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枯れた庭に咲く冬薔薇【2021/12/22】

劇場の帰り道に、枯れ野のような庭にただ一輪咲く冬薔薇を見つけた。寒さに耐えているのか。孤高の美を感じてしまった。すぐ隣の花は既に朽ちている。連れ合いを亡くし、悲しみの淵に立たされてもなお咲き誇ろうとする姿を重ねた。

親しい人に先立たれ、寂寥に沈むことの多い人生の冬。自らも老いていく中で、生と性の歓喜を歌い上げた舞台を見た。

人は生まれ、やがて死ぬ。矛盾や不条理、不平等の世の中で、これだけは誰の上にも等しく訪れることわりである。

次世代にいのちをつなげたら、それだけで生物としての目的は果たしているのかもしれない。では、そうではない人はどうすればいいのだろう…。

いろいろなミッションや言い訳を埋め込んでみても、埋められない空洞がたまに顔をのぞかせる。

「在る」だけでいい。

「在る」だけではなく「生きる」。

日によって思いの振り子は行ったり来たり。

簡単に出ない問いを抱えて、自分で答えを見つけて生きていくこと。それが私に課されたさだめなのだろうか。自分自身で考え続けることが今は大切なのかと思っている。



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