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鮮魚街道七里半#6

 -利根川から江戸川まで-
 江戸時代から明治初期、銚子で水揚げされた魚をなるべく早く江戸まで運ぶため、利根川と江戸川を陸路で繋いだ鮮魚街道(なまみち)をめぐる旅。
二〇二〇年 千葉県松戸市六実-松戸市五香

2020年9月21日(月・祝)
 敬老の日であるが、デイサービスに行く母親を見送り、洗濯物を干してから、カメラを担いで家を出た。鮮魚街道(なまみち)の道程は今回からずっと楽になる。駅から駅への徒歩移動で済むからだ。いよいよ松戸市に入り、ゴールの江戸川が目の前に近づいている。
 東武アーバンパークライン六実駅を出てすぐに右折し、鮮魚街道に乗る。これから五香駅まで交通量の多い一本道である。
 新しく買った50mmレンズが一澤帆布のショルダーバッグの中で、今か今かと待ち構えている。50mmといってもいつもの通り、絞りはF8、距離も10mから∞までピントが合うパンフォーカスで使う。35mmレンズと使用方法は全く同じだが、やっぱり10mまでピントが合わないのと、画角が狭いので使い辛い。でもたまに35mmに飽きて使いたくなる。

 人生その繰り返しよ。

 歩くとガタガタ言うドブ板の歩道。写真を撮りながらだと、どうしても目の前にぺちゃくちゃしゃべりながら歩いてる2人組のオババを抜けない。気がつくと一緒に歩き、なんならオババの背中ばかりをスナップしている気がする。あんたらはいったいいつ曲がってくれるのか。陽射しも強烈なので、六高台という町のTSUTAYAに入った。クーラーのガンガン効いた本屋で雑誌の立ち読みを決め込む。その後は文房具を物色。私の娘イチ推しのディズニーキャラクター、リトルマーメイドのアリエルのグッズが並ぶ。ディズニーショップに売っていないかなりレアな品揃えだが、これ以上荷物を増やしたくないので購入は諦める。汗が完全に引いたので店を出た。

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 常に太陽の方向に向かって歩く逆光状態だったので、不慣れな露出補正をやってみた。普段はホワイトバランスの設定をオートにしているのだが、どうやらピコピコ背面のボタンをいじっているうちに気がつかずにタングステンモードにしたまんま、撮影していた。

やらかした。

 写真が全て青みがかっていた。まるで水槽の中を撮影しているようだ。移動式焼き鳥屋の前で待つ少年、ドブ板を歩くおじさん、信号が変わるギリ自転車で突っ込むおばちゃん、それら全ての人たちが水槽の中で生活しているようだった。最初は新しい50mmレンズのせいだと思っていたが、カメラ側の設定のせいだったので安心した。この区間の鮮魚街道は、いずれリベンジするだろう。

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 意外と歩かされて、やっと新京成線五香駅に着いた。休日の隙間を縫ってスナップの時間を作っているので、今日はこんなもんである。母親がデイサービスから帰ってくる前に家に戻らなければならない。スーパーで買い物をして、夕飯の支度をするのだ。30分ほど茶をしばく時間があったので、駅ナカのIDE CAFEという珈琲屋に入った。メモをまとめながら地図を見て今日のルートを確認した。当然ではあるが街道は布佐から松戸に近づくにつれ、賑やかさを増してくる。街には人が溢れ、スナップをするのが俄然ラクになる。シャッターを押す頻度も上がってくるのだが、スタート付近の静寂さや荒廃感は完全に消えて無くなる。ルートの確保やトイレの心配やダンプカーに跳ねられるリスクも格段に減るだろう。

 隣のテーブルではママ友二人がおしゃべりに夢中だった。その間、小学生の子供たちは母親のスマホを使って静かにゲームを楽しんでいた。鼻息は荒かったけど。

次は五香から八柱までを歩く。

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