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「あなたたちの活動はキラキラしてて、見るのがつらいんです」 そんな葛藤も抱いて、世界をよりよくする可能性に #soar応援


「soarはキラキラしているから、見るのがつらいんです...」

とあるsoar主催のオンラインイベントで、こうチャットに書いてくださった方がいた。

私はそのときトークセッション中だったけれど、一瞬で胸がざわついた。実はこの言葉は、幾度となく読者のみなさんから、soarに対して投げかけられてきた言葉だったからです。

自分たちがインタビューイから大切なお話をお聞きさせてもらい、その人生や学んできたことを、ありのままに伝えたい。そう考え誰かの力になりたくてつくったメディアが、活動が、もし誰かにつらい思いをさせてしまっているとしたら。

もしかしたら、参加しているみなさんも少し緊張したかもしれない。それでもこれをないことにする選択肢はなかった。

soarを気にかけて記事を読んでくれる、わざわざ時間をつくりイベントに参加してくれている。エネルギーをつかって、それでも私たちに伝えてくれた言葉がある。

しっかりその気持ちに向き合いたいと思いました。

まず、なかなか言いにくいであろう思いを伝えてくれて、とてもありがたいということ。

けっしてポジティブであることを強要するような意図はなく、その人の生きている姿をなるべくいきいきと感じられるよう記事を書いていること。

課題や困難な部分だけではなく、これを読む人が少しでもエンパワーメントされるよう、その人から学ぶこと、その人が本当に伝えたいことを伝えていること。

うまく思いを伝わったかはわからないけれど、自分の感じたことをそのまま話した。

その後もいくつかsoarへの意見が投げかけられ、そのたびに私たちはお答えをしていった。また、その後の小グループでの対話においても、その方は顔を映すことはなかったが気持ちを話してくれ、聴いたメンバーが自分の考えを伝えてくれた。

「答えてくださってありがとうございました」

その方は最後に、そう一言書いてくれた。そしてこの様子を見ていた参加者のみなさん数人が、あとからアンケートに「大切な声に真摯に向き合ったことが素晴らしい」と伝えてくださった。

その瞬間、私の心のなかに今までなかった光が差し込み、少しだけ可能性が開いた気がしたのです。

自分が避けたいと思ってきたもの、あるとわかっていて直視する勇気がなかった様々な葛藤に、これからはもっと向き合っていく勇気が湧いたから。

“悩み抜いた末のポジティブさ”で進んできた、soarの1年

2015年12月22日にオープンした、人の可能性が広がる瞬間を捉えるウェブメディア「soar」は、今日で5周年を迎えました! 「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来をつくる」ことをビジョンに掲げ、NPO法人になって4年目。

たったの3記事の掲載からはじまったsoarは、コツコツと発信を続けて今となっては500記事にもなって!日々さまざまな方がsoarを読み、「励まされた」「世界が広がった」などの感想をくださり、いつも喜びを感じながら運営をさせてもらっています。

多くの方が感じていることだと思いますが、soarも今年はつらい局面や悩み迷うことも多かった1年でした。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京は4月には緊急事態宣言が出て、これまでと同じように取材やイベント開催ができなくなったことはとても大きい出来事。

soarの記事づくりはこれまで、対面で時間をかけてしっかりインタビューさせていただいたり、福祉施設等の場合は関係者の方に何人もお話させてもらい、数時間滞在しながら取材を重ねてきました。写真もその方のありのままの姿がいきいきと伝わるよう、こだわって撮影しています。

また、読者の方とお話させていただく時間をとても大事にしているので、説明会やイベントを開催し、みなさんで集まって対話したり、学び合うリアルの場の開催にも力を入れていました。

それができなくなることは、私たちの存在意義に大きく関わります。

社会に不安が広がっていくにつれて、経済的な危機や不安からマンスリーサポーターとしてのご寄付を停止される方も多く、soarとして受けていた講演なども中止になったことから、収入が大幅に減り、経営面でも厳しい状況が続きました。

新型コロナウイルスにまつわる情報が増えていくなかで、記事も読んでいただくこともなかなかできなくなり、閲覧数も落ち込んでいく。

「変わらずに熱意は持って活動しているのに、どうしてうまくいかないのだろう?」

悔しさを感じることもありましたが、メンバーで知恵を出し合い、様々な工夫をしてオンラインでの取材とイベントをはじめました。

その結果、去年と変わらない数の60記事以上をリリースし、イベントも23回開催、過去最多の1000人以上の方に参加していただけて!

