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八卦掌の鴛鴦鉞と呼ばれる武器!!八卦掌の暗器(隠し武器)!!

八卦掌は、中国武術において、内家拳と呼ばれる武術に現代では分類されています。

内家拳とは、気功、内功、運氣などとも呼ばれる、筋肉活動とは別の、身体の内部を運用する武術の総称です。

太極拳も、この内家拳に分類される運動だと言えます。


八卦掌とは


八卦掌は、清朝末期の名人である「董海川」によって創始された、比較的新しい武術です。

当流に伝わる八卦掌は、「董海川」「尹福」「宮宝田」と伝わった八卦掌です。

この八卦掌は、紫禁城内の宮廷にて、要人の護衛任務につく者が練習した武術だと言えます。


八卦掌の暗器(隠し武器)


この八卦掌には、暗器(隠し武器)の技術が伝わっています。

主に伝わっている暗器術は、鴛鴦鉞(えんおうえつ)と呼ばれる武器です。

一般的な鴛鴦鉞の全長は約50センチメートルほどの大きさとなります。

2本の月牙と呼ばれる、三日月状の刃を交差させた形状をしており、中心に布を巻いて握り手としています。

両端に突き出た突起に刃がついています。また、2本の鴛鴦鉞を両手で使用するのが主流だと言えます。下記は、鴛鴦鉞の画像です。

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鴛鴦鉞と董海川


鴛鴦鉞は、前述の八卦掌の達人として名高い「董海川」が愛用したことが大きいと言えます。

一説には董海川が発明したとも言われています。

また、現在では八卦掌のみならず、少林拳などでも用いられているそうです。


鴛鴦鉞の名前の由来


鴛鴦鉞の名前の由来は、よくわかっていません。

「鴛鴦」とは、オシドリの事です。日本でも、「オシドリ夫婦」という言葉がありますが、オシドリは、つがいで行動する鳥のようです。

左右の手にペアで持つ形状の武器のため、このような名称で呼ばれるとも、形状自体がオシドリに似ているため、だとも言われています。

また、「鉞」とはマサカリの事です。

初期では、オノやマサカリのように、切り落とすように使っていたのかもしれません。

また、似た武器に「圈」或いは、「 風火輪」と呼ばれるものがありますが、もしかしたら、これが原形かもしれません。下記は、「圈」の画像です。

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鴛鴦鉞の形状


鴛鴦鉞は、日月弧形剣や、子午鴛鴦鉞、子母鴛鴦鉞、日月孤影剣、鹿角刀などの呼び名があります。

しかし、これらの名称が、同じ形状の武器を指す言葉であるとは言えません。

少なくとも、当流の八卦掌では、鴛鴦鉞は、下記の画像の形状を言います。

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また、下記の画像は、日月弧形剣と呼びます。

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良く見て頂ければわかるとおり、鴛鴦鉞と日月弧形剣では、刃の数が違います。

中国武術の兵器術では、形状が違えば使い方が変わってきます。

例えば、両刃の形状である「剣」と、片刃で反りのある形状の「刀」では、使い方が異なります。

同じように、鴛鴦鉞と日月弧形剣の二つの形状は、刃の数が鴛鴦鉞の方が、一つ少ないだけで、ほとんど同じです。

しかし、この小さな形状の違いであっても、使い方が変わってきます。

似ているから同じと考えるのは、間違いだという事です。

余談ですが、鴛鴦鉞を使用する場合、グリップ部分を握った、小指側の刃が欠けている状態にします。


鴛鴦鉞の大きさ


前述した通り、一般的な鴛鴦鉞の全長は約50センチメートルほどの大きさです。

しかし、本来この武器は、術者の手の大きさに合わせて作られていたようです。

また、実際に使用された物は、もう少し小さかったようです。

鴛鴦鉞を使用した武術家たちは、前述の通り、宮廷内の護衛についていました。

彼らは、紫禁城の中でも、皇帝が生活していた中心に近い場所での護衛任務でした。

そのため、要人の前で武器を持ち歩く事が、失礼にあたるため、通常武器が持ち込めず、暗器の装備のみとなりました。

下記の画像は、当時の宮廷内での服装のイメージです。その下の画像は、宮廷にいた当時の宦官です。

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鴛鴦鉞は、上記の画像のような、袖が長く、袖口が大きく開いた服装の、袖の中に隠して持ち歩ける大きさだったようです。

また、夜の暗闇で目立たないように、黒く塗装されていたようです。


まとめ


鴛鴦鉞は、暗器(隠し武器)として発達した武器です。

しかし、清朝当時の皇帝が住む、紫禁城内の中心部分にて、護衛するのに適した形状をしています。

そのため、一般的な武器とは、存在理由が異なる武器だと言えます。



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