地域CL2022決勝ラウンド2日目レポート
全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(以下地域CL)決勝ラウンド2日目が25日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われた。
第1試合、沖縄SVと栃木シティFCの試合は0-0の引き分けに終わり、第2試合ではブリオベッカ浦安が後半アディショナルタイムの決勝点でFC刈谷を破った。
これにより勝ち点4で栃木シティと浦安が並び、勝ち点2の沖縄SVが追う展開に。刈谷は残念ながら3位以下が確定した。
沖縄SV 0-0 栃木シティ
寸評:前半は互いに走力や球際で一歩も引けを取らない展開に。30分に栃木シティが好機を迎えるが、GK花田が好セーブ。沖縄SVも32分、33分、36分と立て続けにチャンスを作るが、栃木シティの堅固な守備陣が得点を許さない。
後半立ち上がりに沖縄SVに大きなチャンス。4分、10分と立て続けに決定機を迎えるが、GK原田がビッグセーブでチームを救う。守備陣の奮闘に応えたい栃木シティであるが、受けに回る時間帯が続き反撃に出られない。沖縄SVも最後の一刺しができず、熱戦はスコアレスドローに終わった。
栃木シティ・今矢直城監督
「自分たちの動きが、90分通して言うと重たかったかなというのは正直あります。その中で、やろうとしてたことはできたとは思います。ただ、その中で、相手にとって脅威なポジションまで数回しか行けなかった。いつもだったら倍、もしくは3倍行けたところが、今日は薄かったかなという内容ですね。その中で、しっかり相手にチャンスあったところを守り切って、勝ち点1を取ったわけですから。次の浦安戦に向けて、しっかり準備したいと思います」
Q.攻め込まれる場面が多かったですが?
「プラン通りではなかったですね。もう少し自分たちの時間帯が増えるかなと思っていた中で、沖縄さんがしっかりと自分たちのやることをやってきた。どうしても相手がいるわけですから、相手の狙い、ワンタッチで背後に狙ってくるというのが、オフサイドのシーンもありましたけど、チャンスには繋がっていた。そこを我々がもうちょっと対応できれば良かったと思いますね」
Q.ハーフタイムの指示は?
「相手の守り方が通常とは違った。自分たちに対して少し対策してきたかなというところでは、より自分たちのフットボールが出るのかなとは話していました。その中で狙いたいスペースを少し明確にして、そこを狙いに行こうかなというところで。でもそこは、スプリントのところでは、やはり連戦というところで、いつもよりはそこのパワーが見受けられなかったかなとは思います」
Q.浦安戦に向けて
「結果だけ見ると(今年の公式戦では)1勝2敗、相性が悪いと思われても仕方ない。ただ、内容を私は見てる。その中でいくと、3試合やった中で2回は勝っていたかな、と。そういう自分の中での、結果で左右されるところはありますけど、内容を見ていきたいところでは、僕自身としてそこまで苦手意識はないです。リーグ戦の後期は完敗でしたけど、それは外的要素と人工芝のグラウンドというところがあって。ここは素晴らしいピッチなので、自分たちのサッカーを思う存分できると思ってます」
Q.沖縄とやってみて
「ドリブルで仕掛けて行けた時と行けなかった時があった。そこの背後の対応だったり、最終ラインが下がった時の手前のスペースだったりとか。何回かそのポジションを取れたんですけど、そこを取った時の決定打がなかった。その意味も含めて、最後は点取りに行きたかったので、山村を入れて、ヨンチョルの近くでプレーさせて、そこのスペースをもっとパワー持って行けるようにという狙いはあったんですけど。時間が5分しかなくて、決定機まではいけなかった。ただ、少し見えた部分はあった。それを次につなげたい。SVさんも素晴らしいチームで、すごい対応された。ただ、それを上回れなかった自分たちがいた。内容はもう少し良くできたんじゃないかなというのは個人的には思いました」
沖縄SV・高原直泰監督
「チャンスはあった。1つ決まってれば違ってたかなと思う。しょうがないです。次の試合まだあるので、やることは変わらない。次の試合に向けてまたしっかりと準備をしたいと思います」
Q.今日のプランは?
