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2021/06/22魂のいちばんおいしいところ

ある記念日は、毎年外食をしてささやかなお祝いをすることにしている。今年はこんなご時世なので、どうしようかなと悩んだ。でも、オープンエアのカフェのテラス席なら、と思って、お店探し。良さそうなところは火曜休みというのが4軒ぐらい続き、挫けそうになっていたとき、この某カフェを見つけた。

東京近郊の湖沼沿いに建つ某カフェは、自宅から車で約30分。程よい距離にあった。2階にテラス席があり、前面が公園の木立や湖沼。噴水の水しぶきを上げる音が、心地よいリズムを刻む。水面からの風も気持ちいい。久しぶりに開放的な気分になった。ランチを運んでくれたスタッフにも、「ある記念日の7年目で来ました。素敵なカフェですね」と、つい声を掛けた。すると、「そうなんですね、おめでとうございます!」と言ってくれた。

7年目というのは、長いのか短いのか。まだまだよちよち歩きだけれど、それでも歩んできた道のりがある…。しみじみしていると、スタッフが「おめでとうございます! これはお店からの心ばかりのお祝いです!」と、写真の大皿を持ってきてくれた。アイスの上には2本の花火のようなろうそくが立っていた。

こんなにうれしい祝福サプライズは、生まれて初めて。アイスももちろんおいしかったけれど、スタッフの皆さんの「おめでとう!」のやさしい気持ちが何よりも心にしみて、ハッピーな気持ちになった。

そして、谷川俊太郎さんの詩『魂のいちばんおいしいところ』の一節を思い出した。

「あなたは自分でも気づかずに
あなたの魂のいちばんおいしいところを
私にくれた」

生きていると辛いこともあるけれど、こんな奇跡のような一瞬も起きると、明日もがんばれる気がする。

某カフェは、格別な場所になった。記念日でなくても、また近いうちに行こうと思う。魂の一番おいしいところをいただくために。


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