アニメのようなVTuberは消える!?

2020年、キャラクターVTuberはバズる?

先日、とあるツイートを見かけた。

最近は、「魂」頼りなVTuberばかりで、「キャラクター」の魅力(おそらく世界観や設定など)で勝負するVTuberは少ない。
だから、2020年はアニメを見ているかのようなVTuberが人気を博するのではないか?

まあ大体こんな感じの内容のものだった。

理由として、「魂」重視タイプのVTuber市場がレッドオーシャンとなってしまっていることや、VRやAR等諸々の技術の向上によって表現の幅が広がったことなどを挙げていたと記憶している。

一理あるかもしれない。

しかし、私はそうはならないと予想している。

中の人自体の魅力ではなく、練り込まれた世界観や設定、台本ありきのまさにアニメのようなVTuber。
この記事の中での分類で言う、キャラクターVTuberは今後ますますその規模を縮小させていくだろう。

それはなぜか?
という理由について考察していきたい。


仮説:「VTuber」を名乗るとアプローチできる範囲が狭まるのではないか?

皆さんは『テイコウペンギン』というYoutubeチャンネルはご存知だろうか?

株式会社Plottが制作・運営を行っているショートアニメチャンネルで、現在登録者数58万人月間再生数は2500万回を突破しているという人気のチャンネルである。
2019年1月に始動したチャンネルは、わずか1年足らずでここまで登録者を伸ばしている。これがどれほど速いペースなのかはVTuberを追っているとよくわかる。

実はこの『テイコウペンギン』を制作・運営する株式会社Plottは、かつてバーチャルYoutuberの運営事業も行っていた。

もしかしたら『ワラシベ興業』『御伽りざれくしょん』というVTuberグループを知っている人もいるかもしれないが、その運営を行っていたのが株式会社Plott(旧名株式会社ファボ)である。

かつて『ワラシベ興業』時代にも、『テイコウペンギン』のようなショートアニメを行っていたのであるが、再生数1000回を超えるものは無く、チャンネル登録者数も約200人とあまり振るわなかった。

現在では残念ながら『ワラシベ興業』も『御伽りざれくしょん』も活動停止してしまっているようだ。


さて、ここからが仮説の話。
『ワラシベ興業』は「VTuber」という肩書が障壁となり、ショートアニメ需要層まで届かなかったのではないか?

そう考えたのも似たような話を最近耳にしたことがあったからだ。
それがこの夜枕ギリー氏の考察動画だ。


『ワラシベ興業』のショートアニメの話に戻るが、あの動画シリーズは3つの壁に阻まれてそもそも見てすらもらえなかったのではないかと考える。

①「VTuber」視聴者層との壁
『ワラシベ興業』はVTuberとして見たとき、見た目等、かなりキワモノの部類に入るため、VTuber視聴者層にあまりアプローチできていなかったのではないか。
また、VTuber視聴者が求めるのは「台本ありき」の作品ではなく、「アドリブ」から漏れ出る中の人の魅力であることが多いため、ショートアニメ需要は高くなかったのではないか?

②「ショートアニメ」視聴者層との壁
アニメ視聴者層は「VTuber」は「中の人」重視コンテンツであり、「アニメ」とは別物であると理解しているため、アニメ視聴者層との間には壁があったのではないか。

③「二次元興味ない」層との壁
「VTuber」も「ショートアニメ」も二次元キャラクターコンテンツと認識はしているがあまり違いが分かってない層とは、二次元キャラクターがサムネイルに映っている時点で「オタクコンテンツ」と見られ、視聴対象から外れていたのではないか。(ワラシベのキャラクターがこれにあてはまるかは疑問だが)


『ワラシベ興業』のショートアニメが失敗したが、『テイコウペンギン』で大成功を収めた理由の1つは、「VTuber」という肩書で勝負するのをやめたからではないだろうか?


「VTuber」の形態は自由であるが、「VTuber」の一般的な印象は固定されてしまっているかもしれないという話

「VTuber」に様々な形態の可能性があるとは言えども、一般的に「VTuber」という言葉を耳にした際思い浮かべるものはほぼ固定されてしまっているように感じる。

今、「VTuber」はどういうものか、もしくは「VTuber」に期待する活動形態はどういうものかを問うと、「にじさんじ」や「ホロライブ」のようなものという答えが返ってくることが多いだろう。

そのため「VTuber+ショートアニメ」というコンテンツでVTuber視聴層とアニメ視聴層にアプローチしたくても、
「VTuber?ゲーム実況したり雑談したりするやつでアニメと違うでしょ?」
「アニメ?魂の魅力も出なければ、関係性や双方向性は楽しめないでしょ?」
と、どちらからも需要とマッチしないものだとみなされてしまう可能性がある。

視聴者層との関係だけではない。
人材確保・キャスティングの際にもミスマッチが生じる可能性がある。
「VTuber募集」という文字で集まることが予想されるのは、ゲーム実況、雑談、歌ってみた等「VTuberらしい」コンテンツをやりたい人であり、「アニメらしい」活動をしたい人が集まりにくい可能性がある。
「アニメらしい」活動・中の人を出さない活動としてスタートしたとしても、「周りのVTuberはみんなやってるのにどうして私にはさせてくれないの?」と周囲のVTuberとのギャップから不満が生じるかもしれない。
別にキャストが合意してても、視聴者が「あそこは演者を押さえつけて周囲のVTuberができていることをさせてあげない悪い運営だ」と勝手に盛り上がってしまうことも重々ありうる。
最悪の事態は、単なるミスマッチが発展して「やりたくないことをさせられた」と告発まがいのことになることで、そうなれば致命的である。

これからは、戦略としてあえて「VTuber」を名乗らないタイプのバーチャルな存在が増えてくるのではないだろうか?


キャラクターVTuberが少なくなる理由

もうお分かりだろう。
今後キャラクターVTuberが縮小していき、アニメーションのようなVTuberがバズることはないと私が考える理由は

そういった存在が「VTuber」と名乗ることを辞めるから

である。

技術的にも手軽になることが予想されるため、そういったYouTubeチャンネルは益々増えていくと思われるし、中には大きくバズるものも現れるだろう。

しかし、それらは「VTuber」を名乗らず、アプローチ先も「VTuber」視聴者層とは別の層になると思われる。
それはもはや「VTuber」とは言えず、別の存在と定義されるのではないだろうか?

というのが私の予想だ。

皆さんはどう考えますか?


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