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缶バッジの素材が不足しているらしい

はじめまして、こんにちは、こんばんは。
ハテナと申します。

今回は、個人的に気になって調べたことをまとめてみました。

私は、アニメやゲームなどといった作品をもとにグッズを制作する会社に勤めております。

そんな中先日、上司から缶バッジについてこのようなお知らせがありました。

「缶バッジの素材の一部が不足しているため、生産スケジュールが長くなります。」

具体的な素材は明言されませんでしたが、びっくりしました。

昨今のオタク文化が受容されてから、グッズが盛んに作られて、推し活などに広く浸透している日本のサブカルチャー業界において、缶バッジは一際大きな勢力と言えるでしょう。

そんな、缶バッジの生産に時間がかかるとは!
と思ったのち、単純に何の素材が不足しているのか疑問に思いました。

そこで、不足しているであろう素材は何なのかを調べてみてまとめてみましたので、よろしければご一読いただけますと幸いです。

ちなみに、あくまで私個人の推測の域を超えませんし、仮説に過ぎないので信じるか信じないかは読み手であるあなたに委ねます。

それでは、どうぞ。

缶バッジはグッズの最大手?

サブカルチャーグッズの中でほぼ必ず制作されるものといえば缶バッジ。

実際、ムービックといったグッズ制作の第一企業でも大体のキャラクターグッズで販売されています。

どれもおしゃれなものからかわいいものまで幅広くあり、特に推しキャラクターグッズとしても広く展開しています。
誰しも一度は缶バッジに触れたことがあるくらいには普及しているのではないでしょうか。

では、なぜここまで缶バッジは日本で制作されているのでしょうか?

缶バッジを主に制作されている「日本缶バッジ工業」さんの記事の中でも、下記のように書かれています。

"57mmのオリジナル缶バッジを1000個作った場合、製作単価は61円+個別包装10円で71円。
これを416円で販売した場合は製造原価71円となり、製造原価は17%です。"

日本缶バッジ工業


価格などは日本缶バッジ工業さんのものなため、ズレはあるが原価率が低いということは利益率か高いということです。

つまり、売れるものであれば高い収益性を期待できる訳です。
そのためグッズ制作にあたっては、確実に利益を出すホープなのではないでしょうか。


そもそも缶バッジの素材はなに?


そんな訳でグッズ会社からも大人気な缶バッジですが、そもそも何の素材でできているのでしょうか?

缶バッジは、主にブリキからできているとのことです。
錆びやすいですが、加工しやすく安価な素材であることから主な缶バッジでは、ブリキを使用している訳ですね。

株式会社ベック

 ちなみに記事にもありますが、ブリキとは錫メッキ加工された薄板のことです。

つまり、錫が欠かせないということです。
他のアルミやステンレスも高コストで低コストで加工しやすい錫メッキほどの生産性も見込めないことから缶バッジでは主な素材になっているそうです。

https://www.badge-man.net/bmwp/column/material-col/



錫が不足している?


そんな訳で大量生産する缶バッジには錫が必要不可欠です。

錫は、そもそも溶けやすく、耐久性に優れる金属のためはんだなどによく使用されています。

長い歴史の中でもよく使用されているため加工方法が確立していることや、希少性の高い他の貴金属と比較しても地球上では、よく掘り出されいるようで、比較的安価で錫メッキは取引されているようです。

では、缶バッジの何が不足しているのだろうかと思います。

しかし、こんな記事を見つけました。



記事によると

"18日のロンドン金属取引所(LME)のスズ相場は上昇。市場が深刻な供給不足に直面している兆候がさらに強まった。"

Bloomberg.co.jp

とあります。

錫の在庫は足りない?

