【ビジネス職のためのデータ活用入門】経営者のためのデータ経営読本

今回は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している『経営者のためのデータ経営読本』について、(個人的)重要ポイントに絞って解説したいと思います。

この資料自体が全8ページの資料になるので、少し時間があるようでしたらぜひ全部目を通してみてください。

この資料で最も重要なのは、P7 データ経営実現へのステップ です。それまでのページの大部分はデータの重要性について説いているページですので、今これを読んでいる方には今更かなとも思います。

で、肝心のデータ経営実現へのステップですが、IPA曰く以下のステップになります(コメント:→以下 を入れつつ記述したいと思います)。

[準備]

1. 経営層がデータの重要性を理解します

• データに基づく判断を心がけます。
• データは企業の重要資産だと認識します。

→そもそもこれは「理解させる」ことが難しい。そのためには、マクロなトレンドもそうだけど、むしろ競合他社事例や近いところの話をするのが有効と思います。ただあからさますぎないように、どの場でそれを進言するのかはよく考えるのが良いです

2. 体制を作ります

• CDO(Chief Data Officer)もしくは相当職とチームを設置します。

→ポイントは、ただ言われた通りにデータ基盤体制を作るチームを作るのではなく、グランドデザインから描ける(もしくはそこの検討からできる)チームにすることだと思います。

3. データリテラシー(*1)やデータマチュリティ(*2)を高めます

• 各社員がデータを意識して日々の活動をします。
• データに基づき企業活動ができるように組織としてのデータ活用力を高めます。そのため、必要な人材育成プログラムやツールを揃えます。

→各社員に使ってもらうには、やはり「必要性」をもたせることがです。必要じゃないものはいくら言っても使われないので、どれだけ必要性をもたせられるか、というところが重要です。短期的にベネフィットがでるものは問題ないですが、中長期的に効果が出てくるものに関しては、意図的にインセンティブを作る設計をすることも重要です。

4. データの棚卸をしてカタログを作る • 社内にどのようなデータがあるのか、事業にどのようなデータが求められているのかを調べ、カタログ化します。

→データカタログは、運用負荷が高いので、網羅的にやるよりは頻度や重要度的に高いところからするのが良いと思います。むしろ、一度作って終わりではなく、どのように変更に強い運用を構築するかを検討するのが良さそうです。


[導入]

1. データをきちんと企画、設計する

• 目的を明確にし、FAIR 原則(*3)とサステイナビリティを意識して企画します。
• 10年先、100年先の活用を考えてデータを設計します。
• 相互運用性を確保するため、できるだけ国際標準に準拠します。 国際標準も踏まえたデジタル庁とIPAが推進する「政府相互運用性フレームワーク」を参照します。

→うーん、まあ100年先の活用を考えられるかは疑問だったりはするのですが、中長期的に検討することはデータの可能性を拡げるうえで大切です。

2. データを整備します

• 必要なデータソースを探します社内データのカタログ、オープンデータ、データ取引所から探します。
• データを入手し、クレンジング、統合します 業務利用に合わせてデータを組み合わせます。できればAPIを使って自動収集します。(手作業をなくします)
→どこになんのデータが有るかわからない、ということにならないように、データ品質を高く保つ運用を行う必要があります。そのためには、できるだけマニュアル作業をなくし、自動化することも重要ですね。うまくツールを活用しましょう。

3. データを利活用します(サービス創出、デジタルトランスフォーメーション)

• 目的に加え、視点を変えながら、ツールなども使いデータを分析し、新たな可能性を 追求します。(成長サイクルを構築します)
• サービスの価値を明確にし、関係者をサービスに巻き込んでいきます。

→ここは事業部門と密にディスカッションを重ねて、ユースケースベースで検討するのが良いと思います。一度価値を感じてもらえれば更に投資する合意も得られるので、まずはクイックウィンを目指し、その後中長期的なインパクトを得られるPJなどを推進しましょう。

*1 データリテラシー:個人が、データを使いこなす力。
*2 データマチュリティ:組織が、データを使いこなす力の成熟度。
*3 FAIR原則:「Findable(見つけられる)」、「Accessible(アクセスできる)」、「Interoperable(相互運用できる)」、 「Reusable(再利用できる)」にするための一連の原則のこと。ユーザーが運用し続けることができるデータを考えます。

今回は、IPAの経営者のためのデータ経営読本をご紹介しました。フレームを覚えておくことで、会話もしやすくなりますので、ぜひステップだけでも覚えておいてください。
お読みいただき、ありがとうございました!

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