特にオンラインイベントでは、顔や名前がわかる状態でイベントに参加したくない方、コミュニケーションに不安がある方も視聴のみで参加できることを、とても喜んでくれた。

むしろ、これまでそういったニーズに気づいて配慮できていなかった私たちの視野の狭さを実感するとともに、新たな可能性を感じました。様々な場所、様々なコミュニケーション方法で参加できる。これは“情報のセーフティネット”を目指す私たちにとって、大事にすべきこと。

そして外部からの収入がほとんどなくなった状況でも、新たなやり方を探しながら活動をつづけることができたのは、読者のみなさん、そしてsoarサポーターとしてご寄付をくださるみなさんのおかげです。

毎月一定の金額がしっかり活動費としてあることは、大きな安心感でした。“自分たちが大切にしたいことを大切にできるモデル”で運営させていただけること、心から感謝します。

一番運営に悩んでいたタイミングで、「ネガティブ・ケイパビリティ」という考え方にも出会った。これは、「性急に証明や理由を求めず、不確実さや不思議さ、懐疑のなかにいることができる能力」を意味する言葉。

今も続くどうしようにも答えが出ず、対処が難しい事態において、不確実さを受け止めながらも考え続けるあり方は、とても大切なことだと思います。

自身の健康や暮らしに不安を抱える中でも、soarのメンバーたちはいつも自分たちの願いを手ばなさず、不安を素直に共有しながらもいつも前向きでいてくれました。

「悩み抜いた末のポジティブ」は強い。

もちろん自分がみんなを本当にケアしきれたかどうかはわからず、自分の経営能力の足りなさも実感しましたが、様々なかたちで多くの人がsoarを支えてくれたおかげで今があります。

みなさん、本当にありがとうございます!


様々な葛藤と対立、痛みを経験して

新型コロナウイルスの影響以外でも、私たちはこの1年、様々な“葛藤”に出会った。

社会的にも、職場におけるハラスメントの告発や#Black Lives Matterなどの差別と闘う動きも多く、無意識のバイアスによって人を傷つけてしまうようなメディア発信や広告も多かったように思う。

私たち自身も、多くの人々が関わるメディアやコミュニティを運営しているなかで、被害と加害の構造においてどう行動すべきか悩んだり、人と対立したり傷つけ合う姿を目の当たりにしたときどんな役割を担うべきか。

「あなたたちは、どうするの?」

そう問われ続けられているような気持ちだった。

私は誰かの葛藤や対立を目の当たりにしたとき、どうしても心に傷つきや恐れが生まれてしまう。それは、同時に自分のなかにも被害性や加害性を発見したり、それを直視することの心のダメージに耐えきれなかったり、「自分は正しいことができず逆に傷つけてしまうのでは?」と不安を感じたりするから。

でもsoarは、「人の可能性を広げる」ために活動しているのだから、葛藤や対立、怒りや悲しみにしっかりと目を向け、そこに解決策を見つけていかないことには可能性にはたどり着けない。

自分たちの今後に悩んでいるとき、私はとある映像に出会った。それは悲しい出来事に直面し激しい対立が起こった地域における、人々の和解のプロセスだった。

1994年でルワンダで起こった大虐殺(ジェノサイド)。そのときルワンダで暮らすフツ族の人々が、ツチ族とフツ族の穏健派を大量虐殺するということが起こり、たった100日間の間に、730万人の人口のうち100万人が殺されてしまったのです。

同じコミュニティの中で暮らしていた人の命を、ある日突然奪ってしまう。その事実を知っただけでも、体が悲しいエネルギーでいっぱいになる。

ただ、今ルワンダでは、投獄されていた加害者たちが徐々にコミュニティに戻ってきていて、様々な場所で被害者と加害者の対話の場がつくられている。

この取組みを聴いたときに、私はとても驚いた。被害者やその遺族をこれ以上傷つけないためには、加害者と会わせないようにして、回復に専念してもらえるほうがいいのではないか。被害者と加害者が同じ場にいることは、すごく危険なことではないか。ただ傷を広げるだけなのでは?そう考えていたからです。

でもその映像では、「プロセスワーク」という起こった出来事全体のプロセスを尊重し、対話によってそこから知恵を見出し、個人とコミュニティ全体の成長を促していく手法によって、場がつくられていた。

ファシリテーターが場をホールドし、数十人の被害者、加害者と大きな円になる。そして虐殺が起こったときのつらい記憶、自分たちの悲しみ、怒り、大きな力によって隣人を殺さざるを得なかった痛みと後悔を語っていた。