「1試合目は相手がポジションチェンジしながらプレーしてくるところに対応できなくて引いてしまった。引いてもやられるようなことはないと思ってたんですけど、攻撃の方にうまく、引いてしまっては繋がらない。それは修正点だった。今日の試合は修正して臨みました」
Q.修正して臨んだ点は?
「1試合目は下がってしまった。なんで下がってしまったか。相手のやり方やシステム等を照らし合わせて。そこからどういう相手が変化したから、自分たちが混乱して上手く対応できずに5-4-1のブロックになってしまったのか(というところを分析した)。5-4-1のブロック作ることは問題ないんですけど、それが早すぎた。今日の試合に限っては、栃木さんは後ろのサイドバックの選手が、1試合目右やってた選手が今日左やってた。彼が色んなところに動く。それによって周りの選手のポジショニングが変わる。そういうポジションチェンジなどがありながらも、基本的には何も変わらないよ、と。自分たちが引かなくても、基本的にしっかりプレスかけてハメられる。1試合目のようなプレーしてたら点取れない。(ボールを)取ったところが低ければ、点取るまでの距離が長くなる。自分たちの良いところでボールを奪ってゴールに繋げたい。そういうのがあった。良いところで取ることもあったし、失ったところもありますけど、しっかりチャンスもできた。結果に残念ながら繋がらなかったですけど」
Q.安在選手の起用について
「ブリオベッカ戦は相手のサイドバックとの兼ね合いもあって。ちょっと変えたほうが良いかな、と。栃木に対しては安在の方が、戦術理解度、ディフェンスのところも含めてやれると思った」
Q.次戦に向けて
「今日の試合に臨んだ時と同じです。1試合目栃木が勝ったから、今日絶対自分たちが勝たないといけないと思ってしまうと、変なミスしたりとかに繋がる。当然勝ちに行く強いメンタリティーは必要だけども、しっかりと自分たちがやってきたことをどれだけやれるか。そして、相手のことを短時間でも知って、どういう特徴があるのか、そこにどう対応するのか。新しいことをやるのではなくて、今年やってきたことを照らし合わせてやるだけだから、何も難しいことはないよ、と伝えた。次の試合に向けてもやることは一緒、変わりません」
ブリオベッカ浦安 1-0 FC刈谷
寸評:立ち上がりから浦安が連動したプレスで刈谷のパスサッカーを寸断にかかる。20分にはFKからネットを揺らしたが、これはオフサイドの判定でノーゴール。徐々にペースを取り戻した刈谷も反転攻勢を見せるが、得点は生まれなかった。
後半も一進一退の攻防。好機を多く作ったのは浦安だったが、枠を外すシーンが多く仕留めきれない。一方の刈谷も38分に絶好機を迎えたが、GK谷口がビッグセーブで凌いだ。
このまま終わるかと思われた後半アディショナルタイム、勝利の女神が浦安に微笑んだ。左からのクロスをファーで待ち構えていた上松が叩き込む。この劇的な一撃で勝ち点3を掴み取った浦安が、最終日に同勝ち点で並ぶ栃木シティと激突することになった。敗れた刈谷は3位以下が決まり、1年でのJFL復帰の夢は霧散した。
FC刈谷・村田一弘監督
「相手チームの準備の段階で、昨日とは違うプレースタイルだった。予測してきたとおりというか、それに対するプランというのが思い通りに割となった。ただ最後のフィニッシュのところ、攻撃のクオリティというのが、経験不足とクオリティが低いというのが否めないところ。僕の指導も足りなかったのかなと思ってます」
Q.中日の過ごし方は?
「フルで出た選手はリカバリー。約1時間弱で終わりました。出てない選手はグラウンドをお借りして心拍数を上げるトレーニングをした。ほぼ気持ちの切り替えはできたと思ってます。引きずってる選手はいなかった。メンタル的にも。今日のプレー見てても引きずってる選手はいなかったと思います」
Q.入りで少し押されましたが?
