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自分に合った音楽制作の環境を選ぶには

というテーマを書こう!と始めたものの、今も迷いのループから抜け出せないでいます。難しいテーマですよね。PCひとつ取ってもMacなのかWindowsなのかで迷いますし。ちなみに今現在(2020年8月時点)私はMacとWindows両方を使っていてそれぞれに別々のDAWをインストールしています。過去記事にもありますがMacではAbleton LiveStudio OneLogicGarageBandGadgetを、WinではPro ToolsCubaseを使用しています。本当はどれか一つの環境が望ましいのですが、案件ごとに必要な機能を使い分けるため気がつけばDAWの沼に入り込み、抜け出せずにおります。でももしかしたら「これから音楽作りを始める」というシチュエーションに限定したらもしかしたら答えが出るかもしれません。

(1)とにかく最初はお金をかけたくない。

あなたがもしもまだ親元にいてアルバイトで稼いだとして、金銭的な上限は付きまとうと思います。もしもすでにiPadやiPhoneをお持ちなら一番手軽なのはiOSアプリだと思います。私はAndroidは使った事ないのですが今やiPhoneかiPadで音楽は作れます。もしもプロを目指すなら最初からプロが使っているのを使いましょう、という意見もあるはあるんですが、そうなるとそこそこのスペックのMacかPCを買ってProToolsとかCubaseを買うって事ですよね。んーどうなんでしょう。個人的な見解としてはいきなりあれこれお金をかけて、、、という選択肢よりも自分の特性を知ることの方が重要で、とにかく気が向いた時にさっと作業を開始出来ることが大切です。ですので究極的にはモバイルデバイスとヘッドフォンという環境もありなんじゃないでしょうか。ヘッドフォンは多少お金をかけても良質なものを買いましょう。後々重要になっていきます。アプリはGarageBandやCubasis、エレクトリック系だったらKORGのGadgetもお勧めです。その際直接指やApple Pencilで入力してもいいですし、もしも別途USBやBluetooth接続が出来る鍵盤やパッド系ガジェットを追加出来るならなおいいでしょう。もちろん新品じゃなくても全然構いません。予算がなければ中古で大丈夫です。

(2)コンピューターとオーディオインターフェイスという組み合わせ

今現在最も多い制作スタイルかと思います。あくまで両方の環境を使ってみて改めて思いますがMacかWindowsかということはもはやあまり重要ではありません。結局今までの25年を振り返るとコンピューターは常にOSが変化し続け、付随する周辺機器やコネクターの類が常に変わり...ということを繰り返していて安定していた時代の方がむしろ少なかったです。経験的にMacであればトラブルシューティングがしやすいが、OSの変化が早く制作環境的には多少不安定、Winはトラブルシューティングに多少難ありですが、OS含めた周辺環境は比較的安定しているという印象です。あとは予算や必要スペック、デザイン性などから自分がピンとくるものを買うのがいいと思います。DAWを使うために必要なスペックについてはネット上に山のように情報があるのでここでは省きます。もしも将来的に映像制作にも手を出すとか、業務用の録音スタジオやMAスタジオを作るということでもない限りは、特に驚異的なスペックではなくても音楽制作は出来ます。気楽にいきましょう。

結局のところDAWはどれがいいのか?という事にも触れなくてはいけないのですが、新品にしても中古にしても音楽制作のためにコンピューターを新たに購入するという事であれば、考え得る選択肢の中から自分に合ったものを選びましょう。Macで一番安上がりな方法はGarageBandを使う制作方法です。何せ最初からインストールされていますし、変な話仕事にも使おうと思えば全然使えるレベルです。確かに痒い所に手を突っ込んでいくにはやがてはLogic Pro Xにステップアップするのがいいでしょう。と言ってもLogic Proは価格も安くかつ音楽制作に必要な機能は全てあります。ですので持ち歩いて何処でも作業したいのであればMacBook(出来ればMacBook Proを)を、特に外出してまで作業しないという事であればiMacかMac miniが妥当だと思います。Win環境であれば無料版でもかなり使えるなと思うのは個人的にはStudio OneTracktion Waveformでしょうか。

その一方で現在売られているオーディオインターフェイスには廉価版のDAWが付属していることが多々あります。それらのほとんどがMac、Win両対応であり、そこからDTMの世界に入るのも良いと思います。今現在は異様なほど選択肢が多く、Ableton LiveDigital PerformerCubasePro ToolsNuendoStudio OneFL StudioREAPERBitwingReasonWaveformUniversal AudioLUNAなどなどキリがないほど多くのDAWが存在します。その中でも自分が目指す音楽の方向性を考慮しながら、オーディオインターフェイスに付属するDAWという選択肢に絞り込んでいく事で多少は選びやすくなると思います。いきなり絞り切れない!という人は自分の好きなクリエーターが使っているDAWと同じものを使う、という事でも良いでしょうし、とりあえずは有名なものを使いたいという事であればユーザー数が多く情報の多いCubaseや、業務スタジオともやりとり出来るPro Toolsから入っていくのもいいでしょう。しかし結局のところ慣れてしまえばどのDAWを選んでもどんな音楽でも作れますし、現代のDAWは音質や音色の違いはそれぞれあるものの、逆に音が悪いDAWは皆無ですので、ネット上の様々な情報を吟味して、フリー版があればそれをダウンロードして実際に使い勝手を確かめながら最適なDAWを選んで下さい。ちなみにオーディオインターフェイスはDAW内部で完結する音楽スタイルであればそれほど多くの音声入出力は必要ありませんので、ソフト音源に予算を多く割いた方が得策です。歌やギターをメインにされるのであればDAWは安く済ませてマイクやプリアンプに予算をかけた方が良いでしょう。

