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刃物専門編集者の憂鬱 その20「ショーレポート:銀座ブレードショー 2024夏 編」


こんにちは。「編集者&ライターときどき作家」の服部夏生と申します。
肩書きそのままに、いろいろな仕事をさせていただいているのですが、ちょっと珍しい「刃物専門編集者」としての日々を、あれこれ書いていこうと思います。


ハイエンドな作品が並ぶ「銀座ブレードショー」

今回は7月7日に開催された「銀座ブレードショー 2024夏」の模様をご紹介したいと思う。

終日多くの来場者で盛り上がった

このショー、7月と2月の年2回ペースで東京·銀座の時事通信ホールで開催されている。
ハイエンドのカスタムナイフ作家が中心だが、他のナイフショーと異なり、アマチュアメーカーのための作品展示テーブルを設置するなど、新人にも門戸を広げているところが大きな特徴となる。

ナイフメイキングの世界が奥行きが深いことは、今さら言うまでもない。
だったら、門戸だってどんどん広げようではないか。
そんな心意気が伝わってくるのだろう、毎回参加者も多く、今回の出展者は52名を数えた。
ショー関係者に伺うと、新型コロナが猛威を振るっていた時期に比べると、来場者も戻ってきている、なんなら「前」よりも多いのではと感じます、という答えがかえってきた。

素晴らしいことである。

KIKU KNIVESのブースには開場直後から行列ができた

そんなショーの模様を、超ダイジェストでご紹介していこう。


ベテランから新進まで、腕利きたちとその作品

中山英俊さん 根付やシルバーアクセサリーといった別分野からのアイデアやモチーフを刃物に取り込み結実させ、世界的に高く評価される作家だ。

楽しいギミックが搭載された作品群。アイデアを具現化する技術の高さにも注目したい


松田菊男さん(KIKU KNIVES) 真ん中に立つ松田菊男さん、左に立つ昌之さん、そして松田さんのお孫さん。KIKU KNIVES三代揃い踏みの瞬間。

開場後ほどなくして完売御礼となった。昌之さんデザインのモデルにも人気が集まっている


武藤美彦さん アートナイフの第一人者として国内外に知られる。実際に会える機会は貴重。美しいアートナイフを展示し、来場者たちの注目を集めていた。

精緻な仕上げにラグジュアリーな装飾が映える。品よくまとめるセンスと技術に脱帽


長田 渓さん(A&K Handmade Knives) 初参加した新進のナイフ作家。来場していた鈴木北斗さん(蜜柑刃®︎:左)と水澤祥太さん(ミズ:右)と一緒に。

オーソドックスなデザインを踏襲しつつ独自性をほどよく組み込んだセンスの良さが特筆される


多松国彦さん ラブレススタイルのデザインを独自にリファインして高く評価を受けている作家。その美しい作品のファンが世界中にいるベテランだ。

ラブレスのビッグベアーとNYスペシャルをベースにした作品。美しい仕上げに息を呑む


丹後雄一郎さん フォールダーを中心に作品の幅を広げている若手作家。一作ごとにコンセプトを少しずつ変えながら進化を続けている姿が頼もしい。

今回はクラシカルなスタイルのフォールダーに加えシースナイフも展示し、注目を集めた


山本 徹さん 日本を代表するナイフ作家のひとり。人望の厚さもありブースにはずっと人が集っていた。サポートで参加した藤田貴大さん(藤(槿):右)と。

代表作のひとつソムリエナイフを100本制作した記念モデルも展示。それぞれに魅力と個性がある


奈良定 守さん オーソドックかつ実用性の高いアウトドアナイフで国内外で人気を得ている作家。パートナーの真紀さん(右)が作るシースも評価が高い。

形状、サイズや厚みなどのアレンジで実用性のみならず見た目の良さも高まっている


堀 英也さん 端正なデザインと仕上げで知られる作家。ラブレスなどのアメリカンスタイルをベースに「持つ楽しみ」を感じさせるハイエンドモデルが人気を呼ぶ。

ローンデール時代のラブレスモデルのレプリカ。細部をリファインして現代的な印象になった


マトリックス・アイダ 主だったショーに精力的に参加しながら、ナイフメイキングの伝導師的な役割も担う。ナイフファンにはおなじみの店長、相田東紀さん。

写真のハンドル材の他にブレード用の鋼材などの中には、要注目のレアアイテムも数多い


おわりに

駆け足になってしまい、全ての方を紹介することはできなかった。
個人的にもお話ししたい人がたくさんいたのだが、挨拶すらできなかった方も多くて、後悔しきりである。
ナイフも、もう少し美しく撮れたと反省しきりである。
実物は写真の100倍素晴らしいと声を大にしてお伝えしたい。
どなたも個性がありつつ、魅力的だった。

冬(25年2月予定)には、また開催される予定である。
見に行きたい方はもとより、参加したい方も公式HPをチェックしていただきたい。

時事通信ホールは天井が高くゆったりとした印象で居心地がいい

おまけ

ショーが開催された前後の東京は、快晴続きだった。
それはそれでよかったが、あまりにも暑くて、外を歩くのがちょっと怖くなるほどだった。

19時の池袋ウエストゲートパーク。まだ暑くて、待ち合わせをここにした30分前の自分を恨んだ

夏以降、ウェブでの展開に、これからは力を入れていく予定である。
刃物専門編集者の憂鬱 その18「ショーレポート:T-OD GEAR SPOT 2024 編」
経緯なども記したこちらもお目通しいただければ幸いである。

ちなみにホビージャパン社の「アームズウェブ」内【ナイフダイジェスト WEB版】でも紹介させていただいている。併せてどうぞ。


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