見出し画像

パワハラ相談は適切な対応で早期解決を!

こんにちは。弁護士・ビジネスコーチの波戸岡光太です。
 
皆さんは、社員からパワハラの相談を受けたとき、どのように対応するのが適切か、ご存じですか?
 
パワハラは初動対応を間違えると、状況が悪化することもあります。
そうならないためにも、適切な対応で早期解決を図りたいものです。
 
今回はパワハラの相談を受けたときのNG対応と望ましい対応についてご紹介します。

誤った初動対応の典型例

近年施行された「パワハラ防止法」の下で、企業は職場でのパワハラ防止策を設けることが義務付けられています。
ですが、実際にパワハラが起こったときや相談を受けたときの対策がしっかり準備できている企業は、まだまだ少ないのが現状です。
 
どう対応したらよいかきちんと定まっていない中で、つい取りがちな典型的な誤った対応には次のようなものがあります。

1.上司を呼び出して問い詰める

ありがち対応例その1は、加害者である上司を呼び出して「どういうことなんだ!」などといきなり問い詰めることです。
 
被害を訴えた方の気持ちに共感するのは大切ですが、相談者が述べている内容だけを鵜呑みにするのは危険です。なぜなら、時に当事者は、つい誇張してしまったり、イメージ先行でパワハラだと表現している可能性があるからです

2.自分の意見を押し付ける

相談を受けた側(会社側)には、相談者に共感しつつも実際に何が起こっていたのかを調査する役割があります。
それなのに、相談者から求められていない自分の経験や価値観を伝えても、解決にはつながりません。
 
共感しているつもりで、つい「俺の若い時はもっとひどかった…」などと言ってしまいがちですが、むしろ、それ自体がパワハラの一環と捉えられてもおかしくないほどです。

3.共感するだけでアクションしない

パワハラへの対応が慣れていなかったり、優先したい仕事があるときなどに、ついやってしまいがちなのが対応を先送りにしてしまうことです。
 
「そのうち考えておくよ」とか「近いうちに検討しておくよ」という言葉がよく使われますが、「今日のいつかは明日もいつか」です。永遠にその日は来ないと答えているのも同然です。
 
速やかに事実確認を行わずに対処を後回しにしていては、パワハラを訴えている社員が抱えている苦悩は続き、ストレスは大きくなっていくばかりです。

 パワハラ相談を受けたときの適切な対応

パワハラの相談を受けたときの典型的な誤った対応を3つ紹介しました。思いあたる対応はありませんでしたか?
 
パワハラ対応で重要なのは
1.事実を見極めること
2.相談者に寄り添うこと
3.速やかに対応すること
です。
 
ここからは、どのような対応をとるのが望ましいのか、適切な初動対応をお伝えします。

1.中立的な視点で事実関係を見極める

パワハラの相談を受けたときの対応で大切なのは、相談者の気持ちに寄り添い共感すると同時に、事実をきちんと見極めることです。そのためには、中立冷静な観点を持って対応する必要があります
 
被害者の言葉だけで上司を加害者と決めつけ、問い詰めるのではなく、訴えられた上司に対しても先入観のない態度で接し、事実関係を確認しましょう。

2.相手の立場に立って相談者の話を聴く

相談者の気持ちに寄り添うためには、先ずは相談者の話を聴くことです。ただ「聴く」のではありません。相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする、つまり、傾聴することが重要です。
 
つい話を途中で遮ったり、自分の意見や経験を話したくなったりしますが、そこはじっと我慢。評価を下したり意見を言う前に「傾聴する」を心がけてください。

3.速やかにアクションに移す

対応が遅れれば遅れるほど事態が悪化するのがパワハラです。
 
相談者を安心させるためにも、「誰とどうやって検討するのか」「どれくらいの期間で対処するのか」具体的に伝えましょう。期日を決め、速やかに行動に移すことが、会社としての信頼感を与え、相談者の安心につながります。これが、パワハラの悩みを訴えられた際にとるべきアプローチです。

まとめ

会社として、パワハラの訴えに対処する際に心がけたいのは、「何があったのか」「何が起きているのか」を迅速かつ冷静に調査することです。大切なのは、とりあえず事態の収拾をつけることではなく、「起きた」又は「起きている」出来事を正しく見極めることなのです。
 
パワハラ問題は、個人の問題だけではありません。行為を行った社員だけでなく、会社も損害賠償責任を負う可能性があります。社員だけではなく会社を守るためにも、しっかりとしたパワハラ防止策を策定し、パワハラが起きないようにしておくことが重要です。
 
あわせて、パワハラかどうかを認定することだけに汲々とするのではなく、職場がそういった兆候が生まれやすい環境になっていないかについても確認しましょう。
 
私は顧問弁護士としてパワハラについてのアドバイスはもちろん、企業研修や勉強会も行っています。パワハラ対策への懸念がある企業様はお気軽にご相談ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?