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新卒のとき、私はどうしようもないダメ社員だった。

私は本当にどうしようもないダメ新入社員だった。

何がどうしようもないって、社会をなめきっていたから本気で仕事をしなかったし、自分はできる人間だと勝手に勘違いしていた。

だから努力しないし、怒られても全く反省していなかった。

しょっちゅうさぼって、しかも見つかるっていうどうしようもなさ。笑

いやなことは全部会社のせいにして、「私が力を発揮できるのはこの場所じゃない、この仕事が合わないからだめなんだ。私はこんなことをやりたいんじゃない」と毎日思っていた。

でもなんで変われたかといったら、私の教育担当をしてくれた上司が、けっして私のことをあきらめなかったから。

Mさんという40代の男性上司は、運悪く私の教育担当になってしまい笑、ふざけた行動をする私を、毎日終業後に説教部屋に呼び出して叱ってくれた。

それはもう、本気で。笑
お父さんのように。

「なんでこんなこと言われなきゃなんないんだって、ムカついてるだろう?それでもいいから聞くんだ」

何度言ってもできない私に、何度も何度も同じことを教えてくれた。

そして、全然仕事ができない私に不満があったであろう、他の社員の愚痴を聞いては、間を取り持ってくれた。

そして私に、いろんなあだ名をつけていじられキャラにすることで、周りの社員たちが私に親しみを持ってくれるようにもしてくれた。

結局、Mさんとは職場のなかで誰よりも仲良くなって、なんでも相談して、時にけんかして。私が体調を崩して休みまくったときも、いつも一番に心配してくれた。

人に本気で関わってもらえると、不思議と人は変わっていく。

なんで怒られるのか、自分がどれだけ適当に仕事をしているどうしようもないやつか。ちゃんと理解した。

ひとに感謝することができるようになった。
「心のそこから謝る」ということも、覚えた。

いつのまにか、一生懸命仕事に取りくむようになり、最後には全国区の学会で発表できるくらいには、まともな人間になった。責任のある役割を任され、仕事はどんどん楽しくなった。

入社したばかりの私はきっと変わっていて嫌われ者だったけど、いつのまにか「仲間」だと思えるくらいみんなとも仲良くなった。

Mさんがいなかったら、私はいつまでもダメ社員のままで、言い訳ばかりして働いていただろうと思う。

あれから10年ちかくたって、だんだんと自分より年下の子に仕事を頼んだり教えたりするようになって、Mさんがどれだけのエネルギーをつかって自分を叱っていたか、やっとわかるようになった。

叱るということは、人に本気で向き合うことなので、とてもエネルギーを使う。相手に嫌われるかもしれないという覚悟を持って、それでも意をけっして言葉を口にする。

誰も怒ったり注意したりすることなんて、好きなわけじゃない。

だから、私は逃げたくなる。
いつも優しくていいひとでいられたら、どんなに楽か!笑

でもあのとき、私の成長を願う一心で、自分がやらなきゃだれがやるという気持ちで、Mさんは叱ってくれていたんだと思う。

そう思うと、私ももう大人になったんだから、それをやっていかなきゃいけないんだなあと思う。人と関わる覚悟を持って仕事をしている限り、避けられないことなんだなあと。

でもまだ未熟なわたしは、おそるおそる言葉を選び、意をけっしてそれを言う。自分にも足りないことだらけだけども、それはわきまえた上で、「よーし!」と気合いを入れて。

世の中のマネジメント層のみなさんや、社長さんたちも日々こんな気持ちでいるのかなあ。いろいろ聞いてみたいなって最近思う。笑

深く関わることをあきらめそうになったとき、いつも思い浮かぶのはMさんのこと。あんなふうに、「愛ある厳しさ」を持って後輩に関わっていく年長者になりたいなと日々思いながら、がんばっています。


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これは2年前に私が個人ブログに書いた文章です。

さっきふと、新社会人になる後輩たちに「がんばってね」とメールをしていたら、「自分はすごいダメ社員だったなあ」と思い出し、このブログを読み返しました。

改めて見てみても、本当にダメな社員だなあと思う。笑

今わたしは、NPO法人soarの代表理事になり、たくさんのスタッフに支えられながら仕事をしている。12年前あんなにひどい社会人だったのに、今は組織の代表なのだから、本当に驚く。

最後に『「愛ある厳しさ」を持って後輩に関わっていく年長者になりたい』と書いてあるが、最近もこれで悩んでいるので、2年間全く悩みごとが変わっていないことに愕然とした。笑

今でも「これ間違ってるよ」「こう改善してほしい」とスタッフに言うたびに、「ああもっと優しい言い方できなかったのかな。厳しすぎたかな」「自分もできてないくせに、偉そうに」などと反省するし、ときどき一瞬だけ、「でもやっぱり好かれたいな」という気持ちがのぞいたりもする。

ただ、スタッフがそのあとすごく頑張って努力してくれて、いつのまにか仕事ができるようになっていると、「私もすこしは貢献できたのかな」とうれしくなる。外部のひとに「soarのスタッフは本当に素敵だね」と褒められると、自分が褒められる30倍くらいはうれしい。

幸い心優しく、まっすぐなスタッフたちに囲まれ、この2年間で自分もみんなのおかげですこしは成長したと思う。ほんのすこし。笑

スタッフたちの姿からは、日々学ぶことばかり。

なので、Mさんによって、私は成長させてもらったのだとばかりだと思っていたけれど、実は私の上司になることで、Mさんも成長していたのかなと思う。大それた話だけど。笑

人は人との関わりのなかで成長していく。人はお互いにいい影響を与えあっていて、どちらかが「させた/させられた」という関係なんてないのかもしれないと思う。

新社会人のみなさん。人とかかわって仕事していくのはしんどいこともありますが、すごく学びになるし、ときどきとてもうれしいですよ。

自分の心の声もしっかりききながら、どうか仕事を楽しんでください。

そしてたくさんのマネージャーやリーダーのみなさん、お互い大変なときもありますけど、頑張りましょう。笑

私も頑張ります。

みなさんの働く毎日が、すこしでも素敵な日々になりますように。


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コメント (1)
工藤瑞穂さん
私は社会に出て働くのが怖いです。誰かと話をしたり、作業をしたりすることはとても好きなのです。けれど上手に気持ちが伝わらない時、相手に嫌われることが怖いがためにいつもいつも自分が下がる(負ける?折れる?)ことで解決しようとする自分が嫌いです。
きっとこれから社会人になったら私はダメ人間なんだろうなと、思っています。

この記事を読んで元気が出たこと、そんな自分も認めてあげようと思えたことを新年の記録としてコメントさせていただきました。あたたかい文に触れて、素敵なお年玉です。
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