ー詩ー 『水』
女である私の水は
ユラユラとよく揺れて
今日も宇宙の声に呼応する
私の水は
漆黒の彼方に産まれた星の
微かな産声さえ聞き洩らさぬまま
おずおずと差し出される
あの人の愛を
深く抱いていつくしむ
私の水は
七日目の蝉の
安堵のため息を聞きながら
落ち葉の重なりにさえ
豊かに応えるだろう
私の水は
陽光に光る波打ち際の泡のように
コロコロとさざなみ笑い
深海の揺りかごの如く
異形のものたちをユラユラとあやし
惑星を掻き混ぜる海流となって
初心(うぶ)な命を生成する
結晶の軋みに応え
惑星の回転に応え
静かな月の呼吸に応える私の水は
ただ応えて
ゆっくりと歯車を回す
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