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インフルと女と死

インフルエンザに罹り、ベッドで目を瞑り、混沌とした夢の中で、様々な事象が混じる。
一つ目は、芦原妃名子氏の自死。
二つ目は、ちょうど読んでいた平野啓一郎『マチネの終わりに』。
三つ目は、知り合いのスノーモービル事故。
これらがごちゃまぜになった結果、「女」と「死」というテーマが脳裡に浮かんできた。

まず、女について。
一つ目については、(これをジェンダー論に持ち込むことはナンセンスであることは承知しつつ、あえてぶっきらぼうに言うと)断面的に見れば、女同士の権力争いである。
二つ目については、主人公を女二人が奪い合う物語である。物語の中で、女が「正しく生きることが、わたしの人生の目的じゃないんです。」と、他の女の恋路を邪魔したことを告白するシーンがあった。
必ずしも人間は正しく生きる必要はない。ただし自らの正義の心を放棄することで、しらばっくれ、相手を呆れさせてしまうことができる。これはこの二つの共通項なのかもしれぬ。

次に死について。
二つ目については、イラクでの紛争に巻き込まれ、目の前で死を見たことで軽いPTSDになるシーンがある。
三つ目については、その後知り合いは亡くなってしまった。
人は不意に死を目撃するし、急に死の報せを聞くことになるということだ。普段は死から遠ざかった生活を送っているが、忽ち死に接近してしまう。

どちらも病床に臥し、家から出ないと遠い世界のことのように感じていた。しかし、現実としても存在している。夢の中の不思議な世界で、妙に血腥さを感じた。

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