、元々能力がある選手なので。上手くプレーしてくれました」
Q.今日の結果はどう捉えてますか?
「前半だけ見ればあっち(刈谷さん)のゲーム。後半は後半でうちの色も出ていた。もったいないのかどうか……。時の運でもありますけどね」
Q.ゼットエーは関東リーグでも使用されているグラウンドでしたが?
「今年はここでやってないんです。コロナで(中止になった)。去年うちでやってた選手はプレー経験あるスタジアムですけど、今年入った選手は初めてだし。アドバンテージとかは特にないです。(海風は)かなり影響しましたね。風が吹くことは聞いていたんですけど、今日はかなり強くて。それで計算やプランとは違う内容になりました」
Q.残り2試合への意気込みを
「勝点1しか取ってないので、残り2戦勝点3ずつ取って、JFL昇格を決めたいと思います」

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