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面接

ある男が面接を受けに来た。部屋には面接官が一人。面接官は男に聞いた。
「あなたの特技を教えてください」
男は椅子に座ったまま銃を取り出すと
「お見せしましょう」
と言うや否や自分の頭を撃ち抜いてしまった。男は床に倒れこんだ。
面接官があっけに取られていると、すぐに同じドアから、恰好から背丈まで何から何まで全く同じ男が入ってきた。
男は死体をまたぐと再び椅子に座り
「これが私の特技です」
と言った。
面接官はしばし放心していたが、事態を飲み込むと男を疑うような目で見た。
「何かのトリックに違いない。その死体が本物だとして、生きているあなたと関連があると証明できるのでしょうか?」
男は落ち着き払ってこう答えた。
「わかりました。それではこうしましょう。私がもう一度自分の頭を撃ちぬく前に、合言葉を決めるのです。ドアから入って来た私にその合言葉を言わせて、合っていれば疑いも晴れるでしょう」
面接官は納得し、思いついた合言葉を男に教えた。
男は合言葉を聞くと頭を撃ちぬいた。
男の体は一人目の死体の上に倒れ、積み重なり動かなくなった。
男が死んだのを確認すると、面接官はドアをじっと見つめ男が来るのを待った。
しかし今度は面接官がどれほど待っても男が現れることは無かった。

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