供給不足ということは、需要に追いついていないのでしょうか?
答えはイエスでしょう。

近年錫の需要が増えているのに対して、そもそも在庫が不足しはじめているそうです。

"①スズ資源の賦形が悪く、地殻中の平均含有量はわずか0.004%で、主要金属品種の中で最も低い。"

iru-miru.com

"③ここ数年、COVID-19はスズの供給先での採掘に影響を与えており、エレクトロニクスや消費財の需要増と相まって、供給不足をもたらしていることが大きい。"

iru-miru.com




コロナが終息に向かい、消費が増えたことで一気に需要が上昇したのですね。

しかし、そもそも取れる数がそこまで多くない錫は、原産国の鉱山の廃止が増えており、徐々に供給不足になっているということです。

錫不足の理由は? 中国の影響

"中国のスズ埋蔵量は110万トンで、世界全体の22%を占め、世界トップとなった。スズ埋蔵量はインドネシアが80万トン、ミャンマーが70万トンで2位、3位で、埋蔵量に占める割合は16%、14%だった。"

iru-miru.com

"世界の2022年スズ生産量は主に中国、インドネシア、ペルー、ミャンマー、ブラジルに分布しており、この5カ国の生産量は世界生産量の80.7%を占めている。"

iru-miru.com


加えて、同記事では、錫の保有率、生産量共に中国が一位であり、アジア諸国が多くの錫を供給しているようです。

"中国の錫鉱の生産量は安定しつつあり、やや弱まっている2010年以降、中国国内のスズ生産量は比較的安定している。しかし資源の賦存率は徐々に低下"

iru-miru.com


しかし、一方で生産量は安定しつつも、年々下がっているようです。

さらに元々ある中国国内の鉱山での生産量が落ちており、そもそも中国でも錫を輸入しているという訳です。

"中国のスズ精鉱需要は主に輸入に依存している。中国は精錫の最大生産国だが、現在ほとんどの錫鉱山が地下採掘段階に入っており、鉱石の品位低下が大きい。これにより採掘コストが高まり、精錫の生産能力が低下した。"

iru-miru.com



まとめると、中国での生産性が落ちている錫に対して、コロナ禍が落ち着き消費が増えたことで一気に供給不足になったということですね。

となると、やはり、缶バッジの不足している素材は、錫なのでしょう。

缶バッジにとって、錫のみを使用するわけではないですが、必要不可欠な主要な素材だと考えると缶バッジの生産が落ちる理由としては納得です。

缶バッジもそうですが、半導体に必要な金属は中国からよく取れている関係でそれに関わる製品は大きな影響を受けていそうです。


缶バッジはこれからも最大手?

さて、ここからは私の邪推ですので聞き流しください。
缶バッジの素材が不足することによる影響はどんなものでしょうか?
考えられるのは、下記です。
缶バッジがグッズ市場での最大手でなくなる

しかし、それが起こり得るかといえばないでしょう。

何十年後かなら話は別ですが、素材が不足しているとしても缶バッジがグッズの中心から外れるのは考えずらいです。

あくまで錫が供給不足とはいえ、錫メッキは比較的安価なままでいるでしょう。
金属などの市場には詳しくはありませんが、そもそもブリキが錫の使用率も普通に錫だけを使用する訳ではないはずです。

であれば、グッズを制作する売り手側としても利益率の高い缶バッジの取り扱いを減らすとは思えません。

そもそも、私の会社でもほとんどのグッズ制作で缶バッジは外せません。

ただ、原価率が高くなってしまい利益が見込めない状態になってしまうと値上げや、缶バッジ自体の取り扱いも減っていくかもしれません。
どちらにせよ、何十年後かの話かとは思いますが。

結論、缶バッジはこの先もグッズ業界で最大手であり続けるでしょう。

ただ、需要が缶バッジ以外にも多く存在している錫は、すでに素材の不足という形で顕在化してきています。

グッズ業界自体が生産スケジュールの変更や、異なる素材を使用していくのは時間の問題かもしれないですね。


最後に

長々とした、自分の疑問点解消にお付き合いいただきありがとうございます。

ちなみに、今回の仮説はあくまで個人的な仮説ですので悪しからず。

誤った情報の可能性もありますし、合っている保証は正直ありません。

事実なことは、ある素材が東アジア圏内で不足して、缶バッジの製造に要する期間が伸びたということです。

邪推した結果なので、誤った情報でしたら、本投稿も削除いたします。

それでは、駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

また、次回があればその時は何卒よろしくお願いします。

ハテナ

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