そのなかで、ある被害者の人が話した一言が忘れられない。

「生存者の隣に、加害者が座っていること。そのこと自体が希望です」

自分たちの命を脅かし、大切な人を手にかけた人々に対して、「ともにあることを希望」とその人が言えること。それが言える場をつくりあげてきた一人ひとりの努力に心から敬意を表したいと思った。

その後、加害者がはじめてなぜ自分が人を殺してしまったかを語るとともに謝罪をし、ある被害者は「悲しみは癒えないけれど、私はあなたを赦したい」と言い、そこにいる人たちみんなが涙を流し、ルワンダにずっと伝わる歌をうたいはじめた。

このコミュニティにいる人々は、想像もできない悲しみと痛みのうえに、それでも希望を探して今立っている。自分たちに起こった何十年もの歴史、そのプロセスをまるごと受け止めて、前と進む道を探す。そのことこそを、“希望”と呼ぶのだなと思った。

この世界ではさまざまな人が自分の尊厳のすべてをかけて、悩み葛藤し、闘っている。人の数だけ真実があり、歩んできた人生、携えてきた信念がある。

今年はこれまで以上に、soarに期待してくださっている方と考えがすれ違いわかり合うことが難しい場面や、自分たちが見過ごしてきたもの、相手の感情や立場を深く考えられていないことを実感する場面をたくさん経験した。意思決定に迷うことも多く、何度も何度も、みんなで考えと感情を分かち合い、対話を重ねた。

この1年は、これまで自分たちが歩んできた4年間とは全く別のものだったように思う。

悩んで悩んで、自分の深いところにどんな願いがあるか考えたときに思い浮かんだのは、こんな思いだった。

「人それぞれに違う考えや生き方がある。それでも、ともに生きていくとしたら?」

考えの違いで対立したり、そこに被害と加害があったり、互いに憎み傷つけあったひとたちが、同じ場でどうやったらこの世界でともにあることができるだろうか。全ての人が、自分と他者の存在を大切にしあって生きていける世界はつくれるのだろうか。

そんなことを考え始めた。

“わかりあえない痛み”からスタートする対話が、ともにある希望へつながる

そして思い出したのが、せんだいメディアテーク館長の鷲田清一さんがによる、「対話の可能性」という文章だった。

“人と人とのあいだには、性と性とのあいだには、人と人以外の生きもののあいだには、どれほど声を、身振りを尽くしても、伝わらないことがある。思いとは違うことが伝わってしまうこともある。

〈対話〉は、そのように共通の足場を持たない者のあいだで、たがいに分かりあおうとして試みられる。

そのとき、理解しあえるはずだ、という前提に立てば、理解しあえずに終わったとき、「ともにいられる」場所は閉じられる。けれども、理解しあえなくて当たり前だ、という前提に立てば、「ともにいられる」場所は、もう少し開かれる。

〈対話〉は、他人と同じ考え、同じ気持ちになるために試みられるのではない。語り合えば語り合うほど他人と自分との違いがより微細に分かるようになること、それが〈対話〉だ。

「分かりあえない」「伝わらない」という戸惑いや痛みから出発すること、それは、不可解なものに身を開くことなのだ。”

完全にはわかりあえない、あの人と私は違う生き物だ。そんな痛みからはじまり、対話をつづけること。それ自体がともにいられる場所をつくるのかもしれない。そしてそれこそが「人の可能性を広げること」であり、「希望」と呼べるのかもしれない。

また、それはきっとsoarが大切にしている“回復”にもつながること。

対話を重ねた先に、人がともに生きていく道を探す。そのために個人や人があつまる集団、共同体の回復や成長をサポートできるような存在でありたい。

これまでの「困難を抱えている人を情報でサポートする」という私たちのあり方から、さらにこの数年、数十年取り組んでいきたい道を見つけたように思います。

多様性とは“自分が自分らしくあること”の集合体

ただ、それは長い長い道のり。じゃあ、人々に対話やその先のコラボレーションを促すような活動にしていくため、まず私たちができることはなんだろう?