「ずっと声かけてたんですけどね。(相手が)長いボールがちょっと多かったので、長いボールへの対応とセカンドボール、逆サイドのケアというのを徹底させた。それ(ロングボール)に対して怖がってクリアではなく、自分たちのボールにして保持して、攻撃のビルドアップをしなさいと言った。最初の10分くらいあまり良くなかったですけど、徐々に流れ、やり方を掴めてきたかなと思ってます」
Q.選手の成長は?
「中々財政的にも厳しいものがある。トレーニングマッチ等も少なかった。経験不足はやはり響いた。トレーニング以上にパフォーマンスを出してくれたのはありがたい。すごく伸びしろはあるし、まだまだ(色々と)経験すれば良いチーム、良い選手になっていくのかな、と思ってます」
Q.3位以下が決まりましたが最終戦に向けて
「今日の入りと変わらず、メンタル的に強い気持ちで入らせたいと思ってます。それは代表になった責任だと思いますし、3試合しっかり戦わせないと色々な方に失礼だと思います。選手の向上も含めて、今日のメンタル以上に戦わせたいと思ってます。沖縄さんはシステムがうちと違いますので、マッチアップしない部分がありますけど、フィジカルでマッチアップさせるようにして。後はボール保持、もうちょっと長くできて、フィニッシュのところ改善できればなと思ってます。上(昇格)は無くなりましたが、選手は伸びる、ストップが無い。選手の向上、伸びるところと、経験を含めて強く戦わせたいと思ってます」
ブリオベッカ浦安・都並敏史監督
「肩が凝りました。どちらに転んでもおかしくないようなビッグチャンスが、こちらを外し、あちらを外し。0-0で終わってしまうかなという感じ。最後本当にベテランの上松がしっかりと、得点能力ある選手なので、彼が結果を出してくれた。勝利、勝ち点3取れた大きなポイントになったかなと思います。個人のクオリティのところで、初戦も決めきれず、今日も決めきれず、そのまま終わりそうな雰囲気があって、肩が張ってきたが、少しあのゴールで楽になりました。まだ何も終わってませんので、しっかりと次勝利して終われるように、引き締めてまた臨みたいと思います」
Q.クロスの精度について
「個人の技術はすぐに改善できないので、メンバーを変えました。クロスを上げられる選手をしっかりと配置させて。今日のクロスは良いクロスが入ってたと思います」
Q.ハーフタイムの指示は?
「(前半、相手に)攻められていたのは、攻撃の部分がいまひとつしっかりキープできなくて、相手の陣内に押し込むことができなかっただけ。押されていても一番の脅威であるサイドのスピードはしっかり止められていたので、何も慌ててはいなかった。ただ、時に前からプレスをかけた時に、後ろが連動できなくて、中盤を経由されてというシーンはいくつかあった。そこは修正した。後は、少しセカンドボールを握れる選手を増やして、ボールキープ率を上げる作戦に変えました。それが少しづつ盛り返せた要因かな、と。その代わり、スペースも空き出して、スピードを受けてしまうシーンもあった。だから、どちらに転んでもおかしくなかったかなという感じの印象が残ってます」
Q.刈谷の印象は?
「いくつかの試合を見させてもらってますけど、とにかくウイングが速い。26番の藤原選手なんかどうしようもないくらい速い。あれに対しての対応はしっかりできたと思う。ただ、中央へのパスとか結構上手いのが非常に怖いなという感じで。ハーフタイムには、(W杯の)スペイン対コスタリカの真ん中の突破みたいなことしてくるぞという言い方をして、注意喚起をしました。とにかくそこで少し意識を変えさせて臨んで、なんとか凌げたなという印象です」
Q.次戦に向けて
「正直栃木シティさんとはあまりやりたくないです、もう。前回(全社)、前々回(リーグ戦)と我々勝ってますので、向こうのチームは絶対に負けないという思いで来るでしょうし。我々もそうなんですけど、どんどん分析されていく感じもする。元々1人1人の力強さは栃木さんの方が間違いなく上。我々は協調性と調和だけでなんとか保たせてるようなところ。そういう意味では、うまく相手のウィークポイントをしっかり突くような戦い方をしたいですが、お手柔らかにお願いしたいと思います」