(3)サブスクリプションという選択

出来るだけ負担額を少なくしながらあれこれやりたいという事であれば、サブスクリプションでDAWを使うという選択肢もあります。Pro Toolsはすでにサブスクリプションでのサービス提供を始めています。Spliceという海外のサービスではStudio One 5の提供をいち早く始めていますし、OzoneSerumなどのプラグインやソフト音源もサブスクリプションで使えます。こういったものは全て一気に買うと中々の負担額になるものですが、Spliceであれば少ない負担額で多くのソフト音源を使える上、特定のソフトだけを止めたい時も簡単に出来ます。また別途月額がかかりますが効果音ライブラリーも非常に充実していますし、サーバーも使用できるのでDAWのプロジェクトのバックアップまで可能です。もしもクレジット決済が可能な人であれば検討を考えても良いかと思います。また国内ではソフトシンセの分野になりますがRolandの「Roland Cloud」というサービスも存在感を増しています。今後このような流れはさらに増えてくると予想されます。

(4)ハードウェアから入っていくという方法

音楽の方向性がある程度限定されるかもしれませんが、PCを使わずハードウェアから音楽制作の世界に入っていく道もあります。ハードウェアで作るメリットとしては音楽作りに集中出来るという点でしょう。作っている最中にメッセージが届くこともないですし、気がつけば作業中にYouTubeを見ていたという事も減るでしょう。私の場合は時代的にということもありますが、元々は単体で打ち込みが出来るYAMAHAのシンセサイザーV50からスタートしました。脱線しましたがテクノやエレクトリック系であればelektronDigitaktDigitone、予算があればOctatrackという選択もありでしょう。ヒップホップ系であればAKAI ProfessionalのMPCシリーズやRolandSP-404SXもお勧めです。またYAMAHAKORG、先述のRolandのシンセサイザー群も音楽制作にもライブ演奏にも対応出来るという点ではまだまだ手堅い選択肢だと思います。一方でコンピューターが必要にはなってしまいますが、Native InstrumentsMASCHINEAbleton LivePush2などのハードから入っていく道もあります。どちらも付随する音源やプラグインの豊富さを加味すれば十分すぎるほどの内容です。また使う楽器をシンセに限定して、なおかつ散財する覚悟があるのでしたら思い切ってモジュラーシンセに手を出すという選択肢もあるでしょう。

(5)楽譜制作ソフトから入っていく

もしも西洋音楽理論から入って編曲やオーケストレーションまでごりごりに学びたいのあれば、いっそFinaleNotionで作曲してしまうという方法もありです(今やNotionはStudio Oneに組み込まれていますが...)。自ら写譜をするにしても、クラシックや現代曲の楽曲分析をするにしても基本となる五線譜を中心に学ぶことが出来るメリットは大きく、付属するソフト音源でのプレイバックを併用する事で学習のスピードはアップします。

(6)マルチトラックレコーダーを使う

例えば弾き語りメイン、もしくはバンドで一発録りや多重録音でさくさくやりたい場合はいっそマルチトラックレコーダーで作業した方が手っ取り早いでしょう。選択肢はあまり多くないですがZOOMTASCAM辺りにしておけば間違いないでしょう。あとからPCに取り込んで編集やマスタリングする事も可能ですし、LANDRのようにAIを使ったサービスにマスタリングを丸投げすれば曲作りに集中しつつ作業の効率化も可能です。

最後にモニタースピーカーについてですが、よほど大きい部屋をお使いでない限りは大きなスピーカーは必要ありません。大きいスピーカーは大きな音量で鳴らさないとその性能を発揮出来ないので、出来るだけ小さなスピーカーから始めると音像が見えやすいと思います。

以上長くなりましたが、自分の作りたい音楽の方向性を見極めながら、限られた予算の中で最良の選択をするには情報収拾が必須です。ネット上にはDAWについてのあらゆる情報がありますので、それらをよく吟味して下さい。とにかく安く済ませるのも一つの考え方ですし、いきなりガンとプロ仕様の機材を揃えて自分自身を奮い立たせるのもまた一つの考え方です。もしも迷ったら楽器店などにいらっしゃる専門知識豊富なスタッフの方に質問攻めするのも良いでしょう。最終的には自分自身で決断して、音楽制作を心ゆくまで楽しんで下さい。それではまた!


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