私はまず、soarそのものが、葛藤を受け止めそのなかに希望を見出していける組織であり、実現したい世界を体現している必要があると思う。

そのためには、喜びも不安も分かち合える対話のできる組織でありたい。また、「多様性」がある組織でありたい。

私は多様性とは“自分が自分らしくあることの集合体”だと考えている。そして自分が自分らしくあるというのは、「soar」な状態とも表現できると思う。

振り返れば5年間のなかで、働くひとの個性や特性を尊重しきれなかったり、可能性を活かしてもらえるような環境をつくれなかった悔しい場面が何度もあった。もちろん相性やタイミングもあると思うけれど、そこからきちんと学び、今後働いていくメンバーのために活かしていこうと考えた結果、大切にしたいことがどんどんクリアになってきた。

この1年の様々な危機と葛藤によって、今まで以上に大切にしていこうと決めたのは、何かが起きたときはすぐに最優先で、みんなで集まって感情も考えも、分かち合い対話すること。そして、解決したあとに振り返りをすること。

これをなしにしては、個人の中に生まれた傷つきがその人だけのものなってしまうし、「みんながどう思っているのだろう」という不安で場が硬直してしまう。だから、解決策を考えるよりも、まずとにかく、対話。

ここだけは時間を惜しまずにやっている。

そして、あり方やコミュニケーションなどの組織文化も、なんとなくあったものたちを、どんどん言葉にしてはっきりと伝えている。

ひとつは「好きなものを大切に」。

「好きなものを好きだと言える」ということは、人権や尊厳に関わるすごく大切なことだと私は考えている。

なのでsoarでは、会議前のチェックインタイムで一人ひとり好きな話をしたり、新しいメンバーがくるたびに偏愛マップをつくって好きなものを共有しあう場をつくっています。

その積み重ねによって、自分の好きなものや関心があることを掴みきれなかった人も、どんどん自分の話をするようになるし、「あの人はこういうものが好きなんだ」と自分との違いを自覚したり、それを尊重できるようになっているのはすごく嬉しい。

次に、「あなたの言葉には力がある」ということ。

立場や年齢に関係なく、人生で経験してきたことや悩み考えてきたことは、全て価値がある自分だけのもの。それを言葉にして伝えることは大きな価値があり、チームにポジティブな影響をもたらすと思う。なので、どのメンバーにも平等に時間をつくり、自分の言葉で話してもらうようにしています。

そして、「あなたの弱さや不安は可能性」。

一人ひとりが感じている、自分だけの弱さや不安のなかには、必ず組織全体にポジティブな変化をもたらす種がある。だから、それを恥ずかしいことと思わずに、弱さを共有しあう。それを尊重し合うことを大切にしている。

本当はまだまだたくさんあるので、年明けにメンバーの行動指針としてまとめて、みなさんに共有したいと考えています!

こういったsoarの組織のあり方は、日々積み重ねているからこそ、私たちのつくる場にも少しずつにじみ出ているように思う。

先日イベントの参加者の方がこんなふうに書いてくれた。

「これまで参加したどのイベントよりも、参加者ひとりひとりのあり方や個性に対する配慮とその場にどんな状態でいても尊重してくれる雰囲気があった」

たった2時間のあいだ、しかもオンラインで、「自分のあり方を尊重してもらっている」と感じてもらえたことは、すごく嬉しい。

なにかを強く主張することよりも、まずは自分たちの実践と体現から。対話を通して自分が自分であることを可能にする組織やコミュニティのあり方を、広げていきたいと思う。

自分たちの弱い部分や加害性も、しっかり見つめたい

つい先日、中心メンバーで集まり、あるテーマについて長い時間をかけて対話をした。

「soarの進化を阻むものは何なのか?」

本当はもっとsoarはよりよくなれるにも関わらず、自分たちで進化を阻んでいるのではないか。そう思い、この一年を終える前に、soarが社会に期待されていること、でもsoarが現実的にできることは何なのかも含めて向き合ってみた。

そこで気づいたことは、「私たちはまだまだ、様々な立場の人の視点に立てていないのではないか」ということ。

これまでも様々な知識を学び、あらゆる人に対して想像力を持って活動を“やってきたつもり”だった。

ただそのプロセスにおいて、本当に申し訳ないことに、自分たちの力不足で誰かを傷つけてしまったり、正しい情報を伝えきれなかったことがある。情報を発信することは、ときに無意識のうちに誰かの尊厳をおびやかしてしまう。

でも自分たちの失敗、人を傷つけてしまった事実を絶対なかったことにしない。何としても今後につなげるために、そしてあらゆる人の可能性を広げていくため。これまで以上に、様々な人の立場に立って、様々な人のめがねを借りて、想像力を持ってこの世界を見ていきたいと思う。

そう考えたときに、「soarはキラキラしているからつらい」と言ってくれた方の言葉は、本当に本当にありがたいもの。それ以外にも、時折soarへの厳しい意見を送ってくださる方もいらっしゃる。誰かに自分の意見を強く伝えることは、すごくエネルギーのいることなので、きっと勇気がたくさん必要だっただろう。

