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八卦掌の練習法と「尹福派宮宝田式」の套路(型)!!「両儀」「四象」「八卦」と羅漢拳の影響
八卦掌には、多くの門派(流派)が存在します。
代表的な門派は、「尹福」が伝えた尹派八卦掌と「程廷華」が伝えた程派八卦掌です。
当流の八卦掌は、「尹福」から「宮宝田」へと伝えられ、護院内部(皇帝の住む、紫禁城の護衛を担う部署)にて伝わってきた「尹派宮式」の八卦掌です。
「羅漢拳」の影響と純粋な八卦掌の技術
この系統の八卦掌の技術には、「羅漢拳」が影響を与えています。
これは、「尹福」「宮宝田」の二人が、元々「羅漢拳」を学んでいたからだと云われています。
下記でご紹介した套路は、当流の八卦掌において「羅漢拳」の影響が少ない套路です。
ある意味では、純粋な八卦掌の技法と原理を訓練するために構成された套路だとも言えます。
「小開門」
「四形八掌」
「内修八掌」
「八卦連環掌」
「小開門」と呼ばれる八卦掌の套路(型)
「小開門」(開門掌)については、当流の「尹派宮式」の八卦掌で、最初に学ぶ套路(型)としています。
当系統では、別名「両儀掌」とも称します。
この套路は、もともと4種類の換掌を訓練するための套路(型)だと言えます。
即ち、「青龍回首」「黒熊探掌」「白蛇纏身」「紫燕掠水」の4つです。
この4つの掌法は、4種類の運動法則によって運用されています。
即ち「四象」です。
当流では、さらに細分化した技法として龍、熊(虎)、蛇、燕(麒麟)の4つの動物に例えて表します。
また、套路(型)の構成としては、それぞれに陰陽の2種類の運用を行います。
これにより、4種類の運動法則は8種に分化生成されます。
即ち「八卦」(八母掌)です。
つまり、「小開門」と呼ばれる套路は、4種類の換掌の訓練を通して「四象」を導き出し、逆説的に「陰陽」(両儀)を発見するための套路と、当流では位置付けています。
そのため「両儀掌」という呼び名で呼ばれるのです。
また、陰陽だけでなく、「四象」を通して「八卦」を生成する套路(型)でもあります。
「内修八掌」と呼ばれる八卦掌の套路(型)
「内修八掌」は、厳密には「内修掌」と呼ばれる技法と「八掌」と呼ばれる2つの技法によって構成されています。
「内修掌」とは、先天掌とも呼ばれ、母体となる掌式であり、一般的には「八母掌」と呼ばれる技法です。
「八掌」とは、ただ単に「八卦掌」と呼ばれたり、「変化掌」とも呼ばれる技法で、「八母掌」の原理を攻防(用法)や制敵に応用させるための一例を示した套路といえます。
上記の套路の共通点は、全て柔法が強い風格だという事です。
また、套路によっては、段階的な訓練があり、段階によって形も変わる場合があります。
「羅漢拳」の影響を強く受けた套路(型)
当系統の八卦掌では、前述の通り「羅漢拳」の影響を強く受けた套路(型)も訓練します。
これは、柔法の風格が強い套路を訓練するだけでは、不十分な部分が生じるためです。
つまり、当流の八卦掌のみを学ぶなら、「羅漢拳」の影響を強く受けた套路を、同時に学ぶ事によって、始めて当流の八卦掌は完全なものになるという事です。
下記が、当流の八卦掌において「羅漢拳」の影響を強く受けた套路です。
「八卦腿」
「八卦拳」
「硬手拳」
「十二転肘」
「羅漢拳」の技法その物の套路(型)
「八卦腿」と「八卦拳」と呼ばれる套路については、宮式における「羅漢拳」の技法を2つの套路にまとめた構成とも言えます。
また、「八卦腿」については、「四象」と呼ばれる運気を「羅漢拳」の形態の中で練る套路となっています。
尹福派の八卦掌の系統と六十四掌
八卦掌を、厳密に分類するなら、尹福派の八卦掌は、大きく分けて2種類の系統に分類されます。
尹福の一部の弟子や子供から民間に伝わった系統と、護院内にて伝わった系統です。
一般的には、護院内で伝わった系統は、宮宝田の伝えた「宮式八卦掌」と呼ばれ、民間に伝わった系統を尹派(尹式)と称する事が多いようです。
尹派と称される八卦掌は、六十四掌を中核に教習される事が多いようです。
この六十四掌は、門派や系統にもよりますが、八卦掌の技法、柔法に羅漢拳の用法や打法を加えて構成されています。
そのため、全体の動作が比較的、直線的に構成されています。
当流には、尹派と称される八卦掌とは違い、六十四掌と呼ばれる套路は、形としては存在しません。
この六十四掌という套路は、門派によって構成基準は一定ではありませんが、当流では構成基準となる理論のみ教習します。
つまり、套路としての形は、必要であれば、練習者自身が構成するという事です。
宮宝田の伝えた「宮式八卦掌」の系統
宮式の八卦掌も近年には民間に伝わりました。
現在、大陸の上海などに伝わっているものが、この系統にあたります。
当流の系統は、宮式の中でも護院内部で伝わった系統で、「羅漢拳」の技法と柔法を比較的、明確に分類された形で伝わっています。
もちろん、当流の八卦掌でも「十二転肘」や「硬手拳」などの一部の套路において、柔法と「羅漢拳」の技法の融合を訓練する套路は存在します。
しかし、基本的には柔法と「羅漢拳」の技法は、別々に学びます。
これは、それぞれの技術を純粋に運用、訓練するためです。
一定の技法を学ぶ場合、より純粋な形態で学んだ方が、上達も早く、技法の理解も深くなり、応用変化に繋がる地盤を作りやすいと考えるからです。
そのため、当流では、「羅漢拳」の技法と柔法の二種類の技法を、純粋に別々に学び、後に融合させる訓練法を行います。
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