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『ウ点』と福沢諭吉

「ウ点」ってご存知でしょうか?

この呼び方はあまり一般的ではないかもしれませんが、「ウ」に濁点を付けた「ヴ」という文字(表記)は日ごろ目にしていますよね。

私は趣味で楽器を弾くので、「ヴァイオリン」「ベートーヴェン」などの表記をよく目にしますし、プライベートな文章では自分でも使っています。

(仕事では「バイオリン」「ベートーベン」でした。)

英語などにおける"v"の音を表すために「ヴ」を初めて使ったのは福沢諭吉

img_福沢諭吉_いらすとや(byいらすとや)

1860年に出た「増訂華英通語」という英語の単語集(学習書)の中で「ヴ」を用いています。

「ヴ」という書き方・表記はそれ以前からあったものの、"v"に対応する形で使ったのはこれが初めてだそうです。

この本は、福澤が咸臨丸での渡米の際に入手した中国語と英語の単語集をもとに書き表したもので、英語の単語とその意味、それにカタカナで書き表した発音が載っています。

この「増訂華英通語」は慶應義塾大学のサイトで見ることができます。

例えば最初の方に出てくる"Heaven"は、現在では通常「天国」と訳し、カタカナ表記は「ヘブン」または「ヘヴン」ですが、この増訂華英通語では「天」という訳語が当てられ、発音は「ヒーヴヌ」となっています。

(ほかの単語でも、語末の"n"は多くが「ヌ」になっていますね。)

でも150年以上たった現在でも、「ヴ」が定着したとまでは言えないと思います。

「ウ点」の話は、今後さらに書く予定です。


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