そこにとことん真剣に向き合えるか。自分たちの弱い部分や加害性を見つめられるか。「自分たちのあり方はこれでいいのか」と常に問い続けられるか。

安全な場にいて傷つかないために自分たちを守るのではなく、あらゆる人の立場に想像力を持ち、その人の目線に立って感情や考えに思いを馳せ続けることを、これからより大切にしていきたい。

もっとタフな組織になり、“希望”の意味を私たちなりに捉え直していく

私はいつもsoarのメディア紹介をするときに、こう話す。

「困難や課題だけでなく、“希望”を伝えたい」

それをいつも聴いているあるメンバーが、こんなことを言ってくれた。

「soarが“希望”という言葉をつかうこと、とてもまぶしかったんです。でも今は、soarは困難や課題の先に希望を見出していると思えるし、いろんな希望のかたちがあるんだと理解できる。まだ今もまぶしいって思う自分はいますけど(笑)」

希望という言葉は、誰かにとってはポジティブなもので、誰かにとってはネガティブなもの。

それはまさに私が持っていない視点だったし、私が知らず知らず、無意識のうちに“押さえつけてきた誰かの声”なのかもしれない。

私はそのメンバーの言葉にちゃんと耳を傾け、気持ちを想像することができたからこそ、自分たちと世界を見つめる新しいめがねを手に入れ、希望という言葉をより深く考えられるようになったと思う。

こういう一つひとつの言葉や感情に真剣に向き合うことを続けていきたい。それがたとえ、葛藤や痛みを伴うプロセスだったとしても、その全てを希望だと捉えて。

6年目のsoarは、様々な葛藤と向き合い、いろんな人がともにあれるような場をつくるため、多くの人を包み込めるうつわがあるもっともっと“タフ”な組織になっていきたい。

「自分のうつわ以上の場はつくれません。それをしようとすると、不幸が起きます」

昔、あるファシリテーターの先輩が苦笑しながらこんなことを言っていた。自分のうつわを広げていくからこそ、より多くのものをホールドできる場が生まれる。

だからこそ私たちも、soarも、いい意味で”身の丈”を知り、”身のほど”をわきまえたうえで、今の自分のベストを尽くす。そしてそのベストを高めていくために、小さな修行を重ねて成長しつづけていきたいと思う。

それを可能にするためには、もちろんスキルも必要。編集部では今、これまでの学びと失敗を全てアーカイブし、編集ポリシーを作り直すとともに、自分たちが勉強すべき分野を洗い出している。

また、私個人としては、前述したプロセスワークの講座を受講し、葛藤と対立のある場をしっかり見つめてシステム構造を理解し、人々の対話をファシリテートできるような人間になるため、勉強をつづけている。

力みすぎるとバーンアウトしてしまうので、もちろん個人のセルフケアと組織のケアを行い、自分たちのあり方そのものがsoarであることも忘れずに。

まだまだ課題は出てくると思うが、これまで以上に読者のみなさんの声を聴く場をたくさんつくってきたいと考えているので、ぜひご意見がある方は、イベントだったり、メールやSNSで伝えていただけたら嬉しいです。

不安も悲しみも、そして願いも、世界をよりよいものにしていく力に

私が心の支えとしていつも読み返している、「もしも、あなたの言葉が世界を動かすとしたら?」という本に、こんな言葉がある。

“「みんなが同じことを心配しているのだ」と気づいたときこそ、その生活共同体は変わりはじめるのです。みんなに共通する心配事をつきとめたコミュニティほど強いものはありません”

今を生きるみんなが不安に思っていること、おそれ、悲しみ。そして願い。それをできる限り聴いて、対話して、世界をよりよいものにしていく大きな力に変えていける活動が、soarの役目のように今は思う。

“違う考えや生き方がある。それでも、ともに生きていくとしたら?”

それをあきらめず、困難な道のりでも私たちなりの可能性を見つけて、これからも進んでいきたい。

きっとこれが、私たちの“希望”だから。

soarをいつも応援してくださるみなさん、そして一度でも読んでいただき心に止めてくださっているみなさん、そしてサポーターのみなさん。soarに関わってくれるみなさん、メンバーのみんな。本当にありがとうございます!

6年目のsoarも一生懸命に進んでいきますので、どうぞよろしくおねがいします。

(NPO法人soar代表理事、編集長 工藤瑞穂)

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