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デニム着物で春を迎えに
仕事で日常的に着物を着ていた生活からいつのまにか3年以上も経っていた。
当時着ていたたくさんの着物のほとんどは、実家の箪笥に図々しく陣取って、「いつか」を待っている。
綿、ウール、ポリエステルなどの手入れをしやすいものだけは今住む家に持ち込んでいて、初詣やたまのおでかけに着ていたけれど、出産後は一度も子連れでの着物を着てのおでかけは出来ていなかった。
そんな中、正月に着物屋時代に出会った友人たちと初詣に行き、次は息子も一緒にと言ってもらえていたので、この度はじめての親子での着物でおでかけに行ってきた。
予定の数日前から子が寝たあとにコーディネートを考えたり、眠気と戦いながら半衿を縫ったりする時間に「これこれ」と懐かしさを感じながら過ごしていた。
数日前に髪をマニッシュショートにしたので、髪型に合う小物を考えるのも楽しかった。
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当日は最高気温13℃。陽が出ていると上着が少し暑く感じるような気温だった。
とはいえ私のデニム着物は薄いので、中にヒートテックを着て、上着を軽い薄手の二部式コートに。
目的地は家からそこそこ距離があるので、ヒップシートを巻いて行けるように、帯はぺたんこなカルタ結びに。(ギリギリ巻けた)
足元はもらいものの足袋ソックスを履きたくて草履にした。
子ども用の着物はまだ持ち合わせていないので、私の半衿と赤いストライプをリンクさせてOSHKOSHのオーバーオールを着せ、パーカーを羽織り出発。
荷物は私のカメラや財布、iPadに、息子用のオムツ5個、着替え1組、ティッシュとお尻拭き、エプロン、おやつ。
リュック一つで足りる量になり、気持ちも軽い。
待ち合わせは13時に日暮里。
子どもの食事のリズムと少しずれた時間だったので先に日暮里に向かい、調べて心惹かれた「ニュートーキョー 談話室」へ。
着いてすぐ、店頭のショーケースから心を射抜かれた。
エスカレーターを登り扉を開けると、大きな窓の明るい店内とわいわいと賑やかな客の声。
それと相反したゴージャスなソファや照明がとても良い。長きにわたって多くの人を受け入れた大らかさを感じる。昔ながらのメニューも数が豊富で、全ての人がお気に入りを見つけられそうだった。
初めて来てもう大好きになった。
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お子様ランチとプリンアラモード、アイスコーヒーを注文してひと足先にランチタイム。
息子も果物やプリンに目をキラキラさせていた。
隣の席の奥様にお話ししてもらったりYouTubeを見たりしながら待ち合わせまでゆっくり過ごす。
13時になり五人中三人が集まり、二人を待ちつつ出発。
子は待ち合わせすぐにお昼寝タイムに入ったので、ヒップシートに乗せて抱っこ移動。
席待ちの予約をして近場をふらり。
青森×イタリアの雑貨店coccia(こっちゃ)がとても素敵だった。
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全員揃い、それぞれのデニム着物のコーデをひとしきり褒め合いながら目的地「喫茶ニカイ」へ。
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みんなお洒落で可愛い。
4人それぞれ違う色のクリームソーダを注文する。
同じテーマの着物を持っていても着こなしが全然違う私たちらしい。
コロナ禍の煽りを受けて、全員同じ職場を離職して仕事での繋がりはなくなっても居心地の良い友だちになれたのを嬉しく思う。
途中で起きた息子は、最初は緊張していたものの目の前のクリームソーダと、優しいみんなを前にすぐにリラックスしていた。
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メロンソーダを大好きなアンパンマンのキャラクターニガウリマンのニガウリジュースに似ていると言い、家に帰ってもソーダを見るたびにこれ飲んだね、と指差ししながら言っていた。
ニカイを出たあとは、塩気を求めて谷中銀座へ。
ぶらぶらと、子どもの歩幅に合わせながらゆっくりと進んだ。
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喋る。歩く。笑う。食べる。
気になるお店があれば入って、知ってるようで知らない道を歩く。
洋服でなぞってもきっと楽しい道のりだけど、好きな着物を着て過ごすことでよりいっそう素敵な思い出になる気がする。
それは店頭で着物を着ていた頃とはまた違った喜びで。でも地続きだからこそ感じるところだと思った。
久々に着物を着れた喜びもさることながら
息子の存在を当たり前のように受け入れてもらえて、五人で楽しい時間を過ごせたのがとても幸せだった